ポップアップ式テントで2階建てに
text:James Attwood(ジェームス・アトウッド)
【画像】カリフォルニアとカラベル マルコポーロも 全114枚
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
サーフィンスポットに停まっている、古いフォルクスワーゲン・タイプ2のキャンパーと比べると、最新のフォルクスワーゲンT6.1 カリフォルニアは比べ物にならないほど豪華。民宿とヒルトン・ホテルくらいの差はある。でも、ちゃんと血縁関係にある。
運転席より後ろのレイアウトは、共通している。スライドドアがあり、反対側にシンクや収納棚が並ぶ。最新型は、電動のスライドドアだが。
リアシートはフラットに折りたため、収納式のベンチを並べれば、ダブルベッドが完成。さらに2代目タイプ2からウエストファリア社が実装してきた、ポップアップ式のルーフテントが載っている。今ではこれも電動だ。
2階建てになり、屋根の上にもベッドルームが広がる。大人4名が快適に宿泊できる。ルーフテントを閉じた状態では、4人が過ごすには少し狭い。でも、空間利用と実用性というバランスは高い。
何世代にも渡る実績が、優れた車内空間へと反映している。商用車としての箱型のボディを最大限に活かし、すべての装備が最適な位置にある。考え抜かれたように。
いま原稿を書いている1階に当たるオフィスとリビングは、筆者にとって快適に仕上がっている。寝る場所は2階。見たことのある人ならわかると思うが、ルーフテント内は驚くほど広い。高さも充分にある。
柔らかいマットレスの下には、スプリングが入った本物のようなベッド・マットレスが敷いてある。寝心地も良い。
運転しやすい高い視線の箱型のボディ
難しいのは、フロントシートから屋根の上への移動。特に早朝、寝ぼけた状態でトイレへ行くのに降りようとする時が、危なっかしい。
誤ってキャンパー・モードをオフにしてしまうと、モーションセンサーのセキュリティが作動。ルーフテントから降りる時に、警報が鳴ることもある。ルーフテントへの登り降りを簡便するために、社外品の便利なハシゴも売られている。
フォルクスワーゲンの公式グッズの1つ、マグカップでコーヒーを飲みながら、タイプ2の形にくり抜かれたパスタをカリフォルニアで茹でる。最新版のトランスポーターの長距離燃費は確かめられないが、キッチンの使い勝手は良い。
コロナ禍の制限された世の中でも、道を走りたくなる。フォルクスワーゲン・カリフォルニアで、英国西部、サマセットの町を運転する。短距離ながら高速道路にも入るが、クルマには朝飯前。
ポップアップ・テントをたたみ、折りたたみテーブルをしまえば、使い勝手の良いミニバンになる。場面を選ばず、運転しやすい。シート位置は高く、視界は良好。箱型のボディだから、四隅の見切りも良い。
エンジンは2.0LのTDIと呼ばれるディーゼル。198psの最高出力を、7速デュアルクラッチATを介して路面に伝える。車重3080kgもあるが、重苦しさもなく進む。
相当な車重を考えると、乗り心地も褒められる。装備類をしっかり所定の位置に片付ければ、走行中にカタカタと賑やかになることもない。
70年という年月を経て得た完成度
当然ながら、走りはダイナミックではないし、スリリングなコーナリングも楽しめない。でも極めて簡単に、興奮や不満を感じず、平穏に運転できる。
ベースは商用のバンだ。ロンドンからドイツ・ウォルフスブルクまでの900km近いドライブも、快適で安楽にこなせるはず。
フォルクスワーゲン・カリフォルニアの本当の楽しみは、目的のキャンプ地に着いてからかもしれない。でも運転も、充分に楽しめる。遠出しにくい今だからこそ、嬉しさも大きい。
長い歴史を持つトランスポーターは、長距離ドライブなしでも充分に魅力を感じ取れた。AUTOCARで試乗評価する際に大切にしている基準の1つが、クルマの目的にどれだけ合っているか、ということ。想定した仕事を、どれだけ巧みにこなせるか、だ。
トランスポーターは、その点で見事な完成度にある。70年の年月をかけて、幅広い目的に対応できるように設計が重ねられている。優れた仕上がりが、成功に結びついている。
借りていたカリフォルニアを、返却する日。自宅の中に用意した仮のオフィスへ戻るのに、気が進まなかった。
いずれコロナ禍は落ち着いて、AUTOCARの英国オフィスへも以前のように通勤できるようになるだろう。でも、フォルクスワーゲン・カリフォルニアからのリモートワークも、許してもらえないだろうか。
フォルクスワーゲンID.バズの開発は進行中
フォルクスワーゲンT6ベースの、カリフォルニアが登場したのは2018年。続いてフォルクスワーゲン・キャディをベースとした、小さなキャンパーの登場が控えている。
一方でフォルクスワーゲンは、初代タイプ2の真の後継モデルを作りたいと長年夢見てきた。それは、純EVのID.バズで叶えられようとしている。
MEBと呼ばれるEV用のプラットフォームを土台とし、新しいID.ファミリーの中でも重要なモデルになるだろう。商用車だけでなく、MPVとしても想定され、最新の純EV技術を搭載する。
スタイリングは、商用車部門の責任者自らが「あからさまにレトロ」と認めるデザインをまとう。
さらに次世代のトランスポーター、Tシリーズも、フォルクスワーゲンとフォードとのアライアンスによって、大きな変化を迎える。フォードが開発を主導し、フォードの傑作バン、トランジットと姉妹関係になるのだ。
ただし、トランスポーターとしての魅力が損なわれることはないと、フォルクスワーゲンの責任者は明言している。「従来どおり、フォルクスワーゲンのバスらしい」クルマになるという。
フォルクスワーゲン・カリフォルニア2.0TDI オーシャン(英国仕様)のスペック
価格:4万4000ポンド(589万円)
全長:4904mm
全幅:1904mm
全高:1990mm
最高速度:199km/h
0-100km/h加速:11.9秒
燃費:11.8km/L
CO2排出量:222-247g/km
乾燥重量:3080kg
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:198ps/5500rpm
最大トルク:45.8kg-m/1400-4000rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック
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