ピレリ・スーパー耐久シリーズ2018が、3月31日~4月1日に散り始めた満開の桜に囲まれた鈴鹿サーキットにおいて52台が出走する5時間レースで開幕した。決勝レースは、GT-R同士のバトルを制した99号車Y's distraction GTNET GT-Rの浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗組が昨年第3戦鈴鹿以来の総合優勝を遂げた。
今年のS耐はコントロールタイヤがヨコハマからピレリに変更。また参加台数の増加により安全性を確保するために、必要に応じて国内初となるフルコースイエロー(FCY)、つまり危険な箇所だけでなくコース全周を追い越し禁止として、速度も80km/h以下(鈴鹿では50km/h)に制限する措置が取られることとなった。
【順位結果】スーパー耐久開幕戦鈴鹿・決勝レース結果/国内初のFCYをうまく対応した99号車が勝利
FCYは時間がかかる場合もあれば、短時間で終わる場合もあり、そのタイミングでのピット作業をするかどうかの判断など難しい戦略が必要になり、今回も6回導入されたFCYにより順位が左右されたクラスもあった。
また、これまで“排気量が2001~3500ccで二輪駆動”とされていたST-3クラスは、排気量はそのままで”後輪駆動”と変更され、昨年までST-3クラスで苦戦を強いられたマツダ・アクセラ(2.2リッターディーゼルターボ、FF)はST-2クラスへ編入されている。
この大会は8月末に鈴鹿サーキットで開催される「鈴鹿10時間耐久レース」の前哨戦となることもあり、ブランパンGTアジアに参戦するPhoenix Racing Asiaが3台のアウディR8をST-Xクラスに投入。またレクサスRC F GT3もS耐に初登場となった。さらにST-TCRクラスには新型となるホンダ・シビック タイプR TCR(FK8)が2台デビューし、参加台数も7台に増加した。
うららかな花見日和となった1日の5時間レースは、ポールポジションからスタートした24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R(内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組)がレースをリード。
3台のGT-Rがトップ3を争いながらレースを引っ張った。レース中盤、3番手を走行していた3号車ENDLESS GT-R(YUKE TANIGUCHI/山内英輝/銘苅翼組)が、拾ったタイヤかすがエキゾーストの熱で発火したことでピットインしてタイムロス。その後、3位争いをしていた車両と接触し1時間15分ほどのピット作業のために大きく順位を落としてしまった。
レース開始からそろそろ3時間を迎えようとするころ、この日4回目のFCYとなりこのタイミングで2回目のピットインを行ったY's distriction GT-Rが、その数周前にピット作業を済ませていたスリーボンドGT-Rの前に出て、2台によるトップ争いの接近戦となり場内を沸かせた。
しかし96周目のヘアピンでスリーボンドGT-RがY's distraction GT-Rに追突しスピンをさせてしまう。この行為のためにトップを奪ったスリーボンドGT-Rには、ドライブスルーのペナルティが科せらるY's distraction GT-Rが再びトップに浮上。そのまま逃げ切り、昨年第3戦鈴鹿以来の優勝で開幕戦を制した。3位には777号車D'station PORSCHE(星野敏/荒聖治/近藤翼組)がゴールした。
「クルマが速いのはわかっていたので、5時間もあるレースですし終盤勝負と思っていましたが、2回目のピットインもベストタイミングでした。コントロールタイヤが変わった最初のレースでチームがうまくアジャストしてくれました。S耐鈴鹿はこの5年で4回優勝しているし、GTでも4勝していて相性が良いので、夏の鈴鹿10時間でも優勝を狙います」と星野は声を弾ませた。
7台によるST-TCRは、クラスポールの19号車BRP★Audi Mie RS3 LMSがオープニングラップのシケインでサスペンショントラブルのために離脱する波乱。難なくトップに浮上した45号車プリズマ☆イリヤRS3 LMSも、バイブレーションが発生したということで1回多くピットインしてタイムロスし、アウディRS3のS耐初優勝は今回もお預けに。97号車Modulo CIVIC TCR(植松忠雄/中野信治/大津弘樹/小林崇志組)がFK8シビックのデビュー戦を逆転優勝で飾った。
2台によるST-1クラスは完走した47号車D'station Porsche cup(星野辰也/織戸学/浜健二組)、4台によるST-2クラスは昨年のチャンピオンである59号車DAMD MOTUL ED WRX STI(大澤学/後藤比等至/井口卓人/石坂瑞基組)が優勝。
ST-3クラスは8台が参戦。こちらも昨年チャンピオンの38号車muta Racing ADVICS IS350 TWS(堀田誠/阪口良平組)が0.521秒差で逃げ切った。
13台という最大激戦区のST-4クラスは、ディフェンディングチャンピオンでメンバーを入れ替えた86号車TOM'S SPIRIT 86(松井孝允/中山雄一/坪井翔組)がポールを獲得。決勝レースでもタイミングよくFCYを利用でき、2位に1周近い差をつけて圧勝した。
ST-5クラスは10台が争い、安定した走りでトップを奪い逃げ切った2号車TEAM221ロードスター(筒井克彦/大塚隆一郎/山下潤一郎組)が開幕戦を制した。
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