現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 新車のマフラーが消えた!? 「見えないデザイン」の狙いは? 後付け品に変化も

ここから本文です

新車のマフラーが消えた!? 「見えないデザイン」の狙いは? 後付け品に変化も

掲載 更新 31
新車のマフラーが消えた!? 「見えないデザイン」の狙いは? 後付け品に変化も

■新車からマフラーが消えている?

 近年発売される新車では、あえてマフラーが目立たないようにデザインされているものも少なくありません。
 
 エンジンを搭載しているクルマにとって必要不可欠なマフラーの存在感が薄れている背景にはどういった事情があるのでしょうか。

信号手前で…ブゥーン! 「エンブレ」多用は車に悪影響!? 適切な使用方法

 内燃機関を搭載しているクルマにとって、なくてはならないパーツがマフラーです。

 そもそもマフラーは、エンジンから排出されたガスを外へと逃がすためのエキゾーストシステムのひとつであり、一般的に「マフラー」と呼ばれている部分は、エキゾーストシステムの末端にある部分を指し、消音やデザイン上のアクセントといった役割を担っています。

 もしマフラーがなければ、車種によっては消音機能が弱まり、排気音がダイレクトに響くことになります。

 国土交通省が定めた現在の規制では、車検時の「近接排気騒音」が「車両後部にエンジンを有するもの」(MR車やRR車)のクルマが95dB、それ以外のレイアウトのクルマが91dB以内でなければならないとされています。

 90dBというのは、電車の車内や飛行場の周辺に匹敵するほどの騒音であり、現在販売されているほとんどの新車は、90dBはおろか80dBを超えることも稀なようです。

 そんなマフラーですが、近年登場する新車では目立たない存在となっています。もちろん、機能上マフラーは必要不可欠なものであるため、マフラーそのものが無くなってしまっているわけではなく、外観上目立たないように配慮されているということです。

 例えば、2020年2月に登場したホンダ「フィット」では、のぞきこまないと見えないように隠されています。

 2020年の上半期新車販売台数ランキングトップであるトヨタ「ヤリス」も同様で、そのほか、軽自動車のほとんどはマフラーを隠したデザインを採用。マフラーが目立たなくなった背景にはどんな事情があるのでしょうか。

 マフラーを目立たないようにしているクルマには、いくつかの傾向があります。ひとつは「軽自動車もしくは小排気量車に多いこと」、もうひとつは「ハイブリッドカーに多いこと」です。

 軽自動車もしくは小排気量車に多いという点について、販売ラインナップに軽自動車が多いダイハツの担当者は次のように話します。

「(マフラーを隠しているのは)機能的な理由というよりもデザイン上の理由が大きい」と話します。

 軽自動車や小排気量車のメインターゲットは、日常の足としてクルマを活用するユーザーであり、デザイン上マフラーにこだわる人はそれほど多くないのかもしれません。

 また、大排気量車であれば排気ガスの量も多い分、マフラーをはじめとするエキゾーストシステムも比例して大きくなるため、隠すよりもデザインのなかにとりこんだほうがよいと考えられます。

 一方、大排気量エンジンに比べて排出するガスの量が少ない小排気量車であれば、マフラーを目立たなくすることによる機能上のデメリットはほとんどないといえます。

 ハイブリッドカーについても、デザイン上の観点が大きいようです。自動車メーカーの担当者は次のように話します。

「リアデザインによってクルマの印象は大きく変わりますが、マフラーを目立たなくすることでスッキリとしたシンプルな印象を与えることができます。

 エコでクリーンなイメージのハイブリッドカーには、そうしたデザインのほうがマッチしているといえます」

※ ※ ※

 このように、軽自動車や小排気量車、そしてハイブリッドカーのようにエコでクリーンなイメージが重要視されるモデルにとっては、マフラーはあえて目立たせる必要のない存在となっているようです。

■「若者のクルマ離れ」とマフラーの関係

 一方、依然としてマフラーを重視するユーザーも少なくないようです。

 とくにスポーツモデルや大排気量モデルは、先述のようにマフラーやエキゾーストシステムが大きくなる傾向があるため、機能的にもマフラーを目立たせる必要があります。

 それが転じて、スポーツ性を強調しているモデルでは、純正でもマフラーが目立つようにデザインされています。

 また、純正ではマフラーが目立たないモデルの場合、カスタムパーツとして後付けすることでマフラーを目立たせることができます。

 この点について、自動車業界関係者は次のように話します。

「近年では、『モノとしてのクルマ』には関心が薄れてきているといわれており、マフラーのようなスペックの高さを強調するパーツを求める人は少なくなっています。

 よく『若者のクルマ離れ』といわれますが、この本質は、若者が『モノとしてのクルマ』ということを意味しており、クルマそのものが縁遠くなったわけではありません。

 むしろ、そのクルマを使ってどんな楽しいことができるか、という『コト』の部分が重視されています。この視点でいえば、マフラーは『モノとしてのクルマ』の代表格ともいえるパーツであり、現代の若者にとってはあまり興味のないものといえるかもしれません。

 メーカー側もそれを理解しているからこそ、純正で目立つマフラーを付けることはせず、そこで浮いたコストを別の部分に活かす方向になっています。

 とはいえ、あえてマフラーを目立たせたいというユーザーも一定数いることから、そうしたユーザーのために純正アフターパーツとして、マフラーを選択できるようメーカーも配慮しています。

 実際に、各社とも純正アフターパーツブランドをサブブランドとして強化しており、マフラーのような車検に関わる重要なパーツでも安心して装着することができます。

 今後、『モノとしてのクルマ』を強調するパーツは、サブブランドで売っていくという方向性が強化されていくでしょう」

※ ※ ※

 マフラーが目立たなくなる背景には、小排気量車かつエコカーがトレンドとなっていることに加えて、「モノとしてのクルマ」を求めるユーザーが減っているという原因があるようです。

 とはいえ、マフラーにポジティブなイメージを持っている人も多く、そうしたユーザーにはオプションとして選択できるような環境が整ってきています。

文:くるまのニュース くるまのニュース編集部
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

右肩上がりのデリカD:5が改良新型でさらに魅力アップ!
右肩上がりのデリカD:5が改良新型でさらに魅力アップ!
グーネット
日産「セレナ」オーテックモデルもマイチェン! 収納性特化モデルをラインナップ追加
日産「セレナ」オーテックモデルもマイチェン! 収納性特化モデルをラインナップ追加
グーネット
最高出力1360ps!? メルセデスベンツ コンセプトAMG GT XXがモンスターマシンすぎる件
最高出力1360ps!? メルセデスベンツ コンセプトAMG GT XXがモンスターマシンすぎる件
ベストカーWeb
日野、北海道・東北・関東の直営販社5社を台湾の和泰汽車に売却
日野、北海道・東北・関東の直営販社5社を台湾の和泰汽車に売却
日刊自動車新聞
スズキ新型「コンパクトSUV」まもなく発売に反響殺到! 「“87万円オトク”なら購入検討したい」「内装が想像以上に豪華」「四駆だし雪道で強そう」の声も! 装備充実の「eビターラ」最高級モデルに注目!
スズキ新型「コンパクトSUV」まもなく発売に反響殺到! 「“87万円オトク”なら購入検討したい」「内装が想像以上に豪華」「四駆だし雪道で強そう」の声も! 装備充実の「eビターラ」最高級モデルに注目!
くるまのニュース
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストでオーバーテイクを促進する“P2Pシステム”を将来に向けた検討としてテスト
スーパーフォーミュラ・ライツ鈴鹿合同テストでオーバーテイクを促進する“P2Pシステム”を将来に向けた検討としてテスト
AUTOSPORT web
シンプルでカッコよく 快適な乗り心地を実現! ヤマハが開発した“電動アシスト自転車”「パスクレイグアリー」ってどんなモデル?
シンプルでカッコよく 快適な乗り心地を実現! ヤマハが開発した“電動アシスト自転車”「パスクレイグアリー」ってどんなモデル?
VAGUE
ロロ・ピアーナのオーバーコート──クラシックな定番アイテムから『GQ』が選ぶベスト・オブ・ベスト
ロロ・ピアーナのオーバーコート──クラシックな定番アイテムから『GQ』が選ぶベスト・オブ・ベスト
GQ JAPAN
やっぱスーパーカー世代のヒーローは「ミウラ」だよね! 半世紀以上前に登場した「黄色いランボ」がオークション登場 どこから見ても美しい“後期型”の価値とは
やっぱスーパーカー世代のヒーローは「ミウラ」だよね! 半世紀以上前に登場した「黄色いランボ」がオークション登場 どこから見ても美しい“後期型”の価値とは
VAGUE
大幅刷新の三菱「新型デリカD:5」正式発表! 斬新「4枚刃」グリルを「卒業」!? 精悍「黒マスク」で超カッコいい! 唯一無二の「SUVミニバン」どう変わったのか
大幅刷新の三菱「新型デリカD:5」正式発表! 斬新「4枚刃」グリルを「卒業」!? 精悍「黒マスク」で超カッコいい! 唯一無二の「SUVミニバン」どう変わったのか
くるまのニュース
驚くほど広がる後方視界、ホンダ「Nシリーズ」専用「リアビューミラー&カバー」が発売
驚くほど広がる後方視界、ホンダ「Nシリーズ」専用「リアビューミラー&カバー」が発売
レスポンス
日産 パトロールはどれくらいランクルを意識しているのか!? 日本導入を前にズバリ聞いてみた!!
日産 パトロールはどれくらいランクルを意識しているのか!? 日本導入を前にズバリ聞いてみた!!
ベストカーWeb
ホンダ旧横型ミニ系「北米専用」モデル「SL70」フルレストア フレームをパウダーコーティングでオールペイント!!
ホンダ旧横型ミニ系「北米専用」モデル「SL70」フルレストア フレームをパウダーコーティングでオールペイント!!
バイクのニュース
トヨタの新スーパーカー「GR GT」はなぜ“カーボンモノコック”ではなく“アルミ骨格”を選んだのか? LFAの悔しさが生んだ“新生フラッグシップ”のねらいとは
トヨタの新スーパーカー「GR GT」はなぜ“カーボンモノコック”ではなく“アルミ骨格”を選んだのか? LFAの悔しさが生んだ“新生フラッグシップ”のねらいとは
VAGUE
NISMO渾身のコンセプトモデルにマイナーチェンジの「Z」や北米人気の「ROCK CREEK」のカスタマイズ車両など豪華絢爛! 日産の「東京オートサロン2026」の展示車両から目がはなせない
NISMO渾身のコンセプトモデルにマイナーチェンジの「Z」や北米人気の「ROCK CREEK」のカスタマイズ車両など豪華絢爛! 日産の「東京オートサロン2026」の展示車両から目がはなせない
WEB CARTOP
日産「セレナ」待望のマイナーチェンジ! 魅力アップの「ルキシオン」に注目
日産「セレナ」待望のマイナーチェンジ! 魅力アップの「ルキシオン」に注目
グーネット
日産『セレナ』改良新型、「LUXION」「ハイウェイスターV」が新グリルで表情一新…278万5200円から
日産『セレナ』改良新型、「LUXION」「ハイウェイスターV」が新グリルで表情一新…278万5200円から
レスポンス
老舗のヤナセがついに軽EVを売る! 「ヤナセEVスクエア」がBYDとディーラー契約し2026年夏横浜に店舗をオープン
老舗のヤナセがついに軽EVを売る! 「ヤナセEVスクエア」がBYDとディーラー契約し2026年夏横浜に店舗をオープン
THE EV TIMES

みんなのコメント

31件
  • アウディがはじめるとみんな真似するからです。

    ワンモーショングリル、シーケンシャルウインカー、見えにくいマフラーエンド…
  • 老害も社会から消えてほしい
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村