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目標は「鈴鹿8耐マシンの図版化」/柴田賢二さんの代表作・好きな作品

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目標は「鈴鹿8耐マシンの図版化」/柴田賢二さんの代表作・好きな作品

8耐50回大会までに「鈴鹿8耐マシンの図版化」を完成させたい

*柴田さんが影響を受けたイラストレーターは、ノーマン・ロックウェル(1894~1978年)だそうですね。1973年、渋谷パルコのオープン記念催事のひとつとして日本初の「ノーマン・ロックウェル展」(75年)が開催されました。『カー・アンド・ドライバー』の表紙イラストを担当する岡本三紀夫さんは観に行かれたそうです。
■そうでしたか、驚きました。ロックウェルの特徴は、画題(テーマ)の中にユーモアとジャーナルが同居しています。クスッと笑わせる上品なユーモアは、絵でも文章でも表現がたいへん難しいです。とくに、スーパーリアリズムでは。
 ボクは、高校2年生の頃、 神田・神保町にマンガ本を買いに行き、たまたま、画集『アメリカン・ノスタルジア ノーマン・ロックウェル』(75年、PARCO出版)を見つけました。マンガの画質とは次元の異なる作品にひきつけられ、45年前の高校生にとってかなりの高額だった3500円の本を購入しました。その後、ボクがロックウェルの原画を鑑賞したのは、新宿・伊勢丹美術館でした(92年/97年)。

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*近年はバイクのイラスト制作に力をいれているそうですね。
■はい、「鈴鹿8時間耐久ロードレース」(1978年~)の第50回大会を目標に、ここ数年は耐久レーサーのイラストを制作しています。今年8月に第43回大会が開催される予定なので、あと7年は制作を続け、「鈴鹿8耐マシンの図版化」を完成させたいと思っています。

*制作上の注意点は。
■「レース出場時の仕様を再現する」という点を極力心がけています。ボクはこれまで、モーターサイクルメーカー各社が所有する車両の取材をしてきましたが、レース車両が出場時の状態で保存管理されているケースは極めて稀です。とりわけタイヤは、レース後にタイヤメーカーが回収する慣習となっているようです。そのため、タイヤのサイドウオールの表示などの詳細がわかる資料集めにいつも苦労しています。

*作品1と2は、優勝を争ったマシンとか。
■作品1は「YAMAHA YZF-R1」(2016年)、作品2は「Kawasaki Ninja ZX-10RR」(2019年)です。制作期間は、どちらも2カ月弱です。
 この2台が優勝を争ったのは、2019年の鈴鹿8耐の決勝レースです。残り2分の段階で、首位走行中のジョナサン・レイ選手(カワサキ)が前走車の撒き散らしたオイルに乗って転倒。赤旗掲示のまま8時間が経過して、チェッカーフラッグが振られることなくレースが終了しました。
 表彰台の中央にはヤマハの3人のライダーが立ち、ヤマハの5連覇が達成されたかに思われました。しかし、赤旗掲示のタイミングが問題となり、その後、正式にカワサキのZX―10RRが逆転優勝になりました。そう、いわくつきの大会でした。

*鈴鹿8耐は、現場での観戦ですか。
■7年前の夏、20数年ぶりに観戦してから、真夏の「鈴鹿詣で」は、ボクの毎年の恒例行事です。世界選手権クラスの競技会ですが、どこかローカルな匂いが漂い、おそろしく手間とお金のかかったバイク業界の運動会といった風情にすっかり虜となりました。
 2020、21年はコロナ禍でキャンセルされ、22年は3年ぶりの大会。無事開催を祈っています。

*カワサキといえば、「Ninja」のネーミングが有名です。
■1984年、カワサキ初の水冷4気筒「GPZ900R」の発売に際し、アメリカでヒットしたテレビドラマ『将軍 SHŌGUN』(1980年)に登場する忍者のイメージから、北米市場でのみ「Ninja」が使用されました。
 そして、GPZ900Rの世界的なヒットを受け、カワサキのスポーツバイク全般に使われるブランド名になったと聞いています。ちなみに、作品2のZX―10RRは、映画『トップガン』でトム・クルーズが乗ったバイクとは系統が異なる車両です。

*作品3は。
■Honda RA272(1965年)です。栃木県のもてぎにある「ホンダコレクションホール」新装オープンのリーフレット用に描きました。
 ぜひ訪ねてみてください。

作者プロフィール
しばたけんじ/1961年、宮崎県生まれ。食品会社勤務を経て1987年からフリーランス。イラストレーション請負制作業務のかたわら95年、「柴田制作所」開業、国産モーターサイクルを主とした自作図版複製品の製造・販売を開始。2008年、名古屋へ活動拠点を移す。AAF(オートモビル・アート連盟)会員。名古屋市在住。ホームページ:https://seevertworks.ocnk.net

インタビュアー/山内トモコ

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