3月31日(日)、WRC世界ラリー選手権第3戦『サファリ・ラリー・ケニア』の競技最終日となるデイ4が行われ、デイ2から総合首位をキープし続けたTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合優勝を飾った。TGR-WRTから参戦する日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、首位と1分37秒8差の総合2位表彰台を獲得した。
また、2024年シーズンから新たにポイント付与の対象となった日曜日のみの総合順位“スーパーサンデー”では、オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヒョンデi20 Nラリー1)が首位となり、7ポイントを獲得している。
サファリのトヨタここにアリ。熾烈なサバイバルを1-2で制しマニュファクチャラー選手権首位に浮上/WRC第3戦ケニア
■“スーパーサンデー”争いが早くも白熱
2024年のサファリ・ラリー・ケニアは雨季開催ということで、空への不安が各陣営から囁かれていたが、デイ4についても晴れ空のもと実施された。
また大会最終日は、2024年シーズンより導入されたポイントシステムにより、日曜日のみの順位でチャンピオンシップポイントを付与する"スーパーサンデー”が適用される1日となる。そのため最終日は、総合順位をキープする走りとスーパーサンデーを狙いに行く走りとで戦い方が分かれた様子となった。
デイ4最初のステージは、ss14『マレワ』。40%以上が岩盤路面となるこのハードなステージだが、グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)を先頭に、各ドライバー様子を見ながらアタックを進めていく。
ここでは、ヒョンデ・シェル・モービスWRTの3台が好タイムをマークし上位に並ぶ結果に。なかでも、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)が攻めの走りで最速タイムをマークしている。
しかし、岩肌は予想よりも鋭く、エサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)とヌービルに加え、勝田までもがタイヤのスローパンクに見舞われた模様だ。ステージ上でのロスは少なかったものの、早くもスペアタイヤを使用せざるを得ない事態となってしまう。
続いて行われたSS15『オセレンゴニ』は、『マレワ』とは打って変わって柔らかい土質のグラベル(未舗装路)がそのほとんどを占めるステージとなる。デイ4も2ステージ目になると、スーパーサンデーの争いが早くも熱を帯び始めた。
前のステージで好走を見せたヒョンデ勢に対抗したのは、TGR-WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)だ。3.2秒リードで今大会3度目のトップタイム通過をはたし、そこにヒョンデのオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)とヌービルが続く展開となる。
午前中最後となるSS16は、『ヘルズゲート』。国立公園が舞台となるこのステージは、山岳地帯とサバンナの荒野を駆け抜けるレイアウトだ。
ここでは、前半の山岳地帯にて避けがたい大きさの落石が発生。ヌービルはこれにハイスピードでヒットし、リヤサスペンションにダメージを負ってしまった。さらに、好走を見せていたタナクがスピンを喫しタイムロス。またラッピのマシンにはトランスミッションの不具合が起きるなど、またもヒョンデチームに苦労が訪れた模様である。
そんなヘルズゲートでトップタイムをマークしたのは2ステージ連続のエバンスだ。スーパーサンデーは、このエバンスが首位、ヒョンデのタナクが2.6秒差の2番手となり、争いはさらにヒートアップしていく。
総合首位に立つロバンペラは、午前中のステージを7~5番手タイムで通過。2分のギャップを活かした堅実な走りで首位をキープしている。2番手の勝田も、SS14ではタイヤへのダメージもあったものの、次ぐSS15と16ではそれぞれ4、3番手をマークする好走を見せている。
■ロバンペラが今季初勝利。ヒョンデも最後に復調
迎えた午後のステージは、午前のSS14~16の再走となる。昼のサービスにて調整を終えた各マシンは、まずは岩盤層が目立つSS17『マレワ』へ2度目のアタックに向かう。
午前の走行で各ドライバーは路面の状況を大方把握した様子で、タイヤトラブルに気を付けながらスムーズに走行。ここではまたもやヌービルを先頭にしたヒョンデの3台がトップに並んだ。そしてここで、タナクがスーパーサンデーでトップに浮上する。
残るステージは2本。SS18は、岩の少ない土の路面が特徴の『オセレンゴニ』の再走だ。午前の走行では、エバンスが首位となったこのステージだが、ミッドデイサービスでの調整が奏功しているヒョンデ勢がここでもトップ3を独占。タナクが午前中SS15のリベンジとなるステージウインをあげてスーパーサンデーをさらにリード、ヌービルも続く2番手に浮上している。
総合のトップ3は、午後もタイムギャップを意識しながら安定した走行に努めている。この日はこれまで大きな順位変化はなく、大会は最終ステージを迎えた。
最終SS19は『ヘルズゲート』の再走だ。こちらはトップ5のタイムをマークしたドライバーを対象にボーナスポイントが与えられる『ウルフ・パワーステージ』となる。
このステージを最速で駆け抜けたのは、ヌービル。今大会5回目のステージウインをあげ、パワーステージボーナスの5ポイントを獲得した。スーパーサンデーは、15秒の差でタナクが制している。
そして、ロバンペラは4番手タイムで最終SS19を無事に走破し、2024年シーズン初の総合優勝を飾った。そして1分37秒8差の2位には勝田が入り、こちらも今季初の表彰台獲得となった。3位には、堅実な走りでサバイバルを戦い抜いたMスポーツ・フォードWRTのアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)が入り、2戦連続の3位表彰台を獲得している。
ポイントランキングでは、トップに立っていたヌービルが19ポイント、2位のエバンスが16ポイントを獲得。順位はそのままに、ヌービルは6ポイント差にリードを広げることに成功した。マニュファクチャラー選手権では、大会前は同ポイントでトヨタとヒョンデが並んでいたが、トヨタが4ポイント多く獲得し131ポイントで首位に浮上している。
WRC2クラスは、大きなリードを築いたまま最終日を迎えたガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)が、ギャップを活かしてこの日6本のステージを安定したペースで走行。見事クラス優勝を飾った。2位にはオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、3位にはカエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が続き、シュコダ・ファビアRSラリー2が表彰台を独占する結果となった。
2024年WRCの次戦『ラリー・クロアチア』は、ヨーロッパ・クロアチアのザグレブ付近を舞台に4月18(木)~21日(日)に開催される予定だ。
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