■高級ミニバン競争が激化、EV&FCEVも設定する中華メーカーの猛進とは
2023年4月18日から中国・上海で「上海モーターショー2023」が開催されています。
昨今の中国市場では「高級ミニバン」がトレンドとなっており、各国のメーカーのみならず、中国メーカーも相次いで新車種を発表しています。
世界の自動車市場の中でもEVを始めとする電動車市場が急速に伸びていますが、高級ミニバン市場でも注目されています。では、実際の市場ではどのような動きがあるのでしょうか。
アルファードを超える? トヨタが新型高級ミニバン「マジェスティ」発表!
日本でも大きな話題となったのが、レクサスが発表した新型「LM」です。
LMは同ブランド初のミニバンとして2019年に発表され、今回発表されたのはその2代目モデルです。
また、先代LMは2015年より販売されている3代目アルファードがベースですが、それに次ぐ次期型アルファードがまだ発表されていないということもあり、新型LMの発表は大勢が待ち望む次期型アルファードへの期待の声をより一層明確にさせました。
新型LMは全長5125mm×全幅1890mm×全高が1955mmと、それぞれの数値で先代から+85mm、+40mm、+10mmの増加となっています。
このことから、先代で言われていた「高級版アルファード」という雰囲気からの脱却を図っていることがわかります。
また、パワートレインはすでにレクサス「RX500h」や「クラウン」などで採用されている「T24A-FTS型2.4リッター直列4気筒ターボエンジン+ハイブリッドシステム」、そして「A25A-FXS型2.5リッター直列4気筒エンジン+ハイブリッドシステム」を搭載。
新型LMは先代と違って日本導入も予定されており、日本にはまず前者のパワートレインを搭載した「LM500h」から投入されるとのことです。
レクサスが初代と2代目、それぞれのLMを初めてお披露目する場所に上海を選んだのには、中国市場における「高級ミニバン」市場の加熱にあります。
実際にレクサス インターナショナル プレジデントの渡辺剛氏は「中国ではアルファードをまねてキャッチアップしているローカルメーカーが多いなと思います。実際にミニバンでの競争が始まっていると感じます」と語っています。
さらに新型LMの開発責任者である横尾貴己氏は、LMの中国導入について、次のように述べています。
「中国ではアルファードが人気で、ショーファーニーズが高まってきました。中国でもその価値が高く、価格が高騰していました。
そうした中、レクサスとしての(ショーファーの)選択肢がそこになかった。中国の現地のお客様の声にいかに早く対応 するかというので、先代LMは時間を重視して導入したという背景がありました」
そして2019年にLMが登場して4年、その勢いは中国国内外のメーカーに波及しています。
同じ上海モーターショー2023の場では、さまざまな中国メーカーが「LMのライバル」となりうるような高級ミニバンを続々と発表しました。
また、LMでは用意されていないPHEV(プラグインハイブリッド車)やBEV(電気自動車)モデルも用意しているメーカーが多く、大きな脅威となるかもしれません。
■見た目はアルファードを意識!? 中国で続々発表される「高級ミニバン」とは
その中でも大きく注目されているのが、広州汽車の「トランプチ E9」です。
トヨタの中国における合弁相手としてもよく知られている広州汽車は自社ブランドにも力を入れており、そのひとつが「トランプチ(傳祺)」となります。
トランプチでは2017年に初めてのミニバン「M8(旧称:GM8)」を発表し、ミニバン市場へ参戦を表明しました。
その後、より小型の「M6(旧称:GM6)」の投入や、2022年のフルモデルチェンジを経て現在に至ります。
フルモデルチェンジで2代目へと移行したM8では先代同様の2リッターターボモデルに加え、トヨタ開発のハイブリッドシステム「THS-II」を搭載するハイブリッドモデルも用意しており、一気に電動化への舵を切った形となります。
そのM8をベースに、いわゆる「新能源車(中国語で新エネルギー車の意味)」に仕立て上げたのが、今回発表された「E9」です。
中国では純電動のバッテリーEV(BEV)だけでなく、プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCV)も「新能源車」に分類されます。
E9のパワートレインはM8にも搭載されている自社開発の2リッター直列4気筒エンジンをPHEV向けに最適化したものが基軸となります。
そこに、中国メーカーの間で採用が増えている「DHT」と呼ばれるハイブリッド向けトランスミッション、出力133kWの電動モーター、そして容量25kWhの「マガジンバッテリー」を組み合わせ、E9のパワートレインシステムを作り上げました。
マガジンバッテリーは広州汽車独自開発の新バッテリーで、その名の通り、「マガジン(弾倉)」形状のセルをひとつのパックに敷き詰めた形式の三元系リチウムイオンバッテリーです。
航続距離は中国独自のCLTC方式でバッテリーのみが106 km、総合して1032 kmとなります。
大きくわけて3種類のモデルが用意されるとのことですが、価格は33万元(邦貨換算:約638万4000円)から39万元(約754万4000円)の間とリーゾナブルな価格設定です。
もちろんレクサスLMと比較すると装備の違いなどが出てきますが、高級ミニバン、それもPHEVモデルが用意されているという点を考慮すると、かなり強い競合相手になる可能性はあります。
また、SUV市場では最大手となる「長城汽車」も初のミニバンを発表しました。
長城汽車は2016年よりプレミアムブランド「WEY」を展開していますが、今までのラインナップはすべてSUVとなっていました。
今回発表された「高山」は同ブランドだけでなく、同社初の高級ミニバンとなり、このように続々と高級ミニバンをリリースする中国メーカーが現れているのがわかります。
WEYの高山もトランプチE9と同じくPHEVです。全長5045mm×全幅1960mm×全高1900mm、ホイールベースは3085mmと、余裕の大空間を誇る車体には1.5リッターターボエンジンをベースとするシステムを搭載。
このエンジンを用いたPHEVモデルはすでに販売されているWEYのSUVなどにも搭載しているため、パワートレイン自体の真新しさはありません。
ですが、それをミニバンに搭載させ、加熱の一途をたどるミニバン市場へ殴り込みをかけるという点では、非常に注目すべき1台になりそうです。
また先述のトランプチE9では、よりパワーのある2リッターターボエンジンをベースにしており、この部分ではE9のほうが優位に立っていると言えるかもしれません。
■FCEVミニバンも既に存在!? 中国はミニバン市場でも世界を先行しているのか
中国メーカーが手がけるミニバンはこれだけではありません。
48Vマイルドハイブリッドのミニバンとしては、中国最初の自動車メーカー「第一汽車」の「奔騰 M9」、そしてそれと車体を共有する「紅旗HQ9」がすでに販売されています。
また、BYDとメルセデスベンツが共同で設立した「デンザ」も2022年にフラッグシップミニバン「D9」を発売。
こちらはPHEVとBEVの両方が用意されるなど、幅広い電動化需要に対応したものとなります。
また、ジーリー(吉利)の純電動ブランド「ジーカー」は「009」を、広州汽車とNIOの合弁ブランド「ハイカン(合創)」からは最新の800Vシステムを搭載する純電動ミニバン「V09」などを投入します。
PHEVやBEVだけではありません。東風汽車が2020年に設立した「ヴォヤー」ブランドでは「ドリーマー」というミニバンを、PHEV、BEV、そして水素を用いるFCEVの3形態で投入しています。
水素と酸素の化学反応で発生した電気で走るFCEVの開発は中国の国家プロジェクトに位置付けられており、ここ数年で一気にFCEVへ注力する中国メーカーが増えてきている状況です。
※ ※ ※
これだけ多種多様な選択肢にあふれる中国のミニバン市場ですが、新たに発表されたレクサスLMは「レクサスにしか作り出せない体験」、そして「長年培われたハイブリッド技術」をもってして有象無象のライバルを迎え撃つことになります。
現時点ではハイブリッドモデルのみとなりますが、市場の反応次第ではPHEVやBEVなども投入するのかなど、レクサスへの期待も大いに膨らみます。
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みんなのコメント
でっかい電気シェーバーみたいやなw
また、輩がドヤ顔で迷惑かけるのか。
ほんとこれ乗ってる人達って、まともな人いないよな。