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アルピナB5 GT ツーリングへ試乗 創業者が「最後に見届けた」高速ワゴン 感服の滑沢さ

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アルピナB5 GT ツーリングへ試乗 創業者が「最後に見届けた」高速ワゴン 感服の滑沢さ

創業者が最後に見届けた高速ワゴン

アルピナB5 GT ツーリングと、フェラーリF40。V8ツインターボエンジンを積むことと、最高速度が320km/hを超えることくらいしか、共通する部分は思い浮かばないだろう。どちらも希少だが、B5 GT ツーリングは250台に限られ、F40より遥かに少ない。

【画像】感服の滑沢さ アルピナB5 GT ツーリング 最新のB3 競合クラスの高速ワゴン 全116枚

しかし、この2台には重要な共通点が1つある。それは、販売されるタイミングだ。

F40は、フェラーリを創業したエンツォ・フェラーリ氏が、最後に手掛けた量産モデルになった。このB5 GT ツーリングも、発表された2か月後の2023年10月に、ブランドを立ち上げたブルカルト・ボーフェンジーペン氏がこの世を去った。

悲しい一致ではある。この事実を知ると、一層特別感は増すはず。

筆者は、オランダ・ザントフォールトのサーキットで発表時に試乗しているが、深い記憶を刻んだ仕上がりだった。現行のB5から25psと5.1kg-m増強され、最高出力634ps、最大トルク86.5kg-mを獲得しているが、それだけではない。

トランスミッションは、通常ならロールス・ロイス・ファントムに用いられる強化部品でアップグレードされた、ZF社製の8速オートマティック。四輪駆動が叶えるトラクションは凄まじく、かつ落ち着いてもいた。

FIA規格に対応したドライのサーキットを、 小さく感じさせるほど見事な走りを披露した。そして今回は、冬の英国の一般道。グレートブリテン島へ導入されるのは、すべてステーションワゴンのツーリングで、僅かに21台だという。

フロントにカナード 豪奢で高品質なインテリア

通常のB5との、見た目の違いは限定的。一番の特徴となるのが、ブロンズに塗装された20インチのマルチスポーク・アルミホイールだろう。BMW M5 CSと似た処理といえるが、より深みのある色が選ばれている。

時間をかけて観察すると、フロントバンパーの下部に追加されたカナードへ気付く。ステーションワゴンでも。英国ツーリングカー選手権を戦った、ボルボ850にもこんな装備はなかった。少し古い話だが。

B5 GT ツーリングは、フェイスリフト後のBMW 5シリーズをベースに開発された。エアインテークは拡大され、幅広いタイヤの奥に収まるブレーキと、大きなインタークーラーを効果的に冷やす。

強力なエンジンが、550i用の4.4L V8ツインターボをベースにすることは、通常のB5と変わらない。

インテリアは、ウォールナット・トリムで飾られた上質な空間。ヘッドレストは驚くほど柔らかく、中央にB5 GTと大きく刺繍されている。ステアリングホイール奥のシフトパドルは、アルミから削り出され、ホイールと同じくブロンズ色に染められている。

英国価格が12万7900ポンド(約2379万円)もすることを考えれば当然だが、豪奢で高品質。レザーがふんだんに用いられている。

B5 GT ツーリングを賢く堪能するなら、ラヴァリナ・レザー巻きのステアリングホイール上に用意された、「LIM」ボタンを活用した方が良い。設定以上にスピードが出せなくなる、任意のリミッターだ。

豊かなトルク 中毒性のあるエネルギー放出

大径ホイールに肉薄なタイヤを履き、大人4名と荷物を載せた状態で、328km/hまで許容する能力をB5 GT ツーリングは備える。表面が荒れた路面では、予想よりロードノイズが大きい。しかし、乗り心地や振動といった外界との隔離性は、Sクラスへ遠からず。

アルピナ・オリジナルのアダプティブダンパー・モード、コンフォートプラスも効果的。姿勢制御は、一般道では少し緩すぎるように思えるものの、高速道路では理想的に引き締まる。

安楽な長距離走行に貢献しているのが、豊かなトルク。殆どの加速で、シフトダウンする必要がない。8本のシリンダーの燃焼音を遠くで奏でながら、まるで1速リダクションギアのバッテリーEVのように、シームレスに速度が増していく。

もちろん、シフトパドルを弾いたり、スポーティなドライブモードを選べば、サウンドを一層堪能できる。V8エンジンは、中回転域で最高の能力を発揮する。アクセルペダルを数度傾ければ、大排気量ツインターボらしい、中毒性のあるエネルギー放出が始まる。

B5 GT ツーリングの車重は2080kgあり、サルーンの1980kgより100kg重い。M5 CSより255kgも重いが、86.5kg-mのトルクを持ってすれば、殆ど誤差の範囲。その加速は、超音速へ届くような勢いだ。

より落ち着いた最高の高速ワゴン

それ以上に感服といえるのが、一般道での滑沢さ。通常のB5とのシャシーの違いは、強化されたバンプストッパーとバルクヘッドのほか、ドレクスラー社製の機械式LSDを搭載する程度。低い気温が影響していたことも考えられるが、遊び心に溢れている。

熱狂的な旋回性や、ステアリングの圧倒的な精度、引き締まった姿勢制御という点では、M5 CSに届いていない。しかし、路面を問わない乗り心地や穏やかなマナーを踏まえれば、身のこなしは秀抜だ。

アクセルペダルの加減で、自在にコーナリングラインを調整していける。B5 GTでは、ツーリングのリアタイヤの接地面積が、サルーンより小さく設定された事実も興味深い。

新しいG60型のM5に、ツーリングが登場することは明らかになっている。だが、ボディサイズは大きく、パワートレインが重く複雑なプラグイン・ハイブリッドになることも判明している。従来のように好ましいMモデルになるのかは、不透明だ。

実用性は必要でも、ポルシェ911のように機敏で意欲的な走りを求める人は、M3 ツーリングを好むかもしれない。だが、より落ち着いた個性を求める人にとって、B5 GT ツーリングは最高の高速ワゴンになるだろう。既に完売状態ではあるけれど。

アルピナB5 GT ツーリング(英国仕様)のスペック

英国価格:12万7900ポンド(約2379万円)
全長:4978mm
全幅:1868mm
全高:1466mm
最高速度:328km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.5km/L
CO2排出量:265g/km
車両重量:2080kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:634ps/5500-6500rpm
最大トルク:86.5kg-m/3500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

2件
  • kmq********
    クラウンエステートも、こういうフォルムにしてほしかった
  • mn6********
    クラウンも好きじゃないけどBMWのカビ臭くなった相変わらずの格好もねえ。
    プレミアムがお好きな方はどうぞ。


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