煽る人はどんなに注意したって煽ってくる、どんなに厳罰化されたといっても煽ってくる。煽り運転が原因で発生した悲惨な事故が報道されても、厳罰化されても、悪質な煽り運転は後を絶たないというのがその証拠。
つまり、煽る人を変えようとしても難しい。ならば、彼らから自分の身を守る術を身に着けるしかない。今回は、さまざまな視点から煽りから身を守るための術を考えていきたい。
「捕まるよ」と言っても続出する煽り運転…煽ってくる人たちから身を守るドライブ護身術
文/室井 圭、写真/写真AC
煽り運転の加害者になりやすい人って?
匿名性が高いという前提で煽り運転を行う、ストレス発散型ドライバーの場合、撮られているとわかるとスゴスゴと撤退する確率が高い
まずは煽り運転をしやすい人の特徴を考えていきたい。
やはり、ハンドルを握ると人が変わったように狂暴化する人は煽り運転をしやすい。普段はとても温厚なのにハンドルを握った途端、クラクションを鳴らしまくったり、車内で怒鳴りまくったり……。当然、これは煽り運転要注意人物だ。
このような人は、普段は必要以上に他人の目を気にして、温和でやたら気遣いの人を装う傾向がある。そのため、日頃から本当の自分を隠すことに強いストレスを感じていることが多い。その結果、第三者の目が届かないクルマの中という密室では本性が出てしまうのだ。
タチが悪いのは、どんなに怒鳴っても、クラクションを鳴らしても、幅寄せして嫌がらせをしたとしても、走り去ってしまえば、バレずに逃げおおせると思っているところ。これは匿名性の高いSNSで第三者を攻撃してストレスを解消するという心理状態に似ている。
ただし、このような匿名だからやっちゃう型の人の場合は、ドライブレコーダーの存在を察知するとハッと我に返り、すごすごと引き下がっていったりする場合も多い。
もっとも厄介で危険なのは、自分の感情をコントロールできない人。いわゆる「キレやすく、キレると何をしでかすかわからない人」だ。
こういった人は、いったん怒りのスイッチが入ったらドライブレコーダーの存在なんて目にも入らない、もはやロックオンしたクルマを執拗に追い掛け回すことしか考えられなくなってしまうのだ。こうなったら、誰も止められない……。
「キープレフト」を守るだけで煽られ被害は減らせる!
追い越し車線をノロノロと走る行為はあおりを助長する恐れがあるだけではなく、通行帯違反として検挙されることもある。自分の身を守るためにも、キープレフトを心がけよう
怒りのスイッチがどこで入るかは百人百様だが、こと運転に限っては、進行を邪魔された、割り込まれた、追い抜かれたなど、幅寄せされた、クラクションを鳴らされた場合が多いようだ。
特にスイッチが入りやすいのが、通行帯違反のクルマに遭遇した時。実際、煽り運転で検挙された時、「追い越し車線をノロノロ、延々と走られ、それに対してイライラして車間を詰めてしまった」と言い訳をするドライバーが多いというデータも発表されている。
もちろん、いくらイライラしたとはいえ煽ったほうが100%悪いが、道を譲らずに追い越し車線を走り続けたドライバーにも問題があったことも事実だ。
法定速度内で自分より速度の速い車に追いつかれた場合は進路を譲る義務があり、これを遵守しなくては、通行帯違反として検挙され、反則金6000円(普通車)、違反点数1点が科せられるのだ。
クルマの走行は一般道も含め、「キープレフト」が原則と心して運転をすることで、煽られるリスクはかなり減らせるはずだ。
「思い込み」をさせないためには?
警察が加害者の証言をもとに確認したところ、証言通りの事実があったのは、約半分で、残りの半分は加害者の証言に当たる行為は確認できず、「思い込み」だったというデータもある。
とにかく、こちらは嫌がらせをしようなんてまったく思っていなくても、些細なことで一気に頭に血がのぼってしまうような瞬間湯沸かし器型の人は、冷静に「わざとじゃないからしゃーないよな」などと思えるわけもなく、「喧嘩売ってんのかー!!」となってしまうのだ。
そんな瞬間湯沸かし器型人間はどこに潜んでいるかわからない。だからこそ、そんな危険人物に思い込みをさせるような紛らわしい運転をしないことが煽り運転被害に遭わない秘訣と言える。ちなみに、警察でも煽られることを防ぐために下記のような運転を心がけるよう呼びかけている。
■通行帯を守り、キープレフトを心がける
■安全な速度で走行する
■車間距離を保つ
■不要な急ブレーキをかけない、相手にもかけさせない
■急な割り込みはしない
■不要なクラクションを鳴らさない
■前照灯は周囲の状況に応じて正しく使用する
煽られたらどうする?
応戦してはダメ。感情のコントロールのきかない相手だけに、応戦してきたと感じた瞬間、怒りのメーターは振り切ってしまう。こうなったら、暴行事件などに発展しかねない
どんなに注意して運転をしたところで、怒りモードに突入してしまったドライバーの感情の暴走を抑えることは無理。そこで、煽り運転の被害者になってしまった時の対処法を考えていこう。
煽られて、クルマを停めざるを得なくなった時に絶対にやってはいけないのが窓を開けたり、外に出ること。相手の怒りの炎にガソリンを注ぐような行為だ。外に出たりすると相手は応戦されたと思い、さらに感情がたかぶってしまうのだ。そうなったら、何をされるかわからない。
クルマを停めざるを得なくなったら、窓を閉めて、すぐにすべてのドアにロックをする。そして、どんなにクルマを蹴られたり、叩かれたりしても、絶対にクルマから降りてはダメ。とにかく、相手といっさい話(応戦)をしないで、車内で110番通報を。キレて正常心を失っている相手には何を言っても無駄なのだ。
高速道路ではできるだけクルマを停めないことだ。停めさせられそうになった場合は、減速をして、サービスエリアまでなんとか逃げるのがベストだ。それでも幅寄せされたりした場合は、走行車線で停まらないように車両を路肩に向かわせるようにしよう。
サービスエリアまで無事に避難できても「何とかやり過ごせたみたいなので再び出発」はダメ。相手がついてきていて、再び煽り行為を行うという執拗な煽り運転の事例もあるからだ。サービスエリアに避難できたらまずは車内にとどまり、110番通報して助けを求めよう。
相手と目を合わせないことも重要だという。人間に限らず、動物は本能的に目を合わせることを「威嚇」のサインと感じるからだ。
また、赤信号を無視する、他車の間をすり抜けるなどすると事故を起こす恐れがあるため、無理に逃げようとするのも避けよう。
とにかくドライブレコーダーをつける!!
ステッカーを貼るのはちょっと見た目は悪いが、抑止効果は満点。煽り運転に遭うことが不安で仕方がないという人にはお薦めだ
ドライブレコーダーにはかなりの抑止効果があるため、搭載することをお薦めする。できれば前後に、「あなたのこと撮ってます!」ということをアピールできるように装着するほうが抑止効果は高い。
もちろん、ドライブレコーダーにより録画された映像データは、違反立証のための重要な証拠となることも多い。
スマートホンでの撮影は要注意!
スマートフォンなどの映像も証拠にはなるものの、車外に出てきた加害者に向かって「撮っているから!!」などと言葉でアピールしている映像などをテレビで見ることがあるが、この行為は相手をさらに興奮させる可能性が高いため、露骨な撮影アピールは避けたほうがいい。
また、運転中にドライバー自身がスマホで撮影するというのは「ながら運転」となってしまい、それ自体が違法で危険な行為。スマホでの撮影は同乗者がいる場合のみ。相手のクルマの車種や特徴、ナンバーなどを控えておくことも有効だが、こちらも走行中は同乗者に頼るしかない。
こういったことから、スマホがあっても一人の時は対処が難しくなるため、ドライブレコーダーを取り付けることを強くお薦めする。
煽られたら躊躇せずに通報を
ワンタッチで通報できる「HELPNET」搭載車なら、通話の必要がないため、運転中の通報も迅速に、安全に行うことができる
煽られるほうにも非があるといった記事も見かけるが、それはいじめと同様でたとえ相手に非があったとしても、いじめるほうが悪い。どんな事情があったにせよ、煽りという行為によって相手を糾弾しようというのは卑劣な行為であり、犯罪なのだ。
そのため、煽られ、危険を感じたら躊躇することなく110番通報しよう。走行中に携帯電話を使うのは違法だが、この場合は刑法の「自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為」という緊急避難に該当する可能性もある。とはいえ、運転中の通話は危険が伴うため、ハンズフリーを使用できる環境を整えておくにこしたことはないだろう。
ワンタッチで通報できる「HELPNET」がクルマやカーナビに設置されているなら、そちらを使用しよう。
とにかく、「気のせいかも」なんて思っていると、大変な事態に発展する可能性もある。自分が「煽られている」「これ以上運転していると危険」と感じた時点で通報を! その後の検証は、警察がしてくれる。
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みんなのコメント
高速道路で追越車線に居座っているのもそうだね。追越車線を車が迫ってきている時に追越車線に進路変更するのも道路交通法26条違反だから。
第二十六条の二 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。
2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。
普通に走っていただけなのに、って人はほぼ間違いなく普通じゃない運転をしていることを自覚した方がいいよ。
ドラレコを提出しても警察が捕まえないのは煽られた側にも煽られる原因があるからだよ。
警察が逮捕まで動くのは停車させたり暴力に及んだり、執拗で悪質、危険な場合のみだから。