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抜群のV10エンジンとシャシーの相性 アウディR8 V10パフォーマンス RWD 愛おしい1台との別れ(2)

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抜群のV10エンジンとシャシーの相性 アウディR8 V10パフォーマンス RWD 愛おしい1台との別れ(2)

少し方向性を見誤っていた当初の2代目

2006年に発売されたミドシップ・スーパーカーのアウディR8には、これまで複数の仕様が存在した。最高出力も異なり、特別仕様も何度か提供されている。コンテンツの都合上、そのすべてへ触れることは難しいけれど。

【画像】愛おしい1台との別れ アウディR8 V10パフォーマンス RWD RS6とRS4 兄弟のランボ・ウラカンも 全118枚

5.2L V型10気筒エンジンが搭載さたのは、初代の後半から。アウディでは叶え難かった繊細な操縦性を多少犠牲にしつつ、溢れんばかりのパワーを手に入れていた。

2015年に2代目へモデルチェンジ。筆者が気に入っていた4.2L V8エンジンは任務を終え、マニュアル・トランスミッションも選べなくなってしまった。

当初の2代目は、少し方向性を見誤っていたのかもしれない。グランドツアラーとして乗るには、求められる我慢が小さくなかった。スーパーカーとして楽しむには、興奮が若干足りなかった。

マクラーレン570Sが発表された時、AUTOCARでは競合モデルによる比較試乗を実施した。ポルシェ911 ターボとアストン マーティン・ヴァンテージに並んで、R8も同じ土俵へ加わったが、結果は振るわなかったと記憶している。

その印象のままだったら、これほど別れを惜しむことはなかったと思う。しかし2017年に、四輪駆動の「クワトロ」を自慢とするアウディは思いきった決断をした。フロントのドライブシャフトを省いたのだ。

アウディの量産車として初めて、後輪駆動モデルが誕生した。シャシーバランスに秀で、挙動の予想がしやすく、コミュニケーション力が高い、出色のR8へ仕上がっていた。筆者に限らず、自動車ジャーナリストはこぞって高く評価した。

V10エンジンとシャシーとの相性は抜群

当初、そのR8 RWSは999台の限定生産となっていた。だが人気へ押されるように、2018年にR8 RWDが正式なカタログモデルへ追加されている。いま筆者が試乗しているのも、その愛おしい最終仕様、R8 V10パフォーマンス RWDエディションだ。

カーナビは少々使いにくく、デジタルラジオは感度が良くない。インテリアデザインも、時間の経過を感じさせる。表面的な部分では、多少の古さを隠せない。それでも、後輪駆動のR8のドライビング体験は極めて素晴らしいままだ。

初代ではV8エンジンに劣ると感じていたV10エンジンも、熟成を重ねた2代目では、滑らかで個性的で、完璧なパワーユニットに思える。ダウンサイジングターボの時代に大排気量・自然吸気が維持され、サウンドやレスポンスは孤高といえる。

最高出力は570ps/8000rpmで、最大トルクは56.0kg-m/6400rpm。2代目のR8の中では高い部類に入らないとしても、まったく不足はない。

V10エンジンと、後輪駆動のシャシーとの相性は抜群。中回転域でトルクが豊かに湧出し、しっかり足腰の限界領域まで負荷を加えることができる。それでいて、過剰気味なパワーに圧倒されることもない。

最近の高性能モデルは、一層の速さが追求されているものの、一層重くなってもいる。強力で鋭い加速を実現しつつ、親しみやすさが増しているわけではない。

洗練された、満たされるドライバーズカー

このR8は、優れたパワートレインと軽量なシャシーが調和することの素晴らしさを、現実的な走りで再確認させてくれる。高めの速度域でコーナーへ侵入し、アクセルペダルでバランスを探りながら頂点を通過するという、純粋的な楽しさがある。

右足へ力を込め、圧倒的な加速力に満足するだけのようなクルマとは違う。素性が高次元であることの証拠だろう。

例えるなら、わかりやすい味のファストフードと、じっくり味わう高級料理との違いともいえる。幸福感を得るのに、満腹になる必要はない。少しステアリングホイールを握っただけで、後輪駆動のR8の卓越ぶりが理解できてしまう。

モデル末期に登場した、R8 V10パフォーマンス RWDエディションの充足感は半端ない。洗練された、満たされるドライバーズカーだ。V8エンジンの初代R8と同じくらい、別れが惜しい。後世に語り継がれるべき傑作だといっていい。

撮影:ジャック・ハリソン

アウディR8 V10パフォーマンス RWDエディション(英国仕様)のスペック

英国価格:15万4976ポンド(約2805万円)
全長:4429mm
全幅:1940mm
全高:1236mm
最高速度:328km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:7.8km/L
CO2排出量:291g/km
車両重量:1590kg
パワートレイン:V型10気筒5204cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:570ps/8000rpm
最大トルク:56.0kg-m/6400rpm
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

17件
  • *******
    ランボルギーニからV10エンジン買い取って
    自分で作ったぽい感じでR8出したけど
    結局モデル抹消にまで追いやったアウディ

    扱うの無理なんだよね、アウディには。


    アウディにV8、V10は開発出来ない。
    S8のV8はポルシェ、廃盤のR8のV10はランボルギーニ買収。

    ガヤルドの発売は2003年から
    wikiにもランボルギーニの開発によるV10エンジン
    と明記。
    https://en.wikipedia.org/wiki/Lamborghini_V10

    アウディR8の発売は2006年から
    https://en.wikipedia.org/wiki/Audi_R8
  • tm3********
    いつものBMWネット工作員が知ったかで粘着してますね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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