スバルの新型レヴォーグ。2020年8月20日からの先行予約開始、10月15日の正式発表を経て、11月26日より発売される。
2014年に初代レヴォーグが歴代レガシィツーリングワゴンの後継モデルとして登場してから6年。スバルの“より遠くまで、より早く、より快適に”という「グランドツーリング思想」を継承するのが2代目となる新型レヴォーグだ。
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ポイントとなるのは「先進安全技術」「スポーティ」「ワゴン価値」の3つ。
まず大看板でもある「先進安全技術」は、次世代の「アイサイトX(エックス)」へ進化し、高度運転支援システムやアレイ式アダプティブドライビングビームを新たに採用した。
ふたつ目の「スポーティ」では、新開発の1.8L水平対向4気筒直噴ターボや電子制御ダンパー、2ピニオン電動パワーステアリングをスバル車として初採用。スバルグローバルプラットフォーム(SGP)+フルインナーフレーム構造の採用で、動的性能を大きく向上させている。
最後の「ワゴン価値」は、国内市場では国産のライバルがもはや存在しない快速ツアラーモデルとしてジャストなボディサイズとパッケージング、先進的なインテリアを提供するというものだ。
すでに方方で高い評価を得ている新型レヴォーグ。今回は「アイサイトX」「開発者の思い」「デザイン」「試乗して実感するその進化」といった切り口からその「凄さ」に迫る!
■新型レヴォーグ価格表 ※ディーラー調べ
・GT 310万2000円
・GT EX 348万7000円
・GT-H 332万2000円
・GT-H EX 370万7000円
・STI Sport 370万7000円
・STI Sport EX 409万2000円
【画像ギャラリー】想像を遥かに超えた進化!!! スバル 新型レヴォーグをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年10月のものです
文/ベストカー編集部、インタビューとりまとめ/永田恵一、写真/SUBARU、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年11月10日号
■ついに登場 最新の先進安全装備! アイサイトX(エックス)の実力
まずは新型レヴォーグから初めて搭載される新世代の先進安全装備の「アイサイトX(エックス)」について詳しくお伝えしよう。
想像を超えた進化で高評価を得ている新型レヴォーグ。その「凄さ」に迫る
●新型ステレオカメラに前後4つのミリ波レーダーを採用
これまでのアイサイトVer3(ツーリングアシストを含む)まではステレオカメラのみを使っていたのだが、アイサイトXでは新たに広角化された新型のステレオカメラを採用しているのがポイント。
ステレオカメラはこれまでの日立オートモティブ製から新たにスウェーデンのヴィオニア製に変更され、検知がより広角化されている
ステレオカメラは従来までの日立オートモティブ製からスウェーデンのヴィオニア社製に変更され、カメラユニットの設置場所についてもこれまではルームミラーに近い内側にあったのが、フロントウィンドウ埋め込みタイプに変更されているのがわかる。
これに新たに前方の左右側方と後方の左右側方に計4つのミリ波レーダー及び電動ブレーキブースターを採用し、車両の周囲360度をセンシングすることが可能になった。具体的には、アイサイトの作動領域が拡大されることで次の4つの機能を実現。
1)プリクラッシュブレーキ(作動領域拡大)……自転車や対向車、横断者も広角カメラで検知する。
2)前側方プリクラッシュブレーキ……カメラで見えない前側方から接近する出会い頭のクルマもレーダーで検知する。約60km/h以下で警報、約20km/h以下でブレーキを制御。
3)緊急時プリクラッシュステアリング……プリクラッシュブレーキだけでは止まり切れない場合、システムが操舵制御を行い、衝突回避をサポートする(約80km/h以下)。
4)エマージェンシーレーンキープアシスト……後側方から接近してくるクルマを見逃して車線変更しようとした場合、音と表示で警報を出し、さらにステアリングを制御して車線の逸脱抑制をサポートしてくれる。ウインカー作動時も作動する(約60~120km/hの場合)。
高速域プリクラッシュのデモンストレーションシーン。60km/hの速度から目標物に向かっていくが、直前でしっかりと停止する
●いずれもスバル車初採用となる高度運転支援システム
アイサイトXを支えるのが準天頂衛星「みちびき」を使用した3D高精細地図データと高精度GDS情報の活用だ。
スバル車では初採用となる、約50km/h以下の渋滞時でのハンズオフアシスト機能
アクティブレーンチェンジアシストにより、ウインカーの操作に応じて車線変更をサポートする。こちらもスバル車では初採用の機能
また、ステアリングにはハンドル保持を高精度で検出するタッチセンサーを採用したほか、ドライバーがクルマに乗り込むとインパネセンターバイザー内蔵カメラがドライバーの顔を認識する現行フォレスターでも採用のDMS(ドライバーモニタリングシステム)をシステムに取り込んでいるのもスバル車では初の採用となる。
これにより、次の5つの高度運転支援システムを実現している。
1)渋滞時ハンズオフアシスト……渋滞時には約50km/h以下の条件でハンズオフが可能。
2)渋滞時発進アシスト……頻繁に停止と発進を繰り返す渋滞時もスイッチ操作なしで走行可能。
3)アクティブレーンチェンジアシスト……ウインカーの操作に応じ、自動的に車線変更。ツーリングアシストと連続的に作動して途切れずにアシストする。
4)カーブ前速度制御・料金所前速度制御……適切な速度への制御で走行シーンでの実用性を向上。
5)ドライバー異常時対応システム……運転中にドライバーが急病などで運転が不可能になった場合、事故を防ぐために車線内で自動的に減速、停車させる機能。ツーリングアシスト中や渋滞時ハンズオフアシスト中、ハンズオフ警報にドライバーが応答しないと作動してハザードランプを点滅させ、ホーンを鳴らすことで周囲に知らせる。また、衝突安全に関しては新たに助手席シートクッションエアバッグを初採用。
カーブ前や高速道路の料金所などの手前では、適切な速度にまで制御することで走行中の実用性を向上させている
このほか、コネクティッドサービスによって7つの“つながる安全”を提供してくれる。
1)リコールお知らせ機能
2)ソフトウェア更新
3)先進事故自動通報(ヘルプネット)
4)スバルSOSコール
5)スバルiコール(安心ほっとライン)
6)セキュリティアラート
7)故障診断アラート
ちなみにアイサイトXがフルスペックとなるのは38万5000円が上積みされる各EXグレードとなるが、これだけの機能が追加となるのなら決して高くはないだろう。
対歩行者プリクラッシュブレーキのテストシーン。作動領域が拡大されており、検知機能が広角化された新型ステレオカメラの威力が大きく発揮されている。対向車、自転車、歩行者を幅広くキャッチ
■新型レヴォーグ開発者の思い│五島賢PGM・峰岸貴弘車両研究実験総括部主査に聞く
ベストカー 劇的な進化に驚いているのですが、ディーラー試乗でも即感じるくらいの「進化のわかりやすさ」というのは意識されたものだったのでしょうか?
新型レヴォーグの開発を担当したスバル商品企画本部の五島賢プロジェクトゼネラルマネージャー
五島 そこはかなり注力しました。SIシャシー改良版の先代レヴォーグも年次改良などいろいろ手を加えてきましたが、SGPが登場してからの熟成もあり、レヴォーグが劣勢になってきたのは事実でした。
そういった社内での背景に加え、営業部門から「レヴォーグを実質的な国内フラッグシップに」という声が大きかったこともあり、「今後数年はレヴォーグがスバルのトップであるように」という意気込みで開発しました。
ベストカー 劇的な進化がすぐわかる要因は、どんなところとお考えでしょうか?
五島 フルインナーフレーム構造のSGPのボディの強さが土台となるロードノイズの小ささに代表される静粛性、ハンドルを切った際のレスポンスのよさが大きいと思います。
ここまで先代モデルからの進化が明確なクルマというのは私も経験がなく、素性のよさというのはボディだけ先代の試作車から感じました。それだけに手を加えるたびにいい方向に進み、「開発中にビッグマイチェンしたみたいだね」と言う人がいたほどでした(笑)。
ベストカー それを聞くと、今後の伸びしろが心配になってしまうくらいです。
五島 その点に関しては運転支援システムやドライブモードセレクトをはじめとしたソフトウェアや電子制御など、構想はいろいろあります。
ベストカー 関連事項として、ハイパワー版の追加などはいかがでしょうか?
五島 こちらも考えてはいますので、期待していただければとお答えしておきます(笑)。
* * *
ベストカー 峰岸さんの立場から新型レヴォーグでアピールしたいポイントは?
スバル車両研究実験総括部の峰岸貴弘主査(写真右)。開発中の苦労話なども伺うことができた
峰岸 やはりスバルらしいスポーツ性と快適性のバランス、先進安全装備の完成度ですね。特にドライブモードセレクトでは地味ですが、エアコンのモードもありますので、ご夫婦で使われる際もより快適に過ごしていただけるかと。
ベストカー 五島さんからの一番難しかった開発時のリクエストは何でしたでしょうか?
峰岸 たくさんありましたが(笑)、「ドライブモードセレクトの変化度合いをわかりやすく」ということでしたね。
ベストカー ありがとうございました。公道試乗がますます楽しみになってきました!
■「BOLDER」デザイン採用のエクステリア
ここでは、新型レヴォーグのディメンションについてみていきたい。先代型と同様、新型も国内市場のユーザーを徹底して見据えたジャストサイズのステーションワゴンだ。
ワゴンというよりもシューティングブレーク的な位置づけとなるレヴォーグ
コンセプトモデルである「VIZIVツアラーコンセプト」の面影を色濃く感じさせる新型レヴォーグのリアビュー
そのボディサイズは全長4755×全幅1795×全高1500mm、ホイールベース2670mm。先代型から全長で65mm、全幅で15mm、ホイールベースを20mmアップ。
フロントビュー
サイドビュー
リアビュー。全長、全幅、ホイールベースを延長しながらも使い勝手は現行型から大きく変わらないことを目指した新型レヴォーグ。国内市場のジャストサイズを目指した
このため、前後席間のスペースは869mmと先代よりも25mm拡大し、後席居住性を向上。それでいながら全幅は1800mm未満に抑え、都市部の立体駐車場に対応するのは嬉しいところ。
また、全幅を拡大した恩恵は運転席と助手席間のスペース向上にも寄与し、室内幅の前席間は730mmと先代型から20mmアップ。
エクステリアデザインについては、2018年のジュネーブショーで公開のVIZIVツアラーコンセプトで提案された「ダイナミック×ソリッド」から「BOLDER」(より大胆な)に進化。コンセプトモデルのデザインを巧みに市販モデルに昇華させている。
新型レヴォーグと先代モデル(右)。新型はSGP+フルインナーフレーム構造の採用で、従来型よりもボディのねじり剛性を44%もアップ!
新型レヴォーグのデザインテーマは「パフォーマンス×アドバンスト」で、今にも走り出しそうな前傾軸を基調としたデザインに、ヘキサゴングリルから始まる塊感の強いボディライン、内圧によって外側に張り出したフェンダーデザインが特徴的だ。
パッと見た感じでは、従来型のキープコンセプトに近い印象を持つ人が多いかもしれないが、新型レヴォーグのデザインはスバルらしい先進性を随所に散りばめている。
そのひとつがヘッドランプ。「コの字」型のCシェイプ部に微細なカット加工を施した導光ライトガイドを採用して質感を向上させたほか、ポジションランプとターンランプの切り替え機構の採用で全体を小型化しているのだ。
ヘッドランプ
また、インテリアデザインも新型レヴォーグのハイライトのひとつ。メーターには多くの情報を見やすく配置した12.3インチのフル液晶タイプを採用し、センターには操作系や表示などを集約する大型の縦型11.6インチインフォメーションディスプレイを配置するのが目を引く(※各EXグレードに標準装備)。
「安定」「安心」「愉しさ」という3つの軸から構成されているインテリアデザイン。先進性と居心地のよさを目指している
現行インプレッサのインパネデザインをベースとしながら、エアコンの吹き出し口やインパネ各部の部材を上質なものに変更し、上級感のある質感を実現している。
本革ステアリングについてもメルセデスベンツなど欧州の輸入車ワゴンにも負けない高触感本革を採用し、ステアリング下を水平にカットしたDシェイプステアリングにしている。
また、スバル車で初めてドアのチェッカーをコイルスプリング式に変更し、閉まる直前までアシストして閉まり性を向上。ドア操作質感を向上させているのも見逃せない。
■試乗:新型レヴォーグ=「新世代スバル」の走りとは?
●松田秀士の評価
スバル車ってボクのなかでは応答性にこだわっていたメーカーという感じだった。いかに旋回時のヨーを早く発生させ、ステアリングを切った方向にボディを曲がらせていくか。要はスバル車の乗り心地についてはハーシュネスや突き上げ感が気になっていたんだ。アシが硬かったから。
ザックス製電子制御サスを採用するSTI Sportには「ドライブモードセレクト」を採用。スイッチで「Comfort」「Normal」「Sport」「Sport+」の4つのモードを選べる
ところが、今回の新型レヴォーグではコンベンショナルな標準サスもザックスの電子制御サスのどちらもものすごくコントローラブルに仕上げられている。
人って目で見てからコーナーでハンドルを切るように脳に指令が行くまで0.18~0.20秒のラグがあるんだけど、その初期にステアリングを切る時の「溜め」がきちんとできている。
2ピニオン電動パワステ採用で操舵時のフリクションを低減。応答遅れのないスポーティなフィールに
トラクションを持ったリアの流れ方、上手にコントロールされたロールを作っているのが新型レヴォーグの走りの特徴だ。アシもちゃんと粘るし、スバルらしい進化と言えると思う。特にリアのインナー剛性を上げているのがSGP+フルインナーフレーム構造の恩恵だろうね。
●片岡英明の評価
従来型モデルに比べて2ランクくらい走りの実力を上げてきた感じ。個人的にはザックス製の電子制御サスを与えられたSTI Sportじゃなくても標準タイプで充分だと思った。
新型は従来型で感じられた曖昧さがなくなり、すべての動きが滑らかになっているんだよ。
“キャラ変”するドライブモードセレクトの走り!
従来型は動きにある種の癖があり、ドイツ車に比べてしっかり感や安心感の面で劣っている印象が否めなかった。
これが新型に乗り替えると、路面のいなし方がまるで違う。間違いなく欧州Dセグレベルに迫る、いや凌駕する領域かも。
フロアのしっかり感は段違いで、プラットフォーム自体も現行インプレッサの時から数段上げてきている。
1.8Lターボエンジンもトルクの出方がいい。最高出力自体は従来型の1.6Lから7psアップに過ぎないが、5kgm以上の最大トルク向上の効果は大きい。また、シートの出来も秀逸で横Gがかかった時のホールド性もかなりよくなっているのを実感。
新開発の1.8L水平対向4気筒直噴ターボのCB18。最高出力177ps/最大トルク30.6kgmをマーク
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みんなのコメント
デザインだけで、買いたくなるまでに入っていないよな。