ロータスが関わったクルマたち
執筆:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
【画像】ロータスが関与したモデルたち デロリアンにヴァンキッシュ 最新エミーラも 全158枚
翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)
前半ではキア・エランへ試乗したが、後半ではロータスとの関係性が深いクルマを振り返ってみたい。実際、ロータスが関与し高い評価を残したモデルは少なくない。そのなかで特に英国で有名な1台といえば、フォード・コルチナ・ロータスだろう。
一般的な見た目のサルーンは、ロータスがチューニングしたツインカム・エンジンが搭載され、公道やサーキットを暴れまわるモデルへと進化していた。ジム・クラークが片輪を浮かしてコーナーを攻める姿は、当時の箱車レースの象徴といえるものだった。
クライスラー・サンビームというハッチバックをベースとした、タルボ・サンビーム・ロータスも、英国人にとっては忘れがたい。ロータス社製の2.2L 16バルブエンジンを搭載した、ラリー・ホモロゲーション・マシンだ。
スリリングなホットハッチとしてだけでなく、世界ラリー選手権では見事な活躍を残している。1981年のマニュファクチャラーズ・タイトルを、タルボへ与えたほど。
ヴォグゾール(オペル)・ロータス・カールトンにも触れておくべきだろう。新車時は、世界最速の4ドアサルーンで、E34型のBMW M5と直接比較される存在だった。
ロータスはシャシーを改良するだけでなく、3.6Lツインターボ・エンジンの開発にも関与。M5ほど充足感のあるドライビング体験ではなかったかもしれないが、ハイパワーターボを載せたファミリーサルーンという存在は、当時唯一の存在だった。
いすゞ・ピアッツァやコルベット ZR-1も
ロータスの名前が追加されていなくても、深く関わっていたモデルは少なくない。テスラ・ロードスターのベースがエリーゼだったことは、多くの読者が知るところだろう。生産も請け負っていた。
オペル・ロードスターも、ベースのエリーゼから大幅に手が加えられていたとはいえ、技術や哲学は受け継がれている。過小評価されていることが不思議でならない。
日本のいすゞ・ピアッツァにも関わっている。ロータスがサスペンションへ手を加え、柔らかいスプリングと硬めのロールバーによって、運転の楽しいクルマに仕上がっていた。他にもいすゞには、ハンドリング・バイ・ロータスと冠したモデルが複数あった。
1990年のC4コルベットに追加された、ZR-1もロータスによるもの。当時はロータスもGM傘下にあり、高性能仕様の開発を任されている。伝統的なスモールブロックV8エンジンにも、しっかり手が加えらた。
プッシュロッド駆動のバルブとヘッドが取り外され、4本のカムシャフトと32枚のバルブを備えたヘッドへ交換。その結果、過去最高のコルベットの1つとして、今でも高い評価のままだ。
デロリアンDMC-12の開発にロータスが関与していたことは、AUTOCARでは何度かご紹介している。ジョン・デロリアンが考案したミドシップには不完全な要素が多く、ロータスは設計をやり直す必要があったという。
軽量なスポーツカーを目指し、ロータス・エスプリのようなスチール製バックボーン・シャシーをベースに再考された。だがパワー不足で開発も充分とはいえず、良好な結果は残せなかった。
明らかになったゲイドンとの関係性
初代アストン マーティン・ヴァンキッシュの開発にも、ロータスが関わっていたという事実は、ここ数年で明らかになったこと。接着剤で組み合わされたアルミニウム製アーキテクチャは、確かにエリーゼのボックスシャシーと似ている。
20年ほど前のアストン マーティンは、開発機能の殆どを失っていた。トム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)がDB7を手掛けた理由でもある。ヴァンキッシュの開発は、そっくりロータスへ依頼されたらしい。
ヘセルのエンジニアは既に経験のあった技術を活かし、シンプルで軽量、強固なシャシーを開発。アストン マーティンはそれ以来、そのシャシーを複数のモデルへ利用した。
ヴァンキッシュはDB9へと展開し、シャシーはV/Hプラットフォームへ進化。2020年のラピード終了まで用いられるほど、優秀な内容だった。
ロータスは現在、新しいオーナーの元で次の世代へ進もうとしている。これまでのロータスのビジネスでは重視されてこなかった、エンジニアリング面での再構築にも重点が向けられている。
新しいエヴァイヤやエミーラだけではない。これからも少なくないモデルが、ロータスの協力を受けて公道へ舞い降りることだろう。関与した事実は、後年に明らかになるのかもしれないけれど。
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