2005年、著しい性能競争激化が進むプレミアムsuvの中にあっても極めて異色だったのは、フォルクスワーゲントゥアレグ W12スポーツ。それまでガソリンエンジンはV6とV8のみで、パワーウォーズから一歩引く姿勢を見せていたフォルクスワーゲンが、突然12気筒エンジンを搭載して戦線に参入。ライバルとなるハイパワーSUVとともに行ったMotor Magazine誌のテストドライブの模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年11月号より)
アクセルを踏み込まなくても静々と速い。その走り味は別格だ
フォルクスワーゲンにとってW型12気筒エンジンは特別の存在らしい。自社ブランドでこれを搭載するのはフェートンのみ。あとはアウディA8、ベントレーといった高級車ばかりでトゥアレグにも設定はなかった。
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しかしその禁が破られた。世界限定500台(うち日本への割当ては100台)でトゥアレグW12スポーツが登場したのである。W12エンジンは6Lの排気量から450ps、600Nmを得ている。
トゥアレグは車重2570kgというヘビー級だが、その質量をほとんど感じさせない動力性能は独特の迫力だ。中でも3000rpmあたりで湯水のように湧いてくる底なしのトルク感がスゴイ。したがってアクセルをあまり踏み込まずとも静々と速い。さらに回転フィールも極めて滑らか。アイドリング中でもシリンダーヘッド上にユーロ硬貨が立つというフェートンのマナーの良さは、トゥアレグにも正しく受け継がれていた。
しかしW12スポーツはそんなジェントルな面ばかりを持っているわけではない。レブリミットは6800rpmとかなり高めで、回すほどにパワーも盛り上がって来る。
ステアリングの左右に生えたパドルで積極的に回して行くと、SUVにはあるまじきペースでワインディングを駆け回るようなこともできるのだ。
足まわりはV8にエアサスペンションをベースにスタビ強化などの特別チューンが加わる。そして足下には275/40R20という大径タイヤ。その乗り味はやはり特別だ。ロールを極端に抑えているため旋回性能は鋭い。
ただし、そのせいで足はかなり締め上げられており、重いエンジンを鼻先に載せることもあって乗り心地も相応にハード。路面からの入力が大きく、たとえエアサスをコンフォートにセットしてもコツコツと来る。
そうした乗り味は、内外装にアルミ材をふんだんに使い、4本出しのエキゾーストパイプで個性を主張する「スポーツ」のイメージによくマッチしている。標準のトゥアレグは比較的シックで大人しいが、このモデルは限定車ということもあってかなり突き抜けた。そしてそれは現在のプレミアムSUV界においては正しい方向性なのだろう。日本ではすでに完売だそうだ。(石川芳雄/Motor Magazine 2005年11月号より)
フォルクスワーゲン トゥアレグ W12スポーツ(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4770×1975×1710mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:2570kg
●エンジン:W12DOHC
●排気量:5998cc
●最高出力:450ps/6000rpm
●最大トルク:600Nm/3300rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:1047万9000円(2005年当時)
[ アルバム : フォルクスワーゲン トゥアレグ W12スポーツ(2005年) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
むしろ、そっちのほうが凄いと思うよ~
400ps 100kg/m くらいあったかな?