アンドレア・ステラはチーム代表を務めてわずか2シーズンで、マクラーレンに26年ぶりのコンストラクターズタイトルをもたらした。
シーズン最終戦では、マクラーレンの2台のマシンがグリッドのフロントロウに並んだ。有利な状況を整えたマクラーレンがタイトルを手にするために必要な条件のなかで、もっとも厳しいものは、フェラーリがワン・ツー・フィニッシュを決め、ファステストラップもスクーデリアのドライバーのひとりが記録するパターンであり、求められるもっとも高い順位はランド・ノリスとオスカー・ピアストリが3位と5位でフィニッシュすることだった。
マクラーレンが26年ぶりのコンストラクターズ制覇。フェラーリは逆転叶わず【F1第24戦決勝レポート】
しかし、スタートから10秒後にピアストリがマックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接触して最後尾に落ち、ステラ代表はその大きな余裕が消滅したのを目の当たりにした。
レースが無事終わり、王座を手に安堵したステラは、レースのすべての局面についていつものように詳細な分析を行ったが、まずピアストリが優勝争いから脱落した最初のコーナーでのインシデントを振り返ることから始めた。
「第1コーナーをチェックした後で最初に思ったのは、あれは『不要なことだった』と感じたことだ」
「チームが選手権の頂点を目指して戦い、シーズンのすべての努力を収穫するはずのこのレースにおいて、あれはすこし余計なものだった」と苦言を呈す。
この接触によってピアストリが最後尾まで順位を下げ、チームにとって大量のポイントを獲得できる位置にいるのはノリスだけとなった。そして、つねに注視すべきシャルル・ルクレール(フェラーリ)がたった1周でポジションを11番手まで上げたことで、マクラーレン側には一気にプレッシャーがかかった。
しかしステラは、この時のチームの対応を非常に誇りを感じていた。
「逆境は、時に強さを発揮する機会を与えてくれる。今日はまさにそうしたことが起こった」
「まず、オスカー(・ピアストリ)は決して諦めず、何よりも重要なポイントを獲得するために挽回したからだ。最後のスティントでカルロス(・サインツ/フェラーリ)とランド(・ノリス)が入れ替わっていた場合でもそうだ」
「そしてランドは自身の強みを発揮し、あらゆるプレッシャーがかかっていた状況で完璧にレースをまとめた。無線でも非常に冷静さを保っていたよ」
レースでのピットストップ後、サインツはノリスから2秒以内につけた。その後、レース後半にかけてはタイヤのグレイニングが潜在的なポイントとなりはじめ、サインツがトップに立つ可能性はまだ残っていた。
ただ、チームは選手権の状況を理解してノリスの走りを信用し、焦点をピアストリのリカバリーに移した。
「我々は選手権の状況を理解していたので、オスカー(・ピアストリ)とともに9位を確実に獲得するよう懸命にプッシュしていた。なぜなら、ここで手にする2ポイントは不可欠だったからだ」
先頭のノリスが状況をコントロールしているように見えたが、その一方でステラは次のように認める。
「我々は間違いなくナーバスだった。ノリスの前に現れる周回遅れのパスが課題だっただけでなく、セーフティカー(SC)もチームの妨げになると想定していたからだ」
「そうなれば、カルロスが我々と逆のことをしていたかもしれなかった。仮にSCが出てもし我々がピットストップをしなかったら、彼は新しいタイヤを履いていたかもしれず、それは問題になっただろう」
「そして、もし我々がピットインしたら、彼がトップに立ち、我々は彼をオーバーテイクしなければならなくなったはずだ。だから、この想定について我々は間違いなく緊張していた」
「もちろんバックマーカーたちについても、彼らの後ろではグリップが少し失われることに加え、ここは彼らを追い越すスペースがそれほどないコースだった」
最後にステラは、プレッシャーがかかるなか、シーズン最後のタイヤ交換を完璧にこなしたマクラーレンのピットストップクルーに敬意を表した。「チームの強さを示すチャンスは最後のピットストップにあった」と考えを述べ、次のように賛辞を贈った。
「シーズン全体の成果は、最後のピットストップに結実していたと思う。もし問題が発生していたら、カルロスにポジションを奪われ、チャンピオンシップも失っていたかもしれない。チームは、今シーズン最高のピットストップのひとつと思えるものを行った」
「マシンのパフォーマンスだけでなく、チーム全体の成熟度、メンタリティ、感情的な回復力といった軌跡を見せた。皮肉にも、第1コーナーでの接触のおかげで、チームの力が明らかになる機会が与えられた」
それでもステラは最後に、「今後は逆境に陥ることなく、より速いマシンを手に入れ、より安全になり、シーズン最後のレースが決定的なレースにならなくてすむようになることを願っている」と、さらに強いチームを作る決意を述べた。
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