現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 普及が進む「自動ブレーキ」に過信は禁物 速度によっては作動しないことも

ここから本文です

普及が進む「自動ブレーキ」に過信は禁物 速度によっては作動しないことも

掲載 更新
普及が進む「自動ブレーキ」に過信は禁物 速度によっては作動しないことも

■自動ブレーキには制限速度が設けられている

 いわゆる「自動ブレーキ」と呼ばれている「衝突被害軽減ブレーキ」ですが、近年では普通乗用車のみならず、軽自動車、バス、トラックと、ありとあらゆるクルマに搭載が進んでいます。

走行中もブレーキランプ、なぜ多い?「ブレーキ踏み過ぎ運転」 エンブレ知らない人が増加?

 車両の前方に設置されたカメラによる画像解析や、ミリ波レーダー、赤外線レーザーなどを駆使して道路状況を監視し、衝突の危険を感知すると、自動でブレーキを作動させ、衝突を回避、または被害を軽減する役割を果たします。

 しかし、衝突被害軽減ブレーキは、すべての速度域をカバーしているわけではなく、自車速度に上限があることを知っていますでしょうか。

 例えば、ホンダ「シビック」の安全運転支援システム「ホンダセンシング」のうち、衝突軽減ブレーキ「CMBS」では約5km/h以上でセンサーが動作し、100km/h以下で走行中に衝突の恐れがあるときに自動ブレーキが作動すると取扱説明書に記載があります。日産のノートに搭載されている「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」であれば80km/h、スバルの「アイサイト」の衝突被害軽減ブレーキが160km/hとなっています。

■上限速度はなぜ定められているのか

 上限を超えた速度で走行している場合、衝突被害軽減ブレーキは作動することはありません。各社それぞれの上限速度を設定している理由は何でしょうか。

 衝突被害軽減ブレーキの作動する速度の上限について、ホンダにうかがいました。

──シビックに搭載されている「CMBS」は上限速度を100km/h以下としていますが、その理由は何でしょうか。

 高い速度になるほど対象物(衝突相手)を遠方から認識する必要がありますが、遠方になるほどレーダーやカメラで認識することが難しくなります。よって高い速度では十分な作動ができないことから、作動上限速度を設けています。

※ ※ ※

 現時点でのカメラやセンサーが正確に道路状況を分析できる性能の限界が、上限速度を定めた理由のようです。日本の法定速度は高速道路で100km/h(一部区間のみ110km/h)、一般道であれば60km/hであるため、実用に問題のない範囲となっています。

 また、衝突被害軽減ブレーキが作動する上限速度を160km/hに設定しているスバルですが、上限速度とは別に、自動ブレーキが作動しない状態があるといいます。スバルにうかがったところ「前方の車両との速度差が50km/hより大きい場合は、性能限界から衝突を回避することはできません」とのことでした。

 ほかにも、対歩行者の場合、スバルの衝突被害軽減ブレーキは速度差が35km/h以下でないと自動ブレーキが動作せず、日産のインテリジェント エマージェンシーブレーキでは、60km/h以上で走行している場合は、歩行者に対して自動ブレーキが動作しないなど、それぞれの制約があり、メーカーや車種などでも異なります。

■今後の技術開発によりさらに上限速度は上がる見込み

 近年、日本では制限速度の上限の引き上げが進められており、一般道では一部区間が80km/hに引き上げられ、高速道路では、前述の通り試験運用ではありますが110km/hの区間が存在します。

 今後ますます高い速度域での衝突被害軽減ブレーキが必要となると考えられますが、日産は「技術開発が進むにつれて、対応できる車速は上がっていく見込みです」としています。

 上限速度のほかにも、歩行者やバイクなどの感知の有無など、現時点ではまだ制限があることは事実ですが、今後の技術開発により制限は解消されていくことと思われます。

 しかし、衝突被害軽減ブレーキはあくまで、前方の車両や歩行者との衝突回避操作を支援、または衝突時の被害や傷害の軽減を目的としていて、あらゆる状況で効果があるわけではありません。

 衝突被害軽減ブレーキの動作範囲の速度域であっても、雨や雪、霧が出ているなど視界が悪い状況や、カメラやレーダー、レーザー照射部付近に汚れが付着してしまっている場合など、そのほかさまざまな状況で正常に作動しない可能性があります。

 事故を起こしてしまった場合は、ドライバーの過失になります。衝突被害軽減ブレーキはあくまで補助装置なので、ついているからと過信せず、安全運転を心掛ける必要があります。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
約148万円! スバル新型「軽ワゴン」発表! “水平対向”じゃないエンジン&スライドドア搭載! ”大開口“実現の「シフォン」が販売店でも話題に
くるまのニュース
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
アウディ Q6 e-tronの中国専用「ロング版」はただ長いだけじゃない…広州モーターショー2024
レスポンス
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
タナク総合首位。勝田貴元はステージ優勝2回で総合3番手まで0.1秒差|WRCラリージャパンDAY2午後
motorsport.com 日本版
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
<新連載>[失敗しない初めてのスピーカー交換]ツイーターだけを“追加 or 交換”するのは、アリ!?
レスポンス
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
レッドブル、リヤウイングのスペック選定でミス?「空気抵抗が大きすぎる上に、この1スペックしかない」
motorsport.com 日本版
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
約270万円! ホンダ新型「“4.8m級”セダン」登場に反響多数! 斬新「光るボンネット」採用の「“迫力”顔マシン」に「近未来的」の声! 天井はほぼガラスな“超開放感”内装もスゴイ「L」中国で発売し話題に
くるまのニュース
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
ドーナツターン追加や坂の角度が緩やかに。ラリージャパン2024豊田スタジアム特設コースの変更点をチェック
AUTOSPORT web
全長5m超えのレクサス高級「“3列シート”SUV」に反響多数! 堂々「カクカク」デザインに「憧れる」「カッコイイ」と熱視線集まる! 広々内装も魅力的な新型「TX」に「日本でも欲しい」の声も
全長5m超えのレクサス高級「“3列シート”SUV」に反響多数! 堂々「カクカク」デザインに「憧れる」「カッコイイ」と熱視線集まる! 広々内装も魅力的な新型「TX」に「日本でも欲しい」の声も
くるまのニュース
ポップで個性的なモンスター達が作り出す世界観! SHOEIが「Z-8」にNEWグラフィック「YAGYO」を追加
ポップで個性的なモンスター達が作り出す世界観! SHOEIが「Z-8」にNEWグラフィック「YAGYO」を追加
バイクのニュース
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
レクサスのレザーもリサイクルでグッズに、リョーサンがトヨタと共同開発
レスポンス
グリーンがアクセントの爽やかコスが素敵! SUPER GTのGreen Braveは2人の「埼玉GreenBraveサポーターズ」が応援します
グリーンがアクセントの爽やかコスが素敵! SUPER GTのGreen Braveは2人の「埼玉GreenBraveサポーターズ」が応援します
Auto Messe Web
【試乗】新型CR-Vの日本導入は水素燃料電池車のみ! 特殊なクルマかと思ったら実用性十分の「買いやすい」モデルだった
【試乗】新型CR-Vの日本導入は水素燃料電池車のみ! 特殊なクルマかと思ったら実用性十分の「買いやすい」モデルだった
WEB CARTOP
ベントレー マリナーの技が冴える「エクスプレッション オブ テクスチャー」。感性を刺激する「コンチネンタルGTスピード コンバーチブル」ベースの特注モデル
ベントレー マリナーの技が冴える「エクスプレッション オブ テクスチャー」。感性を刺激する「コンチネンタルGTスピード コンバーチブル」ベースの特注モデル
Webモーターマガジン
角田裕毅、F1ラスベガスGP初日は10番手「FP1は苦労したけど、改善できました。ポジティブな兆候です!」
角田裕毅、F1ラスベガスGP初日は10番手「FP1は苦労したけど、改善できました。ポジティブな兆候です!」
motorsport.com 日本版
日高前副会長の後任に、ヤマハ渡部克明会長兼社長が就任【日本自動車工業会】
日高前副会長の後任に、ヤマハ渡部克明会長兼社長が就任【日本自動車工業会】
バイクのニュース
クルマに付けてる「青地に車いす」マークに“法的効力”一切無し!? 「黄色いちょうちょ」と役割違う? 意外と知らない実態とは
クルマに付けてる「青地に車いす」マークに“法的効力”一切無し!? 「黄色いちょうちょ」と役割違う? 意外と知らない実態とは
くるまのニュース
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
50台限定の『ディフェンダー110』発売、アリゾナの自然を表現した「赤」採用 価格は1300万円
レスポンス
ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
ヒョンデに続いて韓国のKIAも日本に上陸! どんなクルマが揃っているのかチェックしたらデザインも中身も結構ヤバい!!
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

193.7235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0234.9万円

中古車を検索
シビックの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

193.7235.2万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

25.0234.9万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村