■バブル景気とともに復活したスーパーカーブーム
1970年代中盤、日本での第一次スーパーカー・ブームは、ブームの始まりがそうであったように、ある日突然沈静化してしまった。
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そもそも日本で第一次スーパーカー・ブームの波に巻き込まれていた頃、世界の自動車メーカー、とりわけスーパーカーを生み出すメーカーは、アメリカから端を発した環境汚染問題、石油ショック、経済不況と、さまざまな問題に対応するために、きわめて厳しい時代を生き続けなければならなかった。
1970年代中盤から1980年代にかけては、スーパーカーにとっては、まさに苦難の時代であったといえたのだ。
それでもスーパーカーを生み出すメーカーは、環境性能への対応とともに、スーパーカーとしての正常進化を止めることはなかった。
例えば1980年代を迎えた段階で、フェラーリの12気筒モデルはBBシリーズの最終進化型である「512BBi」の誕生が目前であったし、8気筒の「308」シリーズも、次世代においてはクワトロバルブ(4バルブ)化という方向性は決定していた。
対するランボルギーニには12気筒の「カウンタック」と、オフローダーの「LM002」、8気筒の「ジャルパ」があるのみだったが、カウンタックは1980年代に「LP400S」、「LP500S」、「5000QV」、「アニバーサリー」と進化を続け、フェラーリ・BBシリーズのライバルとして存在感を主張し続けた。
第二次スーパーカー・ブームで大きな転機となったのは、1884年にデビューした2台のフェラーリ、BBの後継車となった12気筒ミッドシップの「テスタロッサ」と、発表時にはグループBのホモロゲーションモデルとも説明された「288GTO」の両車だろう。
これらはいずれも完全なニューモデルで、フェラーリに新しい時代が訪れたことを、一時スーパーカーの存在を忘れていた、世界のカーマニアに知らしめてくれたのである。
■主役はフェラーリ「F40」とポルシェ「959」
1987年になると、フェラーリ対ポルシェの新しい対戦の構図がさらに明確になる。
そのキャストは「F40」対「959」。F40は、最高出力478psの3リッターV型8気筒ツインターボエンジンをリアミッドに搭載し、その一方で当時の最先端技術を用いた軽量化を徹底した。
わずかに1104kgという車重から、最高速度は324km/hと主張している。参考までにF40は1311台が生産された。
この時代になると最高速が実測値であることを試そうというカスタマーも多く現れ、おそらくフェラーリの公称最高速度は、実際に達成した数値であると考えるのが妥当だろう。
一方ポルシェの959は、当時のポルシェがグループBへのホモロゲーションを目的に開発、限定生産したモデルで、デビューは1986年である。
そのボディ・シルエットこそ911に似ているが、実際に搭載されたメカニズムは、当時のポルシェが持つ最先端技術だった。
搭載された新技術は、フルタイム4WD機構を始め、6速MT、ダブルウイッシュボーン・サスペンション、可変式ダンパー、複合素材によるエアロダイナミクスに富むボディパネル、水平対向6気筒エンジンの水冷ヘッド等々となる。
200台の生産計画は最終的に283台となり、メカニズム的にシンプルな構成のF40との戦いは、仮にあの『サーキットの狼』がこの時代にまで存在したとするのならば、必ずや主役級の扱いを受けたに違いない。
このフェラーリとポルシェの成功例は、ほかのメーカーにも新時代のスーパーカーを生み出そうという意欲を呼び起こした。
イタリアにおけるスーパーカーの聖地、モデナには新興勢力のチゼタが誕生し、リアミッドに6リッターのV型16気筒エンジンを横置き搭載し、独特なフォルムと威圧感、そして336km/hの最高速でライバルを威圧した。
イギリスでは1988年に、ジャガーが「XJ220」の開発をスタート。1991年には仮想敵たるフェラーリF40に迫る322km/hの最高速を掲げ、3.5リッターV型6気筒ツインターボエンジンを採用して市場へと投じられた。
第二次スーパーカー・ブームと、第一次ブームが大きく異なったのは、そのブームを牽引した主役が子供ではなく、実際にそれを購入できる財力を持つ大人であったということだろう。
時にスーパーカーは不動産のように扱われ、大人の間ではどのクルマが将来値上がりするかという話ばかりが聞かれるようになった。とくにバブル景気が1991年に終焉を迎えるまえの日本では、スーパーカーはおよそ大人のマネーゲームの駒にも等しかったのだ。
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みんなのコメント
第一次スーパーカーブームを経験出来て、良かった。
クルマ趣味、バンザイ!