1972年といえば、沖縄がアメリカから日本に返還され、連合赤軍事件が起こり当時の首相が「日本列島改造論」を発表した、歴史の中の遠い日。そんな年に発売されたオートバイが、未だに現役で走りまわっているなんて誰が想像出来ただろう。そんなモンスターがカワサキZ1である。
※この記事は月刊オートバイ2011年8月号別冊付録を加筆、修正、写真変更などの再編集を施しており、一部に当時の記述をそのまま生かしてある部分があります。
カワサキ「900SUPER4」(Z1)誕生ヒストリー
いつの時代もライダーを虜にするスーパースター。その誕生はドラマチック、背水の陣で開発された
カワサキZの誕生は、時代の変革の波に翻弄された、波乱含みのスタートだった。
2ストロークのマッハシリーズ、メグロの流れをくむW1を大排気量車の柱にしていたカワサキが、新規ビッグバイクの自社開発をスタートしたのが1967年ごろ。N600というコードネームで呼ばれた新型モデルは、失敗すれば二輪事業撤退も、という背水の陣で臨んだプロジェクト。5年後の1972年発売を目指していた。
排気量は英国ノートン・コマンドを模範に750ccとし、レイアウトは量産市販車初の4気筒。弁方式は最先端のDOHCと決定された。68年後半には実走テスト段階にまで入っていたが、同年の東京モーターショーでホンダがCB750FOURを発表、69年に発売する。
N600と同じ750ccの並列4気筒を、3年も早く市場に投入されてしまったカワサキは、排気量を900ccにアップし、N600プロジェクトはなんとか中止を免れることになるのだ。
当時のビッグマーケットであるアメリカで成功するために、マッハで評価されたザッパー、つまり「速い」というイメージは絶対条件。CBナナハンを超えて、絶対に世界最速のバイクを作るんだ、という思いがZ1を生み出すことになる。
結局、CBから遅れること3年、CBが巻き起こした4気筒ブームをさらに上乗せする形でZ1がアメリカ、ヨーロッパで大ヒット。懸案のアメリカでのシェアはヤマハ、スズキを抜いて、巨人ホンダに迫るほどにもなった。
カワサキZ1の躍進の理由は、もちろんその動力性能にあった。あまりの動力性能に、チェーンやタイヤの耐久性をもひと世代進めたといわれるパワーと、完成直前に軽快すぎると社内評価があり、設計変更まで行なわれたハンドリング。
さらにカワサキ初の自社開発4ストロークビッグバイクということで、高い品質や耐久性も求められることになる。
特に耐久性に関しては、後に世界中のエンジンチューナーから絶賛されるほどのオーバークオリティぶりで、結果的にこれが、誕生して50年が経とうとする2020年になっても元気で走りまわる理由のひとつになっているのだ。
会社の存亡をかけたZ1への思いが、不滅の絶版車を生んだのだ。
すべてにおいてCBを上回ることを命題に世界最高水準を目指して開発が進められたZ1は、アメリカで2回に渡って5000マイル耐久テストを行うなど、徹底したチェックの末に72年6月から生産を開始。
流れるような気品のあるスタイリングと、ゼロヨン加速12秒フラット、最高速度200km/hオーバーをマークする傑出した動力性能、そのパワーを不安なく楽しめる卓越した操縦安定性、クセのない素直なコーナリング性能で、輸出開始と同時に爆発的にヒット。世界中にZ1ブームを巻き起こした。
その後、マイナーチェンジを重ね、76年にZ900A4、翌77年にはZ1000Aとなって、Z1という型式名、900ccという排気量は市場から姿を消すが、Z1E型エンジンはZ1000MkII、Z1000J、Z1000Rと進化を続け、カフェレーサー風のZ1Rやライバルメーカーに先駆けてフューエルインジェクションを採用したGP系など、個性的かつ画期的なマシンを次々に派生。
排気量も最終的には1100ccまで拡大され、85年型のGPZ1100を最後に後進の水冷4気筒モデルに道を譲った。
カワサキ「900SUPER4」(Z1)主なスペック
SPECIFICATION
●エンジン形式:空冷4ストローク並列4気筒DOHC2バルブ
●内径×行程(総排気量):66.0×66.0mm(903cc)
●最高出力:82PS/8500rpm
●最大トルク:7.5kg-m/7000rpm
●ミッション:5速リターン
●ブレーキ形式前・後:ディスク・ドラム
●全長×全幅×全高:2200×865×1170mm
●タイヤ前・後:3.25-19・4.00-18
●燃料タンク容量:18ℓ
●ホイールベース:1490mm
●乾燥重量:230kg
カワサキ「900SUPER4」(Z1)各部装備・ディテール解説
文:中村浩史/写真:松川 忍/車両協力:ウエマツ
※この記事は月刊オートバイ2011年8月号別冊付録を加筆、修正、写真変更などの再編集を施しており、一部に当時の記述をそのまま生かしてある部分があります。
[ アルバム : カワサキ「900SUPER4」(Z1) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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カワサキファンはうるさいから気をつけないと。