Bizzarrini 5300 GT Strada
ビッザリーニ 5300 GT ストラーダ
ビッザリーニ 5300 GT ストラーダが「今年一番のレストア賞」に輝く! 生産台数わずか100台の超希少車
レストアの名門、ソーンリー・ケラム渾身の1台
レストアのスペシャリスト、ソーンリー・ケラム社が手掛けた「ビッザリーニ 5300 GT ストラーダ」が2019年の“レストレーション・オブ・ザ・イヤー”に輝いた。
“レストレーション・オブ・ザ・イヤー”は、英国の自動車雑誌『Octane』および『evo』が主催するヒストリック・モータリング・アワードの一部門。妥協のない調査と歴史認識、センス、あらゆる技術的スキル、考えうる限りの最高の技量、そしてオリジナルに忠実であることが何よりも求められる。2019年のノミネートは、2018年8月1日から2019年7月31日までにレストアを完了した車両に限られる。
ソーンリー・ケラムのチームが今回手掛けたのは、わずか100台と少ししか生産されなかったビッザリーニ 5300 GT ストラーダ。クルマに不足はなかったが、プレッシャーは大きかった。なにしろかなりの数の精巧なレプリカが出回っているのに加え、オーナーは厳しい目を持つことで有名なロックバンド「コールドプレイ」のガイ・ベリーマン。
参考になる個体は数少なく、まずは調査が最重要課題となった。インテリアやボディ、メカニズムが元来の姿を留めているかどうか、ビッザリーニの専門書と徹底的に突き合せるとともに、この分野の生き字引として世界的に有名なジャック・クーブス・デ・ハルトクへ定期的に助言を求めた。
塗装の吹き付けだけで800時間
実際のレストア作業は、あらゆる手段を尽くして行われた。まずは車体をバラバラに分解することからスタート。スチール製のフレームに外皮を被せるこの手の車両のレストアには、およそ4000~4500時間、期間でいうと18ヵ月から24ヵ月はかかる。
分解が済むと、あらゆるパーツの“ビフォー”状態を徹底的に撮影。もれなくリストに落とし込み、作業別に適切な下請け業社を選定する。ここまでの工程が済んでからようやく実際のレストア/リビルド作業が始まる。通常は金属加工も内製で行うことが多いが、今回はGPパネルクラフト社のスペシャリスト、ゲーリー・ピットニーの手に委ねた。
一点の妥協も許されないレストア作業の中でも、そのクオリティの高さを立証するひとつの部分がペイントワークだろう。裸に剥かれた合金に塗料を吹き付ける作業には、最大で800時間が割かれる。ソーンリー・ケラムの塗装技術は世界でも最高峰のひとつとして評価されている。
床の間に飾らないからこその英断も
ブレーキがいささかトリッキーに過ぎるため、この部分だけは実用性を重視し改変された。オーナーのガイはこのクルマを日常的に使う予定であり、ショーで披露して床の間に飾るだけのものでは決してないからだ。しかし、ダンロップスタイルのブレーキには多少の変更を加えたものの、他の部分は完全にオリジナルの工場出荷状態を維持することを目指した。
たとえばオリジナルの溶接は決して出来栄えが良いとは言えない。しかし、それも特徴として据え置くことこそが重要と判断し、あるがままの状態としている。
ビッザリーニ 5300 GTはハンプトンコート パレスで2018年に行われたコンクール デレガンスに出場。ジャック・クーブス・デ・ハルトク自身が高く支持し評価を与えている。
ソーンリー・ケラムの共同創設者であるサイモン・ソーンリーは語る。
「今回のレストアは、膨大な調査とスキル、関係者の献身、そして我々チーム全体の情熱、そのすべてがあってこそ完成しました。このように称賛をいただけたことは非常に嬉しいことです。厳しい目を持つオーナーと、ビッザリーニのエキスパートたるジャック・クーブス・デ・ハルトクからもお褒めに与り、そしてこのような権威ある賞までいただいたのですから。自動車史における重要なひとつのかけらを、こうして保全する機会を頂戴できたことを光栄に思っています」
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