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スバルのクルマづくりに見る、安全の哲学「2030年死亡交通事故ゼロを目指す取り組みとは?」

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スバルのクルマづくりに見る、安全の哲学「2030年死亡交通事故ゼロを目指す取り組みとは?」

クルマが備える安全性への関心は日増しに高まっている。車対車はもちろん、歩行者や自転車などいわゆる交通弱者への対応も求められているいま、「2030年に死亡交通事故ゼロ」を目指して邁進するスバルの技術的な取り組みを紹介する。(Motor Magazine2023年2月号より)

日本はもちろん、米国や欧州の安全評価試験でも高評価を獲得
安全性能でも世界中で高く評価されているスバル。2022年に公表された各国の安全評価試験結果にも、それは如実に表れている。

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たとえば、米国のIIHS(道路安全保険協会)による安全性評価。6種類の耐衝撃性能試験を中心としたシビアな安全性評価試験で、アウトバック/WRX/フォレスター/BRZなど7車種(いずれも北米仕様車)が最高評価の「トップセイフティピックプラス(TSP+)」を獲得した。

TSP+の要件は2013年より導入されているが、スバルが獲得したTSP+は累計にものぼり、単一ブランドとしては最多となる。また極めて厳格なことで知られる側面衝突テストでは、ミッドサイズカテゴリーでアウトバックのみが「Good」評価を獲得している。

国内では、JNCAPで「ソルテラ」が衝突安全性能と予防安全性能の総合評価で最高得点を獲得、「自動車安全性能2022ファイブスター賞」を受賞した。前々年度のレヴォーグ、前年度のレガシィアウトバックに続く3年連続の快挙だ。

さらに欧州のユーロNCAPの2022年安全性能テストでも「ソルテラ」が最高評価のファイブスターを獲得するなど、その評価は揺るぎない。

もちろん、この定評は一朝一夕に獲得されたものではない。スバル独自の開発思想に基づいて、長年にわたり積み上げてきた地道な研究開発の成果にほかならない。

そもそも事故を起こしにくいクルマを作るという考えかた
スバルには「総合安全」という考え方がある。「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」そして「つながる安全」へ、である。

中島飛行機時代から引き継がれているスバルのDNAが「0次安全」という考え方だ。航空機では一瞬の操作ミスが惨事につながる。ゆえに、人間工学に基づいた適切な空間の実現が不可欠だ。クルマも同様。ハンドル、ペダルなどの操作機器の配置はもちろん、ドライバーの運転視界、助手席や後席の乗降性・着座姿勢・快適性など。すべてのスバル車に共通するベーシックな設計思想である。

特筆すべきは、ドライバーの運転視界だ。航空機では、パイロットが360度見渡すことができる視界性能が求められる。スバルは、クルマでも電子デバイスによる補助装置に頼るのではなく、ドライバーがまずは自分の目で確認できる「直接視界」を最優先している。不可避な死角は各種のミラーやカメラで補い、そのうえでシャシやボディの構造、アイサイトに代表されるさまざまな運転支援システムを搭載して万全を期す。

つまりすべての技術開発のベースの出発点は、危険回避性能の向上を含めた直接視界の確保であり、それによって安全を担保するのが0次安全の考え方なのである。

では実際にクルマが走っているときの安全性能、つまり「走行安全」と「予防安全」とは何か。走行安全については、スバルならではの水平対向エンジンとそれに由来するシンメトリカルレイアウトが大いに関係している。万が一の前面衝突にもエンジンがフロア下にもぐり込みやすく、かつ衝撃吸収のためのフレームを左右対称かつストレートに延ばすことで衝突エネルギーを効果的に吸収することができるのだ。

この素性の良さを活かして開発されたのが「新環状力骨構造」と呼ばれるスバル独自の衝突安全ボディである。キャビンをピラーやフレームでカゴのように結合することで、前方後方だけでなく、側方や斜め方向まで全方位で高い衝撃吸収性能を発揮するのだ(マルチロードパス構造)。

また、2014年より採用が始まったSGP(スバルグローバルプラットフォーム)は走りの質感を大いに高めただけでなく、安全性能のレベルもさらに引き上げた。ボディ骨格の連続性を高めるフルインナーフレーム構造を組み合わせることで車体の強度や衝撃吸収性能を大幅に進化させている。

ちなみに新型クロストレックでは、リアサブフレームを追加したほか、前後バンパービームを拡大して自車だけでなく衝突相手の被害軽減も図られている。

歩行者保護エアバッグを国内メーカーで初めて採用したのもスバル。新型クロストレックでは、フロントガラスまわり(Aピラー)にまで展開する最新の歩行者保護エアバッグが搭載された。また乗員の衝突被害低減技術の研究も進んでおり、肋骨への負担を軽減するエアバッグや乗員の体格を判別して最適な荷重を発生するシートベルトも開発され、同じく新型クロストレックから採用されている。

死亡交通事故ゼロの実現に向けて取り組んでいること
一方、「予防安全」とは事故を直前で回避する能力のこと。その象徴的存在が、2008年5月に登場した「アイサイト」である。コストを抑えながらも、歩行者や二輪車までも対象としたプリクラッシュブレーキや、全車速追従機能付きクルーズコントロール等を実現した画期的な運転支援システムである。その搭載車の世界累計販売台数は、2022年6月に500万台を達成している。

2020年にレヴォーグに搭載されて登場した新世代アイサイトでは、視野角を大幅に広げた新開発のステレオカメラと画像認識ソフト・制御ソフトの改良を組み合わせ、より幅広いシチュエーションでの運転支援が可能となった。さらに新型クロストレックには、新たに「広角単眼カメラ」を国内で初搭載したのもトピックだ。

そのほか、新世代アイサイトに前後4つのレーダーや高精度地図ロケーターなどを組み合わせた高度運転支援システム「アイサイトX」もレヴォーグを皮切りに国内展開が始まった。今後もアイサイトのさらなる進化が期待される。

そして現在、スバルが取り組んでいるのがリアルワールドで起きている事故の形態と発生原因のデータ収集と分析、それをフィードバックしたクルマづくりだ。視界の良いクルマづくり、走行安全や予防安全による動的安全性能のさらなる向上を目指すとともに、万が一衝突してしまった際に、クルマが命を守るための仕組みの開発に力が注がれている。

国内はもちろん米国を始めとする各国の研究調査機関や大学、さらには医療機関とも連携し、原因と状況、そして結果を分析。そこで得られるデータを日々の開発にフィードバックしている。急増しているサイクリストとの事故をもカバーする技術の研究開発も急いでいるという。

より多様でシビアな衝突にも被害を軽減し、死亡事故を減らすスバルの総合安全技術群。2030年の目標達成に向けて、その取り組みはますます加速しているようだ。(文:阪本 透/写真:永元秀和、スバル)

ミニコラム:スバル360から始まった安全性への意識
一瞬の判断ミスや誤った操作が深刻な事態をもたらす航空機の世界では、設計の段階から視認性や操作性が何よりも優先される。スバルのクルマは前身である中島飛行機のDNAを継承しており、初の量産車であるスバル360(1958年市販開始)以降、一貫してその開発思想を色濃く反映してきた。ちなみにスバル360は開発に際して、いち早く実車による衝突安全実験を採り入れていたことでも知られている。

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みんなのコメント

2件
  • 私自身はじめてのスバルフォレスターを3年目乗っています。
    確かに言われるように安全性の高い車と信じて購入を決めました。
    それは良いのですが、スバル車に一つ注文を付けるとすれば
    塗装が良くない。
    2層なのか?薄い擦り傷がつくとすぐベース地がでてしまい
    全く塗装に厚みがない。
    コンパウンドでは消せない。
    ベンツ、レクサスまでの8層とまでいかなくても、ちょっと改良して欲しい。
  • このままではスバルの存続も怪しいと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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