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サーキットで速かろうが関係なし! バックでクルマを操る「まるで別モノ」の運転上手とは

掲載 更新 41
サーキットで速かろうが関係なし! バックでクルマを操る「まるで別モノ」の運転上手とは

 オートテストでは「バックを制する者が競技を制する」

 突然ですがあなたは、手のひらに長傘を垂直に立てて、そのまま数秒間でもバランスを取って倒さないように保つことができますか? 長傘なじゃくても、細長いものならゴボウでも1mものさしでもなんでも試せるのですが、やってみると予想以上に難しいと思います。

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 じつは、これがうまくできる人ほど、クルマの運転で難しいとされているバック走行や、バックでの車庫入れが上手にできる可能性があるのです。

「いったいなんの関係が?」と思いましたよね。でも、長傘を手の上で立たせることと、クルマをバックで操ること。これには同じようなバランス感覚と、先を読む想像力が必要となるためなのです。

 その理由は後ほど解説しますが、皆さんはJAFが2015年から公認モータースポーツとして開催をスタートした「オートテスト」をご存知ですか? モータースポーツライセンスやレーシングスーツ、ヘルメットといった特別な装備は不要で、普段乗っているマイカーで誰でも気軽に参加できるとあって、全国各地でじわじわと盛り上がりを見せている、いわばモータースポーツの登竜門と言える競技です。

 1名までなら助手席に同乗者を乗せたまま競技に参加できるので、親子やカップル、友だち同士で参加する姿もあるくらい、和気藹々とした雰囲気なのですが、実際に体験した人から話を聞くと、一様に「面白い! でも悔しい! もっと運転が上手くなりたい!」といった声が聞かれます。その大きな理由が、モータースポーツでは唯一と言っていい「バック走行」の区間と、「バックでの車庫入れ」がコースに組み込まれており、そこでミスを連発してしまうようなのです。

 手軽に参加できるとはいえ、あくまでタイムを競うスポーツ。前に進むだけではタイムの差が出にくいところを、バックをする際にも速さと運転の正確さが求められることで、闘争心をくすぐるような絶妙な面白さが加わっています。オートテストはもともと、イギリス発祥の伝統的なモータースポーツなのですが、まさに「バックを制する者が競技を制する」と言えるでしょう。それくらい、クルマを操るなかで、バックは重要な鍵を握っているとも言えます。

 では、なぜクルマをバックで走らせるのは難しいのでしょうか。その答えが、先ほどの長傘の話にもつながるのですが、長傘のグリップ部分を手で握っている時には、傘の向きを変えることも、ぐるぐると回すことも、誰でも簡単にできると思います。それは、長傘のグリップ部分が、傘全体の向きや動きを決定できるように作られているからですね。クルマもそうです。

 まっすぐバックすることも意外に難しい!

 クルマの向きを決めるのはタイヤですが、手で直接タイヤを動かすことができないので、私たちはハンドルでその操作を行いますね。でも、ハンドルで向きを決められるのは、前輪だけです。前に進む時は、進行方向である前輪の角度を決めれば、その通りの角度で進むので感覚が掴みやすいのですが、バックで進む時には、進行方向である後輪の角度を直接決めることができません。前輪を動かすことによって、1~3mほど離れた場所にある後輪がどのような角度を取るのかを、先読みして想像しながら、手でハンドル操作をしなければならないのです。

 この状況は、長傘を手の上でバランスを取って立たせることと似ています。目では傘の先端の動きを捉えて一寸先を予測しながら、手をどう動かせば傘が倒れないようにカバーできるのかを考え、実行する必要があるのです。

 クルマをバックさせる時にも、目では後方や周囲の安全を確認しつつ、道の幅や障害物に合わせて、後輪がどのように動くのかを常に先読みしながら、手でハンドル操作をする必要があります。冷静に考えると、至難の技ですよね。

 ゆえに、バック走行が上手な人は、常に後輪の動きが頭で予測でき、手に的確な指令を出すことができる人、ということになります。しかも、後輪が動くことによってクルマがどう動くかは、ボディの大きさやデザイン、タイヤの大きさなどによっても変わりますから、それらを熟知していることも必要です。そして当然のことながら、速度があがるにつれて、後輪の動きを先読みして手(ハンドル)を動かす速さと正確さが求められ、競技ともなるとその難易度は相当なものになるというわけです。

 もし、バック走行を上達させたいと思ったなら、まず練習すべきは手でハンドルをどれくらい切ると、どのような角度で後進するのかを地道に確かめながら、思った角度にパッと手が動くような感覚を磨くことでしょう。初めは歩くより遅いくらいゆっくりと。だんだんと速度を上げながら練習していきます。

 そして、ただまっすぐにバック走行するというのも、やってみると案外難しいことがわかると思います。前進する時、私たちはクルマをまっすぐ走らせるために、ごく微量で小刻みにハンドルを調整しているのですが、それが無意識に近い操作のため、バックになると途端にそれができなくなってしまう人が多いのです。直線をバックで安定して速く走れるようになったら、かなり上達したと思っていいと思います。

 これができていたら、自然とバックでの車庫入れも上手になるはず。自信がついた暁には、オートテストで実力を試してみることもオススメします。

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