現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ新型「ランクル」登場しない? SUV大国の北米で販売終了の理由とは

ここから本文です

なぜ新型「ランクル」登場しない? SUV大国の北米で販売終了の理由とは

掲載 更新 15
なぜ新型「ランクル」登場しない? SUV大国の北米で販売終了の理由とは

■北米市場では苦戦するランドクルーザー

 トヨタによる公式情報として、「ランドクルーザーの次期型は北米市場では販売されず、現行の2021年モデルをもって販売終了する」と現地の各メディアが報じています。
 
 トヨタが世界に誇る大型クロスカントリー車(SUV)のランドクルーザーは、なぜピックアップトラックや大型SUVなどの需要が高い、北米市場で次期型モデルが投入されないのでしょうか。

トヨタ「ランドクルーザー 2021年モデル」がパワフルに! 黒が際立つブラックパック設定

 2020年も暮れに差し掛かったころ、北米の自動車メディアではあるニュースが話題となっています。

 それは、2021年の発表が予想されているトヨタ「ランドクルーザー」の次期型モデルが、北米市場では販売されず現行の2021年モデルをもって販売終了するというものです。

 当初は販売店からの情報として伝えられましたが、後にトヨタの北米法人が各自動車メディアに対して公式に認める内容の声明を発表したことから、このニュースは確報となりました。

 自動車業界にとって、「100年に一度の大変革」などと言われる昨今においては、歴史あるロングセラーモデルであっても、販売終了となったり、あるいはまったく別のクルマといってもよいほど生まれ変わる例は少なくありません。

 トヨタだけで見ても、「クラウン」の生産終了報道が話題となったばかりです。

 しかし、現段階でトヨタは正式に認めてはいないものの、クラウンについては、「近年不人気のセダンであること」や「国内専売車であり市場規模の拡大が見込めないこと」など、販売終了を検討する妥当な理由が存在します。

 一方のランドクルーザーは、近年人気のSUVであり、世界のほとんどの市場で販売されるグローバルモデルです。

 ちなみに、ランドクルーザーのようにラダーフレーム構造をもつものは、SUVではなくクロスカントリービークル(クロカン)と呼ぶこともありますが、ここではSUVの一種として扱います。

 つまり、クラウンのような日本市場がメインとなるモデルとは事情が異なるのです。

 実際、ランドクルーザー自体は生産終了になることはなく、日本においては2021年夏頃にハイブリッド仕様を含んだ次期型モデルへとフルモデルチェンジをすることが予想されています。

 では、なぜSUV需要の高い北米市場で次期型が販売されないのでしょうか。

 北米市場はトヨタにとって最重要市場のひとつで、米国メーカーや日本メーカーなど、北米向けモデル(一部別市場にも展開)をラインナップするほど注力しており、それはSUVジャンルでも同様です。

 トヨタでは、「ハイランダー」や「セコイア」、ホンダは「パスポート」や「パイロット」、日産は「パスファインダー」や「アルマダ」、スバルは「アセント」、マツダが「CX-9」なの、そのほとんどが3列SUVとなります。

 そんななかで、ランドクルーザーは決して好調とはいえません。

 1951年に初代が登場したランドクルーザーは、派生モデルの「ランドクルーザープラド」やレクサス「LX」と合わせて、2019年までに累計1000万台を販売しています。

 近年でもグローバルでは年間40万台前後を販売しており、トヨタにとっては歴史的に重要であることはもちろん、販売上でも大きく貢献しているモデルです。

 しかし、2018年のランドクルーザーシリーズの地域別販売台数を見ると、中近東が約13万2000台と群を抜いているほか、欧州が約5.4万台、日本を含むアジアが7.4万台、オセアニアが4.6万台と続く一方で、北米市場は約3万台に留まります。

 なかでも、今回販売終了が発表されたランドクルーザー(派生モデルをのぞく)は、現地メディアによると、北米における2019年の販売台数が3536台と、極めて少ない数字です。

 この数字自体は2018年よりも伸長していますが、年間約240万台を販売する北米トヨタにとっては、ほとんど影響がないものとなっています。

■意外?北米は「タフ系SUV」が売れない市場

 北米市場ではSUV自体が不人気というわけではありません。

 前述のSUVラインナップ以外にも日本でも販売されている「RAV4」や北米版「ハリアー」である「ヴェンザ」、かつての「ハイラックスサーフ」の流れを汲む「4ランナー」などまさに多種多様です。

 北米ではピックアップトラックの需要が高く、トヨタにも「タンドラ」や「タコマ」といったベストセラーモデルがラインナップされているため、SUVと一部競合する部分はありますが、それでもSUVというカテゴリー自体は根強い人気があります。

 ただ、販売台数を稼いでいるSUVモデルのほとんどが、乗用車をベースにしたSUV、すなわち「クロスオーバーSUV」です。

 一方、ランドクルーザーのようなラダーフレームを持ち、悪路走破性能に優れた本格的なSUVの販売台数は決して多くありません。

 北米の自動車事情に詳しい関係者は、この点について次のように指摘します。

「アメリカでは古くからサスペンションのストロークの長いクルマ、いわゆる『乗り心地の良いクルマ』が好まれる傾向があります。

 国土が広いためクルマの乗車時間が長く、その一方で路面のコンディションがあまりよくないことが原因といわれています。

 しかし、路面のコンディションが悪いといっても、新興国のようなまったくの未舗装路はそれほど多くはなく、多くの場合はクロスオーバーSUVで十分です。

 逆に、クロスオーバーSUVでは物足りないような場合は、アメリカではピックアップトラックが好まれる傾向があるため、ランドクルーザーは微妙な立ち位置になってしまっているといえます」

※ ※ ※

 また、ラダーフレームを持つこととも関係しますが、ランドクルーザーの価格もネガティブなポイントといえるでしょう。

 北米トヨタにおけるもっとも高価なモデルがランドクルーザーであり、日本円で約870万円ほどです。

 フルサイズSUVのセコイアが約510万円から、大型ピックアップトラックのタンドラが約350万円からという点と比べると割高感は否めません。

 日本ではかつてのRVブームの影響もあり、ランドクルーザーはもちろん、メルセデス・ベンツ「Gクラス」も根強い人気があります。

 しかし、北米市場ではGクラスよりもクロスオーバーSUVである「GLS」のほうが好まれており、Gクラスの販売台数はGLSの20%から30%程度です。

 ワイルドなイメージのあるアメリカですが、多くのユーザーは「イメージ」よりも「乗り心地」という実利を取るということのようです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
【この190SLなんぼ?】走行距離わずか4,753kmでこの値段!なんで?このメルセデス300 SLの弟分190SLは掘り出し物?
AutoBild Japan
ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
ソニー損保、自動車保険満足度調査で2部門1位を獲得…事故対応に高評価
レスポンス
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
最後までもつれ込んだメーカー対決はトヨタに軍配! 僅差でヒョンデ逃す。総合優勝エバンス|WRCラリージャパンDAY4午後
motorsport.com 日本版
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
スズキ 新型「スポーツクロスオーバー」登場! 斬新デザインの“尖った”スタイリング!? 軽量な車体を活かした軽快な走り! 「Vストローム250SX」何が変わった?
くるまのニュース
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
勝田貴元が限界ギリギリの力走。トヨタ勢が猛追も、SS12は安全確保を理由にキャンセル/ラリージャパン デイ3午前
AUTOSPORT web
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
くるまのニュース
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
市川團十郎がF1日本GPの公式アンバサダーに! F1文化に“新たな風”を吹き込むことを目指す
motorsport.com 日本版
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
[かわいい]見た目して超[ホット]!! スズキ[アルトラパンSS]今買うのアリ説
ベストカーWeb
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
追突事故を避ける「2秒ルール」ご存知ですか? あおり運転にならず割り込まれもしない、ほどよい安全な車間距離の保ち方をお教えします
Auto Messe Web
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
「足が長くて」スタイリッシュな新型SUVが2024年内に正式発表か!?DSオートモービルズの電動化戦略が新たなステージ
Webモーターマガジン
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
都内の“旧式小型バス大活躍”路線ついに廃止へ 「リエッセ」と運命を共に 西武バス
乗りものニュース
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
ディーゼルトラックをEVへ改造、国内初の量産予定車が完成 ヤマトモビリティが発表
レスポンス
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
FIAがフロア摩耗に関する取り締まりを強化。フェラーリ、メルセデス等に加え、抜け穴を指摘したレッドブルも修正
AUTOSPORT web
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
頭文字Dの次なる遠征先は豊田市駅前? ラリージャパン2024はイベント盛りだくさん/WRC写真日記
AUTOSPORT web
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
優れたラリードライバーならF1でもきっと戦える! 8度のWRC王者オジェは確信「ファンも見たいと思っているはず」
motorsport.com 日本版
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
新車150万円台で「5速MT」あり! イチバン安い「普通乗用車」どんなモデル? 「国産ダントツ安価」でも装備は必要十分! めちゃ“リーズナブル”な「トヨタ車」とは
くるまのニュース
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
“熊本~東京1300km” 電気自動車でも快適に移動できる「裏ワザ」とは? 新型「タイカン クロスツーリスモ」で体感! ポルシェらしい走りと遊び心に触れる旅
VAGUE
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
[15秒でニュース]メルセデスAMG、初の電動SUVを市販化へ
レスポンス

みんなのコメント

15件
  • 納得の理由だよね
    ランクルより乗り心地が良くて安い車がたくさんあって
    ガチのアウトドアではピックアップトラックが大活躍

    逆にいうと不思議なのは日本。アメリカよりもオフロード必要な道なんか無い
    ランクルが求められる場面なんてやい
    不思議
  • 単純に税込価格が日本の2倍だからじゃない?
    日産パトロール/アルマーダの販売台数はランクルの10倍だし、それでもラダーフレームのフルサイズSUVとしてはマイナーな存在。
    上位モデルだけの日本のアコードと一緒で、割高感が強すぎる。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.8683.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

230.0910.0万円

中古車を検索
ランドクルーザー200の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

472.8683.6万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

230.0910.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村