3月18日、WRC世界ラリー選手権第3戦『ラリー・メキシコ』の競技3日目は、SS11~19のうちステージキャンセルとなったSS15を除く8SSが行われ、前日2番手につけたセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に浮上した。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は競技2日目のデイリタイアからラリーに復帰し、総合25番手となっている。
17日(金)のデイ2に引き続き晴天に恵まれたラリー・メキシコ。競技3日目のデイ3は、グアナファト周辺の山岳地帯を舞台に3本のステージを各2回走った後、前日にも走行したふたつのショートステージを1回ずつ走るスケジュールが組まれていた。
【順位結果】2023年WRC第3戦ラリー・メキシコ SS10後
しかし、午後1本目として予定されていたSS15“イバリラ2”がキャンセルに。その原因となったのは、ラリーリーダーとして土曜日を迎えたエサペッカ・ラッピ(ヒョンデi20 Nラリー1)のクラッシュだった。
前日にトヨタのオジエとともにトップ争いを繰り広げたフィンランド人は、今朝のSS11“イバリラ1”の15km地点付近でスピン。フロントをコース右側の土手にヒットさせた直後に道を横切り、コース左側に立っていた電柱に後方から激しく激突した。アクシデントの衝撃で電柱がマシンにのしかかるような形で倒れ、コースを塞いでしまったことからSS11ではレッドフラッグが出されている。
なお、クラッシュを喫したラッピはこの段階で戦列を離れることとなり、i20 Nラリー1の損傷が激しいことから最終日の19日(日)に再出走することなく今戦からリタイアすることが決まった。
総合首位のドライバーが、2日続けてオープニングステージでリーダーボードの天辺から姿を消す波乱が起きるなか、新しいラリーリーダーとなったオジエは自身7度のラリー・メキシコ制覇に向け、着実に駒を進めた。SS11と午後のSS16でトップタイムをマークした“シリーズ6冠王者”はこの他のステージでも安定したスピードを発揮。総合3番手から2番手に順位を上げた僚友のエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)とのタイム差を、前日終了時の24.8秒から35.8秒まで拡げてみせた。
「このリードは良いものだと思うし、今日も好調で満足している」と語ったオジエ。
「今朝の最初のステージでエサペッカ(・ラッピ)が退場してしまったので、少し違ったアプローチをとった」
「あまりリスクを冒す必要はなかったが、それでもいくつかの良いタイムを記録しリードを広げることができた。明日はまだ長いから、気を抜くことはできない」
■2番手エバンスと3番手ヌービルが接近
オジエが“ひとり旅”を始めた一方、総合2番手争いが熱を帯びてきた。その主役のひとりであるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)は、SS12“エル・モスキート1”を皮切りに、続くSS13とSS14で連続ベストを記録。SS11開始時に9.4秒だったエバンスとのギャップをじりじりと削っていく。
午後のSS17でもステージ優勝を飾ったベルギー人は、その他のステージでも2番手タイムを2回、3番手を1回と好ペースを維持し、最終的にライバルとのタイム差を4.3秒に縮めている。
フルデイ初日はルーズグラベルの“掃除役”となり苦戦を強いられたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、ラッピの脱落により順位をひとつ上げ総合4番手となったが、前を行くヌービルの姿は遠ざかった。ふたりのギャップは53.9秒だ。
トップ5の最後を締める位置につけたダニ・ソルド(ヒョンデi20 Nラリー1)は、ロバンペラから47.2秒遅れ、トップとのギャップは2分21秒2まで開いている。総合6番手以降はラリー2勢が並び、その先頭には前日に引き続きWRC2クラスをリードするガス・グリーンスミス(シュコダ・ファビアRSラリー2)がつけた。
以下、アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタ・ラリー2)、エミル・リンドホルム(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)、オリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)、カエタン・カエタノビッチ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)と続くトップ10オーダーが形成され、Mスポーツのオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が総合11番手で続いている。
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