現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > もう二度と作れない!? 気合の入り方がハンパなかった車3選

ここから本文です

もう二度と作れない!? 気合の入り方がハンパなかった車3選

掲載 11
もう二度と作れない!? 気合の入り方がハンパなかった車3選

■相当に気合が入ったクルマを振り返る

 各自動車メーカーが新型車を開発する際には、膨大な時間や労力と莫大な資金が投入されます。そのため、ユーザーのニーズをいかに捉えるか、また、どれだけコストの削減ができるかのふたつが重要な課題といえます。

トヨタ「スターレット」復活! 21年ぶり新型モデル発売へ

 実際に自動車メーカーは数年後のニーズを予想するために常にマーケティングをおこない、生産にはボルト1本、1円未満まで厳格なコスト管理をしています。

 生産量が少なく顧客が限られている超高級車以外、概ねすべてのクルマはこうした努力のもと開発されているといっていいでしょう。

 しかし、大量生産される量産車でありながら、こうした課題とは異なる部分に注力されたクルマも存在。

 そこで、開発に対して気合の入り方がハンパなかったクルマを、3車種ピックアップして紹介します。

●スズキ「カプチーノ」

 まさにバブル景気が弾けようとしていた1991年から1992年というこの2年間に、日本の自動車史に輝く3台の2シーター軽自動車がデビューしました。

 そのなかの1台が1991年に登場したスズキ「カプチーノ」で、ほかに同年にホンダ「ビート」、1992年にはオートザム「AZ-1」がデビューし、後年にはそれぞれの車名の頭文字から「平成のABCトリオ」と呼ばれました。

 このカプチーノは、ロングノーズ・ショートデッキの古典的なスポーツカーのフォルムを採用したFR車で、ルーフはクローズド、Tバールーフ、タルガトップ、フルオープンと、世界初の4形態にチェンジできる画期的なものでした。

 また、シャシはカプチーノ専用に設計され、ボディパネルはボンネットと脱着式ルーフ、格納式のリアピラーがアルミ製とされたことで700kgと軽量な車体を実現。

 内装はかなりタイトで、メーターパネルのセンターには8500rpmからレッドゾーンで1万2000rpmまで刻まれたタコメーターを配置するなど、スポーツマインドあふれるコクピットとなっていました。

 エンジンは「アルトワークス」と同型の660cc直列3気筒DOHCターボで、最高出力64馬力を発揮。これを縦置きに搭載し、トランスミッションは5速MTが組み合わされ、1995年のマイナーチェンジではエンジンの換装とともに3速ATも設定されました。

 また、足まわりは軽自動車では初の4輪ダブルウイッシュボーンを採用し、ブレーキもフロントがベンチレーテッドディスクの4輪ディスクとするなど、軽自動車という枠を超えた本格的な仕様となっていました。

 発売時のカプチーノの価格は145万8000円(消費税を含まず)と、当時の水準では高額でしたが、内容を考えるとかなりのバーゲンプライスだったといえるでしょう。

 その後カプチーノは1997年に、一代限りで生産を終了しました。

●日産「マーチ スーパーターボ」

 日産は1982年に、次世代のグローバルコンパクトカーとして初代「マーチ」を発売。巨匠ジョルジェット・ジウジアーロが手掛けたシンプルなデザインに、優れた経済性とパッケージングによって、日欧で大ヒットを記録しました。

 そして、ちょうど同時期には各セグメントでパワー競争が勃発しており、1985年に「マーチ ターボ」が登場。さらに1988年には、ラリーを始めとしたモータースポーツベース車として開発された「マーチR」がデビューしました。

 このマーチRをベースに装備を充実させ、日常での使用にも適したホットハッチとして1989年に発売されたのが「マーチ スーパーターボ」です。

 マーチ スーパーターボの最大のトピックスはエンジンで、マーチRと同じ930cc直列4気筒SOHCの「MA09ERT型」を搭載。

 MA09ERT型はターボチャージャーとスーパーチャージャーの2種類の過給器が装着された、日本初のツインチャージャーエンジンで、最高出力110馬力とクラストップのパワーを誇りました。

 ちなみにスタンダード仕様のマーチのエンジンは52馬力でしたから、MA09ERT型は実に2倍以上の出力絞り出すパワーユニットでした。

 また、車重はわずか770kgと軽量で、パワーウェイトレシオは7kg/psを実現。加速性能は1.6リッターエンジン車に匹敵しました。

 内装では3本スポーツのステアリングにスポーツシートが装着され、インパネのセンターに時計、電圧計、ブースト計の3連サブメーターを配置してチューンドカーをイメージされていました。

 これほどまでハイパワーなマーチ スーパーターボですが、シャシ性能がエンジンに追いついていなかったという印象は否めず、実際にドライブフィーリングはかなりの「じゃじゃ馬」でした。

●ホンダ初代「インサイト」

 トヨタは1997年に、世界初の量産ハイブリッドカーの「プリウス」を発売。プリウスは同クラスの2倍の燃費性能を誇り、世界中の自動車メーカーに大きな影響を与えたエポックメイキングなクルマでした。

 この初代プリウスに追従するため、各メーカーともハイブリッドカーの開発に注力するようになり、1999年にホンダが、ハイブリッド専用車の初代「インサイト」を発売しました。

 シャシは「NSX」で培った技術を応用したオールアルミ製モノコックを採用。ボディ外板もアルミ製とプラスチック製のパネルで構成され、さらに室内は2シーターと割り切り、車重はわずか820kg(MT車)を実現しました。

 また、外観デザインは空力性能に特化した結果、スポーツカーそのものといえる極端なウェッジシェイプの3ドアハッチバッククーペとされ、さらにリアタイヤまわりをスパッツで覆うことで、空気抵抗係数のCd値は当時としては驚異的な0.25を達成していました。

 この軽量かつ優れた空力性能のボディに、最高出力70馬力を発揮する新開発の1リッター直列3気筒エンジンと、13馬力のアシスト用モーターを搭載し、燃費性能はプリウスを上まわり、量産車で世界最高となる35km/L(10・15モード)を記録。

 しかし、初代インサイトは2シーターというネガティブな要素が災いして販売は極端に低迷。また、2003年には2代目プリウスが登場し、出力向上と同時に燃費は35.5km/L(10・15モード)を達成し、使い勝手も優れていたことで大ヒット記録しました。

 そこで初代インサイトは2004年の改良で、36km/L(10・15モード)まで燃費向上が図られました。しかし、もはや販売面では2代目プリウスに太刀打ちできるレベルになく、2006年に生産を終了。

 そして3年ほどのブランクの後、2009年に5ドアハッチバックボディで5人乗りとなった2代目インサイトがデビュー。実用性が一気に向上してヒット作になりましたが、シャシやボディは一般的なスチール製となり、技術的には初代ほどのインパクトはありませんでした。

※ ※ ※

 最初に紹介したカプチーノは、バブル景気という好景気を背景に誕生し、マーチ スーパーターボは「パワーこそ正義」という時代を反映したかたちでした。

 そして初代インサイトは、燃費世界一を目指すという明確な目標があって開発されたモデルです。 

 どれも相当に気合が入ったクルマでしたが、今後は革新的な電池を搭載した次世代型のEVが、新たな「気合が入ったクルマ」として期待されます。

こんな記事も読まれています

ランド・ノリスが0.02秒差で自身2度目のPP獲得。RBは揃って後方に沈む【予選レポート/F1第10戦】
ランド・ノリスが0.02秒差で自身2度目のPP獲得。RBは揃って後方に沈む【予選レポート/F1第10戦】
AUTOSPORT web
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
 アリストって完ぺきじゃね!? FFのスペース効率とFRの運動効率を備えた究極のクルマ説をガチ検証
ベストカーWeb
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
電動化の[新型ロードスター]でもこだわりたい”人馬一体”感!! でもやっぱり内燃機関でしょ!!!!
ベストカーWeb
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
スーパーフォーミュラ・ライツ選手権第7戦SUGOは小出峻がポール・トゥ・ウインで今季2勝目
AUTOSPORT web
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
宮田莉朋、2番手チェッカーもペナルティで後退。マルタンスが今季初優勝/FIA F2第6戦レース1
AUTOSPORT web
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
角田裕毅、F1スペインGPは為す術なく19位がやっと「うまくいかなかった理由を理解すべく、全てを分析しなきゃいけない」
motorsport.com 日本版
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
雨でびしょ濡れ! タッチパネルがめんどい! オッサンが最新式のクルマにキレる「ハイテクトラブル」急増中!
ベストカーWeb
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
ル・マンでサーキットの救急車に乗ることに! お土産は「カルフール」のレース関連グッズ、特にエコバッグがオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
“尋常じゃない上げ幅”のTEAM MUGENにどう対抗? セカンドロウの坪井翔&牧野任祐が得た手応え/第3戦SUGO
AUTOSPORT web
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
フロントロウ独占の裏に“共闘”アリ。TEAM MUGEN陣営が振り返るそれぞれのアジャスト/第3戦予選
AUTOSPORT web
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
F1 Topic:マクラーレンのモーターホームで火災発生。搬送者が出るなか、代表が被害状況把握に務める
AUTOSPORT web
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
フィアット600 詳細データテスト 500より増した実用性と快適性 フィアットらしい元気さは不在
AUTOCAR JAPAN
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
F1スペインGP決勝速報|フェルスタッペンがノリスとの接戦制す。RB角田裕毅は19位と苦戦
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
フェルスタッペン、猛追ノリスを退け掴んだ今季7勝目に喜び爆発。角田裕毅は終始苦戦19位|F1スペインGP決勝
motorsport.com 日本版
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
今見ても美しい!! 5ドアクーペルックのBMW3シリーズ320iグランツーリスモ試乗プレイバック
ベストカーWeb
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
豪華装備のダイハツ「アトレー」は街乗りもアウトドアも両立! ケイワークスならではのハイエンドマルチ軽キャンパーとは
Auto Messe Web
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
「1つ以外は」最新ミニに求めるすべて! 1.5L 3気筒の新型クーパー Cへ試乗 活発な子犬のよう
AUTOCAR JAPAN
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
ベントレー「ベンテイガ」に世界5地域からインスピレーションを得た限定シリーズが登場! マリナーが仕立てた極上旅を表現した5台とは
Auto Messe Web

みんなのコメント

11件
  • 気合の入ったエンジン、
    庶民が乗れる車では、もう出ないね。
  • ミラージュも以外と力強かったが、リコール隠しが酷すぎて三菱のイメージがどん底に落ちた。 ランエボの方が人気が高いがFTO,GTO,グランディスも悪くなかった。 でもリコール隠しで全てを失った。 今は燃費偽装で落ちていて販売している車種が一車種しか思い浮かばない。 
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村