「世界最大の草レース」ニュル24時間の裏側をレポート
世界最大の草レースと言われる「ニュルブルクリンク24時間レース」。クルマ好きなら一度は聞いたことがあるかもしれません。草レースと言われていますがプロも多く参戦し、メーカーの威信をかけた戦いも行われているため、熱い戦いが繰り広げられます。2023年は5月20日~21日に開催された、ニュルブルクリンク24時間レースの裏側を紹介したいと思います。
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2023年のニュルブルクリンク24時間レースは観客数なんと23万5000人
ニュルブルクリンク24時間レースは、ドイツのニュルブルクリンクというサーキットで24時間走り続けるレースで、例年5月中旬から6月初旬にかけて行われます。その理由は、この時期ヨーロッパでは日没が夜9時くらいで、日の出は朝4時くらい。夜の時間がめちゃくちゃ短い時期だからです。夜の時間は短い方が走る方も見る方も良いですよね。フランスで行われる「ル・マン24時間」がこの時期に行われるのも、同じ理由からでしょう。
さて、ドイツのニュルブルクリンクは通常のサーキットであるグランプリコースと、オールドコースと呼ばれるノルドシェライフェを合わせて1周20kmを超え、高低差300m、コーナー数170以上という尋常ではないコースです。自動車メーカーの性能評価にも使われ、北コースを何分で回ったというコースレコードが評価軸で使われることもあります。
そんなニュルブルクリンクで行われる24時間レース。2023年はニュルブルクリンクの公式発表によると23万5000人の観客が詰めかけたそうです。ちょうどドイツの祝日と重なったことと、コロナの制限がドイツでも緩和されたことが、多くの観客を集めた要因のようです。
観覧車もあればタバコの煙も漂うカオスなパドック
常設のサーキットにはもちろんグランドスタンドや観客席が用意されています。オフィシャルショップもあり、グッズ購入やイベント展示を見学するにはもちろんグランドスタンドに行った方が楽しめます。
グランドスタンドだけでなく、パドックにも入ることができるので、憧れのドライバーやチームのテントを訪れて写真撮影やサインをもらうこともできます。
パドックの端っこには仮設の観覧車も用意され、ちょっと高い位置からパドックやコースを見学する非日常的な感覚も味わえます。仮設式なのでレースウィークになる直前に組み立てはじめ、完成したらあとは観客を乗せてぐるぐる回っています。日本の観覧車みたいにゆっくりぐるぐる回り続けるのではなく、乗降時に一旦止めてそのカゴから乗り降りしたら、あとは数周回してまた止めて乗り降りするタイプなので、乗り降りするときには他のカゴはどこかで止まったまま待つ、という特殊な経験もできます。
パドックは一般のファンも多く訪れており、チーム関係者やファンでごった返しています。マシンの移動はその隙間を縫ってテントからピットへ移動させるのが通常です。ファンもその辺は心得ており、マシンが通るとサッと道を空けます。
そのごった返したパドックはもちろん、サーキット内ではタバコが日常茶飯事で吸われているので、少し煙たい感じになります。世界的にタバコは分煙されているのが当たり前だろうという考えでいましたが、そんな概念は吹っ飛ぶくらいそこら辺でタバコをぷかぷかしています。ちょっとカルチャーショックを受けるかもしれません。
今年のニュルブルクリンク24時間レースは153台がエントリーしていました。そんなこともあり、ピットは4~6台で共有するのが当たり前。同じピットになったチーム同士、仲良く融通しあいます。そのことがチーム同士を仲良くさせ、お互いをリスペクトしあう精神が生まれる秘訣かもしれません。
キャンプをしながらフェス気分でレースを楽しむ
23万人以上の観客が来ていますが、多くのレースファンはキャンプ場でキャンプをしながらレースを楽しんでいます。良い場所でキャンプをするために早くから来るのはどこの国でも一緒のようです。しかし仕事を1週間休めるかといえばそうでもないようで、キャンプ場から会社に通っている人もいるという噂をまことしやかに聞きます。
そんなキャンプもどこでも勝手にしていいわけではなく、ちゃんとキャンプエリアが用意されています。といっても日本のようにテントを張っているわけではなく、トレーラータイプなどのさまざまキャンピングカーで寝泊まりするのが一般的です。このあたりが日本とは違いますね。
キャンプ場ではひたすらにビールを飲み、肉を焼いて楽しんでいる風景はうらやましく思えます。さらに櫓(やぐら)を組んで音楽を爆音で鳴らし、音楽フェスかのようにあちらこちらからいろいろな音楽が聞こえてくるのもお祭り感満載です。
レース終了後すぐ綺麗になったキャンプエリアは流石
この異様なお祭りも、レースが終わるとキャンピングカーはいなくなり、櫓も撤収され、翌日キャンプ場を訪れると綺麗に片付けられているのが驚きです。
土曜日の16時にレースがスタートし、日曜の16時にチェッカーを受けるわけですが、日曜中にはほぼ撤収が済んでいるのがすごいところです。月曜のお昼頃にキャンプ場に行ってみましたが、仮設トイレや仮設シャワーはひとまとめに片付けられ、大型の照明機材もまとめられています。
ボランティアスタッフが横一列に並び丁寧にゴミ拾いをしているのも、このレースをみんなが愛して支えているのが分かりますね。
日本でもキャンプをしながらレースを見るという文化が、スーパー耐久の24時間レースを筆頭に確立しつつありますが、ニュルでははるか以前から行われており、仮設トイレ・シャワー・救護室などが用意されていました。この辺は広大なサーキットで行われるニュルブルクリンク24時間ならではかもしれません。とにかく1年に一度のレースを思い切り楽しもうという雰囲気が感じられるのでした。
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なぁ〜にぃ?やっちまったなぁ!