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極上「4.0L V8」へ最大限に浸れる! メルセデスAMG GT 63へ試乗 ダイレクトでドラマチック

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極上「4.0L V8」へ最大限に浸れる! メルセデスAMG GT 63へ試乗 ダイレクトでドラマチック

AMG SLと並行して開発されたAMG GT

最新のメルセデスAMG GTでは、先代オーナーから寄せられた意見が大きく尊重された。「好きだとご評価いただいた部分はそのままに、改善が求められた部分へもすべて対応しました」。と、発表時のプレス向け資料では主張されている。

【画像】「4.0L V8」へ最大限に浸れる! メルセデスAMG GT 63 競合のスーパースポーツと比較 最新SLも 全141枚

ただし、AUTOCARの読者にはこんな人もいた。先代のAMG GTは、スタイリングを気に入っていたという。だが試乗すると、濡れた路面でパワーを展開した瞬間、テールが滑り冷や汗をかいたとか。最終的に彼が選んだのは、ポルシェ911だった。

こんな意見は、盛り込まれていないのではないかと思う。それでも、AMG最新のスーパー・スポーツカーは、巧みにバランスを整えてきた。英国の公道で、仕上がりをじっくり確かめてみよう。

新しいAMG GTは、R323型のAMG SLと並行して開発が進められた。その結果、アルミニウム製スペースフレームとエンジン、インテリアの多くを共有している。

同時に、上級スポーツカー市場を最大限にカバーできるよう、可能な限りの差別化も図ったのではないかと思う。果たして、SLは+2のリアシートと四輪駆動を獲得し、実用性を向上。サスペンションを引き締め、スポーティさを引き上げた。

AMG GTは、というと、実はそこまで大きくは違わない。ロングノーズで後輪駆動の2シーター、というレシピは改められた。四輪駆動になり、車重は約250kg増えている。プラグイン・ハイブリッドのGT 63 S E パフォーマンスでは、それ以上重くなる。

585psと81.4kg-mを発揮する63のV8

全長は4728mm、全幅が1984mm、全高は1354mmとひと回り大きくなり、特に長さは約200mm伸びた。車内空間にはゆとりが生まれ、リアシートも与えられている。

スタイリングは、先代のイメージを受け継ぐ。ボディパネルは完全に新しいが、進化版としてのアイデンティティを漂わせる。

AMG SLと共有するエンジンは、4.0L V8ツインターボ。チューニングはAMG GT独自で、55では475psと71.2kg-m、今回試乗した63では、585psと81.4kg-mを発揮する。市場によっては4気筒ターボの43も設定されるが、英国には導入されていない。

インタークーラーの位置を改め、吸排気系とオイルパンを再設計。クランクケースにも、ベンチレーション機能が追加され、効率を高めている。トランスミッションは、エンジンに直接ボルトで固定された、9速湿式クラッチ・オートマティックだ。

リミテッドスリップ・デフに加えて、ブレーキ制御によるトルクベクタリング機能も採用。トランスアクスル構造ではなくなり、前後の重量配分は前寄りの54:46になった。

サスペンションは、前後ともアルミニウムを多用した5リンク式。AMG SLと同じく、スチールコイルと新開発のツインバルブ・アダプティブダンパーが支える。減衰特性は、AMG GTの専用設定だ。

アンチロールバーを油圧アクチュエーターに置き換えた、AMGアクティブライド・コントロールを実装。100km/h以下で最大2.5度リアタイヤの向きを変える、後輪操舵システムも標準装備される。

特別感がやや薄れたインテリア 素晴らしいV8

インテリアは、先代までの強い主張がやや薄れた印象。大きなトランスミッショントンネルは姿を消し、センターコンソールは低く小柄に。実用性は増したといえる。車載機能の多くは、縦に長いタッチモニターへ集約されている。

運転姿勢は良好。ルーフが高くなったことで、頭上空間には余裕がある。サテンクロームの装飾と、艶の深いカーボンファイバー製パネルが美しい。とはいえインテリアの雰囲気は、最新のメルセデス・ベンツとして普遍的なものにも感じるだろう。

後席は背もたれが起き気味だが、大人でも短距離移動できる広さを確保。荷室容量は321Lで、後席の背もたれを倒せば675Lへ拡張する。この手のモデルとしては、かなり広い。

観察を終えて、エンジンを始動させてみよう。AMGのV8ユニットは、相変わらず素晴らしい。運転体験の中心をなしている。その気になれば攻撃的に反応し、狂気の勢いでパワーとノイズを放出するものの、平時は手懐けやすく音量は控えめだ。

先代から車重が増えたといっても、公道では許容しきれないほど速い。改良を受けたことで、これまで以上にレスポンスは鋭く意欲的。磁性流体を用いたエンジンマウントが、上質さも高めている。

ツインスクロールのツインターボが目覚めるのは、2500rpm以上。アクセルペダルを踏み倒すと、息を呑むようなトルクが沸き立つ。そして、7000rpmのレッドラインまで強烈にエネルギーを増大させていく。

硬いサス ダイレクト感やドラマ性を追求

ドライブモードを引き上げれば、エグゾーストノートも勢いを増す。アクセルオフでは、オーバーランの破裂音が入り混じり、聴き応えたっぷりだ。

9速ATも優秀。マニュアル・モード時はデュアルクラッチAT並みの素早さで、特にシフトアップ時の間髪入れない感じが興奮を誘う。オート・モード時は、転じてスムーズ。130km/hでの巡航は、9速で1800rpm程度。穏やかに目的地へ向かえる。

ハイテク満載のシャシーは、プラグイン・ハイブリッドの車重にも備えたもの。1895kgのAMG GT 63を、余裕で受け止める。ドライブモードは複数用意されるが、好みの設定を登録可能。ワイルドなマッスルカー的な個性は、最新型も受け継いでいる。

コンフォート・モード以外の乗り心地は、荒れた路面で硬さを実感。ステアリングは、スポーティなモードを選ぶと切り始めから鋭くなる。

四輪駆動とフロントのネガティブキャンバーが相まって、カーブの入口ではノーズから吸い込まれていく。出口では、直進状態へ戻る瞬間に僅かな抵抗感がある。

旋回中の路面の凹凸は、予想以上に拾うようだ。サスペンションをソフト側へ戻すと、ステアリングの落ち着きが増す。しなやかな挙動で、直感的に運転できる。

操縦性は、洗練度や繊細さと引き換えに、豊かなダイレクト感やドラマチックさが追求されている。サウンドもうるさい。生々しく反応したがる、ワイルドなAMGだ。

燃費は、高速道路を穏やかにクルージングさせた状態で9.9km/L。もちろん585psを頻繁に引き出せば、みるみる悪化する。

V8へ最大限に浸れるスーパースポーツ

AMG GT 63の英国価格は、オプションレスの状態で16万2000ポンド(約3143万円)から。プラグイン・ハイブリッドの63 S E パフォーマンスでは、オプションを少し付ければ20万ポンド(約3880万円)へ迫るはず。

初代と変わらず、メルセデスAMG GTはV8エンジンを積んだホットロッドのよう。ポルシェ911 ターボを、大人しいモデルに思わせるほど。

最新世代も、アグレッシブでダイナミックな気質は変わらない。一方で、引き上げられた実用性や、四輪駆動による全天候への対応力も、先代のオーナーを満足させるはず。とはいえ、速く走らせるなら相応の集中力が求められることも不変だが。

呆気にとられるほど、パワフルでノイジー。極上のV8ツインターボへ最大限に浸れる、エンターテイメント・スーパースポーツがAMG GTだ。ミドシップのライバルを除いて、クラス最高の仕上がりにある。

◯:穏やかで美しく、印象的なスタイリング 驚くほどの速さ 大きな荷室と+2のリアシートが生む実用性
△:グランドツアラーとしては硬い乗り心地 操縦性の反応はやや過剰 先代ほどの特別感がないインテリア

メルセデスAMG GT 63 4マティック+ プレミアムプラス(英国仕様)のスペック

英国価格:16万4905ポンド(約3199万円)
全長:4728mm
全幅:1984mm
全高:1354mm
最高速度:315km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:319g/km
車両重量:1895kg
パワートレイン:V型8気筒3982cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:585ps/5500-6500rpm
最大トルク:81.4kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:9速マルチクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • uwv********
    バカみたいにパワー競争してドイツは、ほんとは、フルEV化する気が無いじゃないのかな〜?
  • xtr********
    フロント観ても分かる通り
    300SLの亡霊でカッコ悪い、
    そして実物はキャビンからリアは
    911如く曲線で下がる。
    なのにロングノーズでチグハグ。
    とにかく300SLの亡霊を捨てないと駄目だな
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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