7月21日、2024年F1第13戦ハンガリーGPの決勝レースが行われ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がF1初優勝を飾った。2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にルイス・ハミルトン(メルセデス)が続いた。角田裕毅(RB)は9位となり、今季8回目(スプリント含む)の入賞を果たした。
ハンガリーの首都ブダペスト近郊に位置するハンガロリンクを舞台に開催された第13戦決勝。スタートタイヤは上位6台を含む13台がミディアムタイヤ(C4/イエロー)を選択。
【F1第13戦決勝の要点】ピアストリの初優勝に水をさしたマクラーレンの稚拙な判断と残念なゴタゴタ
7番グリッドのフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、8番グリッドのランス・ストロール(アストンマーティン)、13番グリッドのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、15番グリッドのケビン・マグヌッセン(ハース)の4台がソフトタイヤ(C5/レッド)。
そして16番グリッドのセルジオ・ペレス(レッドブル)、17番グリッドのジョージ・ラッセル(メルセデス)、ピットスタートのピエール・ガスリー(アルピーヌ)の3台ハードタイヤ(C3/ホワイト)をチョイスした。
青空広がる快晴のもと、気温29度、路面温度43度、湿度48%というドライコンディションのなか、70周の決勝レースはスタートを迎えた。
ポールシッターのノリスがわずかに出遅れるなか、イン側からピアストリ、ノリス、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の3ワイドでターン1に。接触ギリギリの見応えあるポジション争いのなか、イン側に入ったピアストリがホールショットを奪う。
一方、アウト側にいたフェルスタッペンはエスケープに飛び出すと、そのまま加速してコース外からノリスの前でコース復帰する。このフェルスタッペンの動きに対し、ノリスは「彼はポジションを戻すべきだ!」と無線を飛ばす。
フェルスタッペンのコース外からのオーバーテイクがレースディレクターに記録されたこともあり、フェルスタッペンに対しチームから「ノリスを先に行かせるんだ」と指示が飛ぶと、2台は4周目のターン2でポジションを入れ替える。しかし、フェルスタッペンはこの指示に対し、不満を露わにする。
この間にトップのピアストリは2番手ノリスに2.5秒のギャップを築いて7周目を迎えた。2番手ノリスも10周目には3番手フェルスタッペンに2秒のギャップを築き、トップ3台はいずれもDRSが使えないなか、ミディアムタイヤのタイヤマネジメントに徹する展開に。
ただ、ミディアムタイヤのピットウインドウ(13~21周目)が近づくにつれて、ピアストリは0.2~0.3秒づつノリスとフェルスタッペンのペースを上回り、着々とギャップを広げた。
17周目には4番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)がハードタイヤに交換し、上位3台に対しアンダーカットを計った。このハミルトンの動きに真っ先に呼応したのは2番手のノリスで18周目にハードタイヤに交換。停車時間2.8秒でハミルトンの前でコースに復帰した。
19周目にはフェルスタッペンを8.3秒リードしていたピアストリが停車時間2.5秒でハードタイヤに交換。対するフェルスタッペンは22周目に停車時間3.0秒でハードタイヤに交換する。しかし、ハミルトンにアンダーカットを許すかたちとなり、フェルスタッペンは事実上の4番手に後退するかたちに。
フェルスタッペンは6秒先を走るハミルトンに対し、5周分若いハードタイヤでプッシュ。23周目には1分22秒769というこの時点でのファステストを更新する走りを見せ、徐々にそのギャップを縮めにかかった。
一方のピアストリは26周目に1分22秒654と、この時点でのファステストを更新しノリスを3.8秒引き離す。ノリスも自己ベストを更新しながら周回を重ねるが、あと一歩、ピアストリのペースに届かない状況が続いた。
一方、ミディアムタイヤを履き10番グリッドからスタートした角田は、30周目にハードタイヤに交換すると10番手でコース復帰。残る40周をハードタイヤで走り切る1ストップ作戦に臨んだ。
35周目、ターン1でハミルトンがブレーキングミスからアンダーを出してしまう。その間隙をついたフェルスタッペンが一旦はハミルトンを先行するも、ターン2で今度はフェルスタッペンがオーバーシュートし、ハミルトンが3番手を取り戻す。フェルスタッペンは無線で「ブレーキバランスが変わらない」と不満を口にする。
その一方でトップ争いに変化があった。34周目のターン11でピアストリがわずかにコースオフを喫し、2秒ほどタイムを失う。これでピアストリとノリスのギャップは1.5秒にまで縮まった。
その後、ノリスには「ピアストリと勝負していいよ」と無線が飛ぶ。しかし、ピアストリもペースコントロールに徹し、2台のギャップは僅かに広がりつつあった。
41周目に4番手ハミルトン、5番手シャルル・ルクレール(フェラーリ)が上位勢で真っ先に2度目のタイヤ交換へ。ハミルトンはハード、ルクレールはミディアムに履き替えた。
そんななか、マクラーレンはなぜか2番手のノリスを先にピットに入れ、46周目にミディアムタイヤに交換した。
さらに、ピアストリは翌周にはピットに入らず、ノリスから2周後の48周目というタイミングでミディアムタイヤに交換。その結果、ピット前は2秒ノリスを先行していたピアストリは、ノリスの3秒後方で復帰することに。
ピアストリとノリスのポジションを入れ替えるかたちとなった、このマクラーレンの判断の意図は不明だ。
一方のフェルスタッペンは50周目にミディアムに履き替えたが、ハミルトン、ルクレールにアンダーカットを許し、5番手でコース復帰となった。
ただ、遅めのタイミングでフレッシュなミディアムタイヤを履いたフェルスタッペンは、ファステストを更新するペースで一気にルクレールとの間合いを詰める。時折マシンに対する不満を無線で口にするも果敢なアタックを仕掛け、57周目には4番手の座を取り戻す。
続いてフェルスタッペンはハードタイヤを履いたハミルトンを射程に捉えると、63周目のターン1でオーバーテイクを仕掛けた。しかし、このオーバーテイクでフェルスタッペンは止まりきれず、2台のタイヤが接触し、フェルスタッペンのマシンは宙を舞うことに。
幸い両車に目立ったダメージはなかったようだが、ハミルトンは3番手を守る一方、フェルスタッペンはルクレールに先行を許し5番手に後退してしまうことに。
終盤、タイヤが厳しくなる状況のなか、ノリスはピアストリを6秒近く引き離した。2台にはチームからしきりにペースを下げるように指示が飛ぶ。それでも2台はプッシュをやめなかった。
そんななか、マクラーレンからノリスに対しチームオーダーが飛んだ。ノリスは68周目のホームストレートでスローダウンし、ピアストリを先行させた。ラップリーダーとなったピアストリはそのままトップチェッカーを受け、F1初優勝を飾った。2位にノリス、3位にハミルトンが続いた。
マクラーレンはワンツーフィニッシュでハンガリーGPを終えた。しかし、なぜ2回目のピットストップの際に先行するピアストリではなく、後続のノリスを先に入れたのか。その意図やチームオーダーに至る経緯など、疑問も残る一戦となった。
4位ルクレール、5位フェルスタッペン、6位サインツ、7位ペレス、8位ラッセル、9位角田、10位ストロールまでがポイント獲得。
角田は巧みなタイヤマネジメントで唯一1ストップ作戦を決めて、今季8回目(スプリント含む)の入賞を果たした。
次戦となる2024年F1第14戦ベルギーGPは、7月26~28日にスパ・フランコルシャンで開催される。
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