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新車価格はR32GT-Rの3倍以上! ちょっと尖り過ぎた名車「オーテック・ザガートステルビオ」とは

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新車価格はR32GT-Rの3倍以上! ちょっと尖り過ぎた名車「オーテック・ザガートステルビオ」とは

櫻井眞一郎率いる「大手を食う(オーテック)」会社

 日産自動車の関連会社で、日産車をベースにオリジナルの改装(チューニングも含む)を施し、ハイクオリティ、ハイパフォーマンスな車両を送り出している「オーテック」の存在は、クルマ好きならご存じだろう。 この会社、正確には「オーテックジャパン」と言う。1986年に日産自動車の特装車の開発、製造を目的に設立。初代社長はスカイラインの生みの親、育ての親として知られる櫻井眞一郎氏が務めた企業だ。 日産が業務の性格や特殊性に応じて内容の充実化や効率性を重視して担当部門の独立化を押し進めていた時期で、1984年にはモータースポーツ専門会社の「NISMO(ニッサンモータースポーツインターナショナル)」が創設されていた。

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ザガートとコラボした夢のコンプリートカー

 そのオーテックが1989年に「オーテック・ザガートステルビオ」とネーミングされるオリジナル車両を企画、発売した。2代目レパード(F31型)をベースとする車両で、プラットフォームやパワートレイン系を利用。エクステリアとインテリアのデザインをイタリアのデザイン工房「ザガート」に開発を依頼、架装する車両だった。 折しもバブル経済まっただ中。市場の高級、上級志向は強く、よいものであれば高額な出費もやむなし、あるいは当然とするユーザー心理が支配的な時代の車両企画だった。 当時のザガートは、アストンマーチンV8ザガート(1986年)で勢いを盛り返していた時期。オーテック・ザガート・ステルビオのデザインもアストンマーチンV8ザガートと同様、直線を基調とした力強さと優雅さを醸し出すデザインが特徴となっていた。 ボディパネルはアルミ材、ポンネットには軽量なカーボンファイバーを用い、内装も本革、ベロアを多用する贅沢な仕上げだった。

F31型レパードのコンポーネンツを利用

 エクステリア/インテリアデザイン以外は、レパードのメカニズムを踏襲する内容だったが、搭載エンジンのVG30DET型には手が加えられ(280ps/41.0kg-m)、サスペンションもレパードの前ストラット/後セミトレーリングアームを専用チューニングするスペシャライズド化が図られた。ミッションは4速ATのみが設定された。 生産台数は200台。さらに何台かのプロトタイプが加わるが日本仕様は100台が用意された。発売価格は1780万円と当時のメルセデス・ベンツ560SEL(V126、1365万円)より高額な設定。スチールプレスパネルを量産ラインで組み立てる大量生産の製造方法とは異なり、専用デザインの車両を上質な素材を使ってハンドメイドに近い工程で作り上げるため、非常に高額な価格設定となるのは当然だった。 むしろこの独創性に富む希少車両に対しプレミアム性を見出す人だけが手を伸ばしたモデル、と言うこともできた。オーテック・ザガート・ステルビオとは、そんなモデルだった。

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