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ミドシップでもフロント縦置きエンジンでも4WDを貫き通すアウディの凄さを富士スピードウェイで堪能した!

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ミドシップでもフロント縦置きエンジンでも4WDを貫き通すアウディの凄さを富士スピードウェイで堪能した!

レースやラリーで存在感を示すアウディスポーツ。その中でも究極の位置にあるのがミドシップ4WDモデルのR8だ。そして同じく4WDながら、フロントに高出力ターボエンジンを搭載し、かつてラリーで活躍したアウディ・クワトロを彷彿させるRS 5も魅力的な存在である。高性能ユニットを搭載した2モデルに富士スピードウェイで試乗した。PHOTO◎篠原晃一(SHINOHARA Koichi)

 アウディR8とRS 5。ともに高性能スポーツカーで、R8の上位グレード版R8プラスには最高出力610psと最大トルク560Nmを発生する5.2ℓV10が、RS 5には同じく高出力の450psと600Nmを発生する2.9ℓV6ツインターボが搭載され、ともにアウディらしく4輪を駆動するクワトロシステムを搭載する。
 
 ともにアウディのスポーツカー的な魅力を体験できるすばらしいクルマだが、正直言ってその性能を思う存分味わうことは一般道では不可能だ。なにしろR8プラスは3.1秒で100km/hの制限速度に達してしまうのだから。

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 というわけで今回、富士スピードウェイで思い切り走れる機会を得たので、それぞれの印象を報告したい。といっても、じつは先導車つきの3周程度の試乗会なので、そこはちょい乗りと言うことを前提とさせてほしい。

ミドシップと4WDのいいところ取り  

 R8の魅力はエンジンに尽きるだろう。ランボルギーニ・ウラカンと共用する5.2ℓV10は、ランボルギーニほど情感に訴える音を奏でるわけではないが、これまでに試乗したアウディラインナップの中で群を抜いた加速性能を示した。さらに今回はR8プラスというR8の中でもさらに過激バージョンだ。プラスという車名のとおり普通のR8の最高出力は540psになんと70psプラスの610psになり、最大トルクは540Nmから560Nmにアップする。ちなみに価格も450万円アップ(2915万円……!)する。

 このR8プラスの性能を最大限味わうべく、パフォーマンスボタンを押す。こうするとESC(スタビリティコントロール)やダンパー、アクセル特性がさらにスポーティになり、変速がマニュアルモードとなる。自動シフトアップしないのでレブリミットに当たる前に右のパドルを引いてシフトアップしよう。
 
 世界最長クラス1.5kmの直線を誇る富士スピードウェイは、最高速からブレーキングして飛び込む1コーナーはなかなかしびれるモノがある。先導車が最高速を250km/hに抑え、ブレーキングポイントも早めだったとはいえ、ペダルタッチも減速度もさすがに高いレベルだった。
 
 コーナリングは鋭い。ミドシップらしい軽快なフロントと、4WDらしいトラクションが同居する。試乗会では限界域での運転までは至らなかったので、本当の実力はわからなかったが、ミドシップ(軽快感)と4WD(安定性)という一見相反する性能を両立したスーパーカーだと感じた。

RS 5は新感覚のスポーツクーペ  

 RS 5のスタイリングはフロントもリヤも盛り上がったフェンダーがいかにもマッチョなスポーツカーを感じさせる。ベースモデルのA5よりも15mmワイドなブリスターフェンダーのミドサイズクーペという佇まいは、かつてWRCで活躍したアウディ・クワトロを彷彿とさせる。
 
 このRS 5の特徴は450psを発生する高出力エンジンもあるが、リヤにスポーツディファレンシャルを搭載していることだ。左右後輪をトルク配分して、4輪駆動ながら旋回性を高める。たしかにトルクベクタリングの効果で、ぐんぐん内側に向いていく新感覚がある。

 ただし、コーナリング中にテールが流れるような状況で、イン側に切り込んでいたステアリングが急に軽くなったり、ブレーキを残しながらターンインするような状況で不意にブレーキペダルの反力が薄くなって、すっとペダルが奥に入る瞬間もあったので新感覚にはちょっとした違和感も伴っていた。
 
 2.9ℓV6ツインターボは速いのだが、いまいち速さを感じにくい。エンジンがR8をも上回る最大トルク600Nmで、しかも1900~5000rpmという全域で発生するトルキーなもののため、ドラマに欠けて速さを感じにくいのだろうか。気づいたらとんでもな速度に達しているタイプのクルマだ。大勢が乗る試乗会のため、先導車はやはり最高速は同じく250km/h程度だったが、そこから1コーナーへのブレーキは減速度が高く、ペダルにもしっかり感があり不満はなかった。ちなみにRS 5ではマニュアルモードでも、レブリミッターに当たったところで自動的にシフトアップするあたりもイージードライブだった。こちらはR8の半値以下の1257万円……。いや充分に超高級車だけど。

 世界屈指の超高速サーキットで、最新のアウディスポーツのハイエンドモデルを思い切り走らせるという夢のような時間を終えて、2台ともアウディらしい、新しい技術チャレンジを持ったスポーツカーだと痛感した。日本でもスーパーGTやスーパー耐久などで、アウディスポーツのモータースポーツ活動は熱心に行われている。充実したスポーツカーラインナップをもつアウディのモータースポーツ活動は注目だ。

アウディR8クーペ V10 Plus 5.2 FSI クワトロ Sトロニック

■ボディサイズ:全長4426×全幅1940×全高1240mm ホイールベース:2650mm ■車両重量:1670kg ■エンジン:V型10気筒DOHC 総排気量:5204cc 圧縮比:12.7 最高出力:449kW(610ps)/8250rpm 最大トルク:560Nm(57.1kgm)/6500rpm ■トランスミッション:7速DCT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:Fダブルウイッシュボーン Rダブルウイッシュボーン ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):F245/30R20(8.5J) R305/30R20(11J) ■パフォーマンス 最高速度:330km/h 0→100km/h加速:3.2※スポーツタイヤ装着時=3.1秒 ■車両本体価格:2915万円

アウディRS 5
■ボディサイズ:全長4725×全幅1860×全高1365mm ホイールベース:2765mm ■車両重量:1760kg ■エンジン:V型6気筒DOHCターボ 総排気量:2893cc 圧縮比:10.0 最高出力:331kW(450ps)/5700~6700rpm 最大トルク:600Nm(61.1kgm)/1900~5000rpm ■トランスミッション:8速AT ■駆動方式:AWD ■サスペンション形式:F&Rダブルウイッシュボーン ■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク ■タイヤサイズ(リム幅):275/30ZR20(8.5J) ■パフォーマンス 最高速度:280km/h 0→100km/h加速:3.9 ■車両本体価格:1257万円

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