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【なぜ1代かぎりで終焉?】三菱アイミーブ、EV花盛りなのに生産中止の背景 ミニキャブ・ミーブ存続のワケ

掲載 更新 5
【なぜ1代かぎりで終焉?】三菱アイミーブ、EV花盛りなのに生産中止の背景 ミニキャブ・ミーブ存続のワケ

アイミーブ生産終了 11年の歴史に幕

text:Kenji Momota(桃田健史)

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三菱自動車(以下、三菱)のEV「アイミーブ」が2020年度をもって生産中止になる。2020年9月18日夜、新聞各社や通信社が「関係者の話」として一斉に報じた。発売開始は2009年で、累計販売台数は約2万3000台である。

ところが、ちょっと気になることがある。

この報道が出た前日の17日、三菱は商用EV「ミニキャブ・ミーブ」でグレード展開の変更や、車両接近通報装置の変更など一部改良して、モデル継続を発表しているのだ。

同社はアイミーブと同じモーターなどを搭載し、2011年に発売されている。

三菱の事業戦略としては、2020年5月にルノー日産三菱アライアンスが今後の方針を発表。そのなかで、3社の役割分担を明確化し、技術開発と販売国・地域において各社の「選択と集中」を進めることが明らかになった。

例えば、中型乗用EVについては日産自動車、小型乗用EVについてはルノー、また軽自動車についてはEVを含めて日産と三菱の合弁企業NMKVが開発を進める。

こうした状況下で、「アイミーブ」は消えるのに「ミニキャブ・ミーブ」が生き残る。

その背景に何があるのか?

また、アイミーブがEV市場に残した成果とは何だったのか?

アイミーブ、トップダウンで決まった

改めてアイミーブ誕生の経緯を振り返ると、実にいろいろなことがあった。

そもそも、三菱がEVを本格的に量産することを決めたのは、大手金融機関のトップらの協議がきっかけだ。その協議に直接関わった人物から、アイミーブが発売して間もない頃、筆者は詳しい話を聞いている。

また、アイミーブの初期開発に直接携わった関係者からも、量産をするための「初めの1歩」がいかに大変だったかを聞いた。

要するに、アイミーブは三菱のトップダウンで話が進み、開発現場としては「なんとしてでも量産しなければ」と様々な苦悩を乗り越えた末に誕生したモデルなのだ。

なにせ、大手自動車メーカーがEVを通常の生産ラインを使って大量生産したのは、世界自動車史上でアイミーブが初めてだったからだ。

それまでのEVは使用目的が限定的な特殊車両的な扱いを受け、欧米の小規模企業による少量生産が主体だった。

90年代頭、米GMがカリフォルニア州が施行したゼロエミッションヴィークル(ZEV)規制法への対応モデルとして「EV1」をリース販売したことがある。だが、GMの事業方針転換によりユーザーから車両が回収されて解体するというEV史での”暗い過去”しか残らなかった。

アイミーブは大手自動車メーカーによる正統派EVの第1号なのだ。

三菱アイミーブの使命は終わっていた

アイミーブは世界約50か国で販売されたが、発表して間もない頃、仏パリモーターショーとニューヨークモーターショーでは、一部メディアによる公道試乗会が催され、筆者も参加した。

試乗の感想としては、「ズッシリして上級感がある」だった。逆に言えば、ベースとなった軽自動車「i」はリアエンジンの軽量ボディであり、その車両床部に大型電池パックを搭載したことで、クルマとしての運動特性が大きく変わっていた。

海外メディアからも「大手メーカーのEVは、走りの質感が良い」と評判は上々だった。

一方、日本では経済産業省が旗振りした、都道府県が主体で行った電動車普及施策「EV/PHVタウン構想」がきっかけとなり、官公庁を中心にアイミーブの普及が一気に進んだ。

そうした各所での取材シーンを思い浮かべると、アイミーブはEV新時代を具現化するための先駆者だったと改めて思う。

その後、アイミーブのEV制御技術や部品はミニキャブ・ミーブと「アウトランダーPHEV」で活用されていく。

だが、三菱の経営再建の中で、電動化開発の予算は限定的であり、アイミーブの進化も事実上、ストップしてしまった。

そこに日産がやってきた。軽自動車の企画で合弁企業NMKVを設立。また、電動化事業の全般もリーフによる量産効果を優先し、企画・開発・部品購買の主導権は日産に移った。

この時点でアイミーブの使命は終わっていた。

ミニキャブ・ミーブ、なぜ生き残る?

次世代軽EVとして、NMKVでは日産「IMk」の開発が進むが、そこにはアイミーブ初期開発者も携わり、三菱のEV魂を投入している。

一方、次期アウトランダーは、次期エクストレイルが主体で開発される兄弟車として登場する可能性が極めて高く、三菱が培ったアイミーブ由来のPHEV技術が反映されるのか、それともされないのか?

どちらにしても、前述のようにルノー日産三菱アライアンスの中で、中型車での電動化技術の主役は日産であることは間違いない。

こうした状況の中で、なぜミニキャブ・ミーブは生き残ったのか?

これは、近年になり大手事業者がESG投資(環境・社会・ガバナンスを主とする企業業績判断による投資)に対して関心が一気に高まっており、いますぐ導入できる商用EVとしてミニキャブ・ミーブに注目が集まっているからだ。

例えば、東京電力が中心となり2020年5月、電力メーカーや自動車メーカーなど約40社で「電動車活用推進コンソーシアム」を設立しているが、東京電力EV推進室によると「軽をベースとしたEV需要への期待が大きく、メーカー各社と新規開発について今後、協議していきたい」と話している。

次世代商用EVを含めた新世代EVに向けて、アイミーブは大いに貢献してきたと思う。

アイミーブ開発に携わってきた皆さんに、自動車産業に携わる者として心から感謝したい。

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みんなのコメント

5件
  • iミーヴが製造中止という事は、プジョーイオンやシトロエンCゼロも製造中止という事か…?逆に今迄よく親玉ルノーが許していたな…
  • i自体は凄い良い車だと思う。ミーブじゃなくても、異端児好きとしては、iの後継を作って欲しかった。買うかどうかは、三菱だから、買わないけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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