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コロナ後の経済復興 自動車産業がけん引 連携の枠組み拡大し新たな領域にも挑戦 日本自動車工業会など

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コロナ後の経済復興 自動車産業がけん引 連携の枠組み拡大し新たな領域にも挑戦 日本自動車工業会など

 日本の自動車産業が、日本自動車工業会(自工会)を軸に業界発展に向けた連携を加速している。自工会をはじめ日本自動車部品工業会(部工会)、日本自動車車体工業会(車工会)、日本自動車機械器具工業会(自機工)の自動車工業4団体は新型コロナウイルスの感染拡大を機に医療現場への支援や経営状況が悪化する企業への資金繰り支援で協力してきたが、コロナ後の経済復興をけん引するために協調体制を拡大する方針を固めた。今後はものづくりの4団体に限らず、日本自動車販売協会連合会(自販連)とも合流し、業界が抱える課題解決に一丸となって取り組む。また、自動車産業がコロナ禍を生き抜き、未来に向けて「戦略産業」として日本経済を回し続けるため、既存の枠組みから脱却した新たな領域にも挑戦していく。

(福井 友則)

自動車工業4団体、業界発展へ協調体制拡大 コロナ後も経済けん引

 「今までの業種の枠を越え、何でも作る、何でも仕事するという覚悟が必要だ」―。4月、自工会をはじめ部工会、車工会、自機工の4団体による異例のインターネット合同会見で、自工会の豊田章男会長は力強くこう述べた。

 まず新型コロナ対策として着手したのが医療現場支援だ。フェイスシールドの生産や感染者の搬送用車両の提供、人工呼吸器の量産などの医療物資支援に加え、医療機器メーカーへの生産性向上支援など、自動車メーカーや部品メーカーがこれまで培ってきたものづくりを生かした取り組みを進めてきた。

 こうした日本のものづくりを支えてきた技術、技能、人財を守るための枠組み「助け合いプログラム」も立ち上げた。高い技術力を持ちながらもコロナ禍で経営危機に陥っている中小企業の資金調達について、各団体が持つ〝目利き力〟を生かして支援する仕組みをいち早く構築した。

 7月9日には4団体のトップが対面での初会合を開き、業界が発展していくための新たな協力体制について議論した。

 厳しい環境下でも国内のものづくりを維持し、産業の競争力を高めていくための協力体制として、中小部品メーカーへの業務改善指導や人材交流などのアイデアが挙がった。部工会の尾堂真一会長は「現場改善は過去の延長線上でしかなかなかできない。製造業の新しいものづくりとしてデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいく」と述べ、そのための業務改善や人材育成には「何らかの受け皿が必要」と、連携体制の新たな取り組みに期待を寄せる。

 CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)やMaaS(サービスとしてのモビリティ)、さらにスマートシティーといった次世代技術やサービスに関連する企業間のマッチングについても、団体を横断した枠組みで検討する。自機工の辻修理事長は「スマートシティーが実現すれば整備も関連してくる」という。また、自動車関連税制の要望活動についても「4団体として取り組むのは有効だ」と車工会の木村昌平会長は賛同する。

 4団体の新たな連携案については次回の会合開催を予定する9月までに取りまとめる方針だ。それまでに自販連と販売に関連した協力関係も模索していく。9月を〝納期〟とした点について、豊田会長は「日本に明るいニュース、元気になる材料、希望は持てないまでも先に光が見えるものが必要だ。どんな小さなことでも困ったことに手を打った、という一歩を示したい」と強調する。

 日本でのモータリゼーション進展を背景に、自動車メーカーから部品メーカー、販売、整備などそれぞれの自動車関連業種において業界を取りまとめる団体が設立されてきた。それぞれに業界発展を目指した取り組みを進めてきたが、自動車産業が「100年に1度の変革期」にある今、その枠組みを柔軟に変えていく必要性が生じているとも言える。

 豊田会長は4団体連携に至ったことに対し「危機の中で手を携え、助け合おうという狼煙を上げたことについて感謝している」と述べ、医療支援で「自動車の要素技術や設備、量産技術などが役に立った」と手応えを示す。これまでの取り組みは新型コロナ対策がきっかけではあったが、自動車産業の未来を見据えた時に「CASEなどの環境変化が起こって、何かの問題を一つのテーブルに出せる環境ができた」と、日刊自動車新聞社の取材で明かした。

 CASEやMaaS領域ではグローバルで開発競争が激化している。ただ、こうした次世代技術やサービスには「必ず協調分野が必要だ」と豊田会長は断言する。例えば自動運転であれば、公道を走らせるルール作りや車車間、路車間通信は協調していかないと実現は難しい。その上で「どの自動運転車が魅力的か、で競争すればいい」と話す。

 自動車産業全体の競争力を引き上げ、日本経済が真に発展を続けていくためには新領域への挑戦が不可欠だ。そのためには企業間における競争と協調の領域を明確にした上で、従来の延長線上にない開かれた産業へと舵を切る必要がある。

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