クリント・イーストウッド、91歳(2022年1月現在)。俳優としての輝かしいキャリアはもちろん、映画監督としても数々の名作を生み出してきたハリウッドの偉人です。そんなイーストウッドの監督デビューから50年という節目に公開される、記念すべき40作目が『クライ・マッチョ』です。
本作でイーストウッドが演じるのは、かつてはロデオ界のスターだったが今では全てを失い、虚しく生きている元カウボーイの老人マイク。ある日、そんな彼をクビにした元雇い主から「毒母(妻)の元にいる息子ラフォを連れてきてほしい」と依頼され、厄介事に首を突っ込むことになります。
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祖父と孫のような関係の二人ですが、命がけの逃避行のなかで人生の大きな岐路に立たされます。タフなストリートで生き残るために「マッチョでありたい」と願う少年と、かつての「マッチョな生き様」を省みる老人。まるでイーストウッドが自身の半生(過去作品)を回収するかのような、酸いも甘いも噛み分けた“人生のロードムービー”に仕上がっています。
本作は“マッチョ”と謳ってはいますが、さすがに90代のイーストウッドが激しいアクション等を披露するわけではありません。この映画でマッチョを象徴するのは、ラフォのパートナーである雄鶏です。そしてイーストウッドがドラマ『ローハイド』(1959年~1966年)撮影時には毎日のように乗っていたという馬たちが、彼らの交流を促すハブとなります。
若かりし頃のイーストウッドといえば西部劇=馬のイメージが強いですが、『マンハッタン無宿』(1968年)では白バイ仕様のモトグッツィに見立てたスタント用のトライアンフTR6、『ダーティハリー2』(1973年)では同じくトライアンフのT100Rデイトナ、『ガントレット』(1977年)ではファイヤーパターンがクールなハーレーダビッドソン・ナックルヘッドなどなど、ポリスアクション映画では様々なバイクにも乗ってきました。
TVデビュー作となったドラマ『ハイウェイパトロール』(1955年)のエピソード「モーターサイクルA」ではバイカーズクラブの一員を演じており、ちょっとおぼつかない様子でファイヤーボールエンブレムのハーレーに乗る姿を見ることができます。そんな“マッチョの象徴”だったイーストウッドのキャリア集大成とも言える『クライ・マッチョ』は、2021年1月14日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー中です。
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