■ノンアルはアルコール0.00%の「炭酸飲料」
年末年始の宴会シーズンが近づいてきました。
新型コロナウイルスの感染状況も1年前よりも落ち着きを見せていることから、オミクロン株など変異種の動向を気にしつつも、「今年は忘年会や新年会が楽しみ!」という人も多いのではないでしょうか。
そうした飲酒の機会の増加に大きくかかわってくるのが「飲酒運転」の問題です。
酒気帯び運転は、呼気中アルコール濃度0.15mg/L以上0.25mg/Lで違反点数13点(免許停止90日以上)、0.25mg/L以上で違反点数25点(免許取消し、欠格期間2年以上)が、酩酊などで酒酔い運転と見なされると、呼気中アルコール濃度に関係なく違反点数35点(免許取消し、欠格期間3年以上)が科せられます。
そして、こうした行政処分とは別に、多額の罰金(場合によっては懲役刑)が命じられることになります。そして同乗者や、車両の提供者も厳しい罪に問われます。
しかし、これらの厳罰をもってしても、飲酒運転はなくなってはいません。やはり楽しいお酒の誘惑の前には、「軽くだから」「ほんの少しの距離だから」と、気持ちが緩んでしまうのでしょう。
そうしたとき「お酒を飲んだ気にさせてくれる」のが、ノンアルコールビールテイスト飲料、いわゆるノンアルコールビールです。
お酒を出す飲食店のうち、クルマでの来店客が多いロードサイド店ではノンアルコールビールを取り扱うお店が多く、ドライバーへの配慮が感じられます。
そしてノンアルコールビールを飲んでの運転も「アルコール0.00%なので、問題ありません」(オールフリーなどを販売するサントリー)、「アルコール0.00%の炭酸飲料なので、運転しても問題ありません」(零ICHIなどを販売するキリン)など、メーカー各社は公式サイトで“太鼓判”を押しています。
■「微アル」も法律上はアルコールでないとされているが…
では、最近登場した“微アル”と呼ばれるビールテイスト飲料はどうでしょうか。
このジャンルでは、アサヒが2021年6月に「BEERY(ビアリー)」を、サッポロが同年9月に「The DRAFTY(ザ・ドラフティ)」を投入、コロナ禍であらためて注目される「健康」も視野に、市場拡大を見込んでいます。
ビールとしては販売されないこれら商品も、先に紹介したノンアルコールビアテイスト飲料のように、飲んだあとに運転しても大丈夫なのでしょうか。
答えは、「NO」です。
我が国では、その商品が「お酒にあたるか否か」が、酒税法で「アルコール分1度以上の飲料(中略)をいいます」と規定され、アルコール分1度(1%)未満の飲み物はビールではなく、清涼飲料などと同等に扱われます。
つまり“微アル”飲料、アルコール分0.5%のBEERY、同0.7%のThe DRAFTYとも、法律上は「お酒ではない」とされています。
しかし、たとえアルコールの度数が低く、分類上はお酒扱いされないとしても、これらを飲めば、アルコールを摂取することになります。
そのため両社とも「本商品は、微量ながらアルコールが含まれるため、運転される方は飲用をおやめください」(アサヒ)、「アルコールを含んでいるため、運転者は飲用をおやめください」(サッポロ)といった内容を公式サイトに掲載し、運転する前にこれら“微アル”を飲んではならないと注意を呼びかけています。
また先に述べたように、飲酒運転の取締りでは「何を飲んだか」にかかわりなく、呼気中アルコール濃度をもとに酒気帯び運転の判定をおこないます。そのためこうしたアルコール度数の低い“微アル”でも、飲む量によっては酒気帯び運転で摘発される可能性もゼロではないのです。
もちろん「だったら1本や2本飲んだだけなら、検問にあってもクリアできるんじゃない?」と考える人もいるかもしれません。
ところが、警察庁が興味深い研究内容とその結果を、公式サイトに掲載しています。
その研究内容は、複数の被験者にワインを規定量摂取してもらい、シミュレータによる反応速度を測るというものです。
そして実験の結果、現在取締りの対象とならない「呼気中アルコール濃度0.10mg/L」であっても、飲酒の影響が見られたとしています。つまり摂取したアルコールが酒気帯び運転での基準値以下であっても、事故のリスクは高まると考えられるのです。
もし事故を起こせば被害者、そして加害者であるドライバーの人生は大きく狂います。「“微アル”だから大丈夫」ではないことをきちんと理解し、宴席に出るときには電車やバスなどの公共交通機関や、運転代行などを使うよう、心がけてください。
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みんなのコメント
ドライバーたるもの、ダメ、という歯止めを持つべきでしょ。
「少しだけなら大丈夫」がエスカレートすればいつか必ず取り返しのつかない結果になるし、運転するなら飲まないこと!!