現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【フェラーリ・ローマへ英国試乗】ライバルはベントレーかつマクラーレン 新たな戦いの始まり 後編

ここから本文です

【フェラーリ・ローマへ英国試乗】ライバルはベントレーかつマクラーレン 新たな戦いの始まり 後編

掲載 更新 2
【フェラーリ・ローマへ英国試乗】ライバルはベントレーかつマクラーレン 新たな戦いの始まり 後編

ドライバー・フレンドリーな運転環境

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

【画像】フェラーリ・ローマ 競合ハイパフォーマンス・モデルと比較 全150枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


フェラーリ・ローマには、実用的なリアシートが付いてくる。2+2のスポーツカーを、これまでフェラーリが作らなかったわけではない。過去に1度だけ、ベルトーネ・デザインの308 GT4が1974年に発売された。それ以来、久しく作られていない。

モンディアルはずっと柔らかいクルマで、カタチもずんぐり。それ以降の2+2は、456から612スカリエッティ、FF、GTC4ルッソまで、V型12気筒を搭載したビッグ・クーペのグランドツアラーだった。ひと回り小さいローマは、新しい一手となるだろうか。

運転環境は、かなりドライバー・フレンドリー。メーターパネル周りは、ハイブリッド・スーパーカーのSF90ストラダーレと共通だと思われる。むしろ、ローマの方がしっくり来るように見える。

写真をご覧いただきたい。とても見事な仕上がりで、フェラーリらしさもちゃんとある。

F8トリブートのメーターパネルは、かなりシンプルなデザインだ。裏に隠れる構造は、458イタリアを起源とする。その理由で、操作はやや複雑に感じた。だが、ローマはその真逆といっていい。

モニターの表示は少し複雑に思えるものの、極めて高精細。操作はとても直感的に行なえ、わかりやすい。この流れでタッチモニターの反応がアイパッドのように正確になれば、エキゾチック・モデルとしては新しい次元に届いたと思えるだろう。

技術者から説明を聞いたが、試乗車のタッチモニターの反応はまだ不十分な様子。フェラーリは、改良を重ねているという。

喜びと驚きで満たしてくれるローマ

12月のイングランド南部は、暗く霧雨が降っていたが、フェラーリ・ローマでゆったり道を流すだけで、とても豊かな気持ちになれる。流麗なスタイリングと穏やかな振る舞い、伝統あるブランドだというすべてが、人生を豊かにしてくれる。

しかし、それだけではミスリード。ローマはそれ以上のことを与えてくれる。外に出たくないほど寒い午前3時に、目覚ましアラームを設定したいと思わせてくれる。

マネッティーノのチョイスは、悩む必要なし。スポーツ・モードはサーキットでは不満足でも、一般道を熱く走りたいドライバーには丁度いい。たとえ多少濡れていても。

トラクションがウェットでは足りていないという事実は、とても残念。しかし、タイヤには敏感なようで、ミシュラン・パイロットスポーツ4Sの方が、ピレリ・Pゼロよりはるかに優れた挙動を示していた。

いずれにせよ、アクセルペダルさえ丁寧に扱えば、ローマは喜びと驚きで満たしてくれる。まず、ボディが実際よりコンパクトに感じられることに驚かされる。

全幅は1974mmだから、確かに大きい。でもコンパクトであるかのように、狭い道を完璧にトレースできる。F8トリブートの良くない特性の1つ、ステアリング切り始めの超が付くほどアグレッシブな反応が、一歩穏やかになっていることにも驚いた。

動的性能にも感心しきり。フェラーリ基準でいえば、特にパワフルでもないし、ライバルと比べれば特に軽量なわけでもない。しかし、これ以上誰が不満を感じるのかと疑問を覚えるほど、鋭く加速する。

スポーツカーであり、グランドツアラー

ローマで道を進むだけで、至福が味わえる。フェラーリといえば、秀でたエンジンで名を馳せてきた。だが近年はシャシー開発でも、技術者の才能が花開いているようだ。

相当にチャレンジングな道でも、極めて速い。それでいて巧みな走りで、不安感がない。

新しい8速デュアルクラッチATは、この方式では改善のしようがないほど優秀。7速までは異なるマッピングが与えられ、ツインターボV8エンジンから魔法のようなパワーデリバリーを引き出してくれる。

少し不機嫌そうなサウンドは、ミドシップ・フェラーリにぴったり。ローマには、少し場違いに思えた。

結局のところ、フェラーリ・ローマはスポーツカーなのか、グランドツアラーなのか。唯一の答えとして、見事にどちらも両立させているという結論にたどり着いた。

実際は、筆者がこれまで目を通した試乗レポートより、不完全さを感じさせるクルマではある。グッドウッドやイングランド南部を、雨混じりの寒い12月にドライブしたことで、少しの弱みも発見できたのだろう。この機会に感謝したいと思う。

しかし、フェラーリ・ローマはとても美しい。そして、極めて幅広く深遠な能力を兼ね備えている。その実力を考えれば、筆者の発見など小さなものに過ぎない。

メルセデスAMGやポルシェ、アストン マーティンを含む、ベントレーからマクラーレンまでがライバルとなる、新しいフェラーリ・ローマ。自らの手でどんな戦いを生み出したのか、フェラーリは恐らく気付いてはいるのだろう。

フェラーリ・ローマ(英国仕様)のスペック

価格:17万984ポンド(2393万円)
全長:4656mm
全幅:1974mm
全高:1301mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:255g/km
車両重量:1570kg(オプション込み)
パワートレイン:V型8気筒3855ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/5750-7500rpm
最大トルク:77.4kg-m/3000rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
ジャガーEタイプ S1(2) スタイリングにもメカニズムにも魅了! 人生へ大きな影響を与えた1台
AUTOCAR JAPAN
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
もの凄く「絵になる」クルマ ジャガーEタイプ S1(1) そのすべてへ夢中になった15歳
AUTOCAR JAPAN
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
日本の「ペダル踏み間違い防止技術」世界のスタンダードに! 事故抑制のため国際論議を主導
乗りものニュース
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
90年前の“博物館級”のオートバイがオークションに登場 “2輪界のロールス・ロイス” 1936年製ブラフ・シューペリアがカッコ良すぎる
VAGUE
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
HRC渡辺社長、フェルスタッペンの4連覇を祝福「ホンダ/HRCとしてサポートし続けてこられたことを誇りに思う」
motorsport.com 日本版
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
くるまのニュース
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
本拠地の欧州で「メルセデス・ベンツのタクシー仕様」シェア急降下! なぜ? 「“ベンツのタクシー”に乗れたらラッキー」な時代が到来するのか
VAGUE
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
「銀の皿」に「レジ横のガム&タバコ販売」に1000円以下のメニューと「ザ昭和」がたまらない! トラック野郎を癒し続ける「采女食堂」はぜひ立ち寄るべし【懐かしのドライブイン探訪その5】
WEB CARTOP
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
ラッセルが今季3度目のPP獲得。ガスリーと角田裕毅がQ3で健闘見せる【予選レポート/F1第22戦】
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
F1ラスベガスGPで追い上げ2位のハミルトン「予選がしっかりできれいれば、楽勝だったろうに」
motorsport.com 日本版
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
中央道「長大トンネル」の手前にスマートIC開設へ 中山道の観光名所もすぐ近く!
乗りものニュース
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
ペレス、チームメイトのフェルスタッペンとは対照的に10位が精一杯「レッドブルは最高のチーム。来年は良いマシンが作れるはず」|ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
「ん、ここ工事してなくない?」 高速道路の車線規制“ムダに長い”場合がある理由とは?
乗りものニュース
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
日本専用の新型「“MR”スポーツカー」初公開! 旧車デザイン×「ネットゥーノ」エンジン採用! 600馬力超えの「チェロSE」登場
くるまのニュース
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
ピエール・ガスリー、予選3番手から無念マシントラブル脱落に「顔面平手打ちされたみたい」残り2戦にポテンシャルは確信|F1ラスベガスGP
motorsport.com 日本版
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年11月17日~11月23日)
Webモーターマガジン
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
F1マシンを脇に歌舞伎……来春鈴鹿のグリッドでも! 日本GPアンバサダーに就任した市川團十郎「息子と歌舞伎の扮装で踊る計画を」
motorsport.com 日本版
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
  • 正直スポーツカーは全然知識ないし、フェラーリとかよく書いてあるFFとかFRとかV12とかV8とか知らないし、煩い羽根生えて見た目も冴えないオタク風の方が乗ってるやつ、って興味もなかったけど、このローマはエクステリアがカッコいいと思った
  • リアこうなってんだ。フェラーリらしく無いね。パナメーラ崩れか?ちょっちダサい。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2750.04219.8万円

中古車を検索
ローマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2870.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2750.04219.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村