2019年7月にマイナーチェンジを受けた日産スカイライン。世界初の先進運転支援技術「プロパイロット2.0」に注目が集まっているが、クルマの基本性能も大幅にアップデートされているのも見逃せない。そんな新型スカイラインの進化を解き明かすべく、人気モータージャーナリストの島下泰久と今井優杏が試乗インプレッションを敢行。その1となるハイブリッドモデル編は今井優杏がリポートする。二人の掛け合いによる動画も必見だ。
セダン復権をかけた渾身の作
全国で26件目に。日産が下野市と電気自動車(EV)を活用した災害連携協定を締結
https://youtu.be/2Ll92s3hQqA
これまで何度も試乗を重ねているマイナーチェンジ後のスカイラインだけど、改めて今回も「いいクルマだな」と思った。いいクルマだし、いい技術だな、と。
昨2019年の夏にマイナーチェンジを果たしてから、好調なセールスが伝えられている新型、いや新生スカイライン。キュッと引き締まったルックスはまさに“フェイスリフト”そのものだし、ヒップラインだってGT-Rを思わせるグラマラスな雰囲気に生まれ変わった。そう、ルックスだけでもこれまでの顧客層とは一転、若年世代にも響いているというのもよく分かる。
しかし今回、私はハイブリッドGT タイプSPを中心に試乗をし、幅広い層に受け入れられる理由をやはり、デザイン以上にナカミに実感するに至ったので、率直にレポートしていこうと思う。
まず、マイチェンのキモとも言える「プロパイロット2.0」の実力のレベルについてお話ししたい。そう、言わずと知れたかのYAZAWAのAちゃんがハンドルから手を離し、ニヒルに微笑みながら「ぶっちぎれ!」という、TVCFでもお馴染みのアレである。一定の条件が整えば走行中にステアリングホイールから手を離すことができるという“ハンズオフ”を叶えたテクノロジーだ。
プロパイロットは、セレナを皮切りにエクストレイルやリーフ、デイズにも搭載されているが、従来型はステアリングを保持、つまりいかなる時でもハンドルに手を添えておかなければいけない、という大前提があった。しかし「プロパイロット2.0」は先述の通り同一車線上のハンズオフが可能になった。日産自動車に確認したところによると『膝の上に手を乗せておく』など、いつでもハンドル操作に復帰できるよう、ドライバーは備えておく必要があるが、それでも一度これを経験すると、『長時間の運転中に手をハンドルの高さに上げて一定の姿勢を保持し続けることが如何に負荷だったか』ということを思い知ることになる。
つまりは結論を急いでしまうけれど、“めっちゃ便利”だってことなのだ。
以前の個人的な試乗でも、そして今回の改めての試乗でも、ルートには東名高速道路を選んだ。都内から静岡に向けて走るコースである。そして、よくこのルートを使用する人にはすっかりお馴染みだと思うけれど、この道はかなりスムーズに走ることができるエリアもあるにせよ、渋滞が頻発することでもよく知られている。そしてこういう道こそ、プロパイロット2.0の腕の見せ所だ。相当なる頻度でハンズオフが可能になるし、また車線変更もかなり正確になされることに、驚いてほしい。つまり、程よくクルマが走っていて、そしてスムーズに走られるエリアもあれば、渋滞の発生するエリアもある。そんな道路が生活圏内にある人は、黙って「プロパイロット2.0」を買いなさい、そう言っても感謝されることがありこそすれ、決して間違いではないだろう。
"めっちゃ便利!"なプロパイロット2.0
ハンズオフ機能を使用するのはとても簡単で、わずか2アクションのみ。さらに、目的地までのルートをナビゲーションに設定すれば、ジャンクションや高速の出口などでのルート変更支援もしてくれる。
Hands-on scene: To initiate a vehicle maneuver such as lane changes or passing, the driver will be alerted through audible and visual warnings to promptly return both hands to the steering wheel. In this scene, a green steering wheel icon with hands is shown on the display to notify the driver that the vehicle is in hands-on drive mode.
走行が始まったらステアリングホイールのちょうど右手を親指で触れられるあたり、ステアリングスイッチ群にある青い波紋のような「プロパイロットマーク」を一度押す。そうしたら、その隣にある上下式スイッチを下に引き下ろし、SET。これで完了だ。必要に応じて引き続きその上下式スイッチを上にスライドさせ、上限速度を設定すればいい。これだけ。たったこれだけで、条件が整ったらピコン、と軽快なアラート音が鳴り、メータークラスターの中のハンドルマークがブルーに変化する。そしてそのブルーのマークを確認するより前に、ハンドルがまるで意思を持ったかのようにキュッと手応えを増すのを知ることができるだろう。
コレを実現したのが、最新テクノロジーの融合だ。プロパイロット2.0にはフロントの3眼カメラを含む7個のカメラの映像、5個のレーダー、12個のソナーが搭載され、これらで道路の白線、標識、周辺車両を検知する「360度センシング」と、高速道路の路面の傾斜やラインの色などさまざまな道路情報をセンチメートルレベルの緻密さでデータ化した「3D高精度地図データ」を組み合わせることで、他社を大きくリードした安定・安心感のあるハンズオフ走行を可能にしたのである。いやほんとに、この安心感は伊達じゃない。
我々は運転を生業にしているし、自分の手で、センスで運転してきたから、ちょっとでも怖さを感じる技術は身体が勝手に拒否をしてしまうのだ。
しかし、動画の我々のリラックスした表情を見てほしい。つまりはこれがすべてを物語っていると思う。
ワインディングでの高い走行性能も魅力のひとつ
さて、そんなふうに「プロパイロット2.0」にはそもそもべた惚れだった私だったけど、今回はワインディングロードにハイブリッドGTタイプSPを持ち込んだことによって、また新たなる魅力に気づいてしまった。
なんと、意外にも走りがかなり気持ちいいのだ。
ハイブリッドならではのモーターの加速の瞬発的なトルクはもちろんながら、日産オリジナルエンジンの3.5L V6エンジンがそのパワーを受け継いで、エコノミーなイメージを一発で払しょくするグイグイした走りを披露してくれた。高速道路や一般道では高級セダンらしい淑やかさで、あんなにしゃなりしゃなりとしていたのに!
動画でも少し話したけれど、これならメインドライバー以外に運転席を譲ったって、安心して帰路に就けると思う。なにかと頼られたら嬉しがるお年頃の、ご両親に預けたっていいだろう。
安全とバラエティ豊かな走行性能。より家族の絆を深めてくれそうな、そんな懐の深さを再確認した。
【その2】の記事はコチラ
【Specification】ニッサン・スカイライン GT TYPE SP(HYBRID)2WD
■全長×全幅×全高=4810×1820×1440mm
■ホイールベース=2850mm
■トレッド=前1545、後1570mm
■車両重量=1820kg
■乗車定員=5名
■エンジン型式/種類=VQ35HR/V6DOHC24V
■内径/行径=95.5 ×81.4mm
■総排気量=3498cc
■圧縮比=10.6
■最高出力=306ps(225kw)/6800rpm
■最大トルク=350Nm(35.7kg-m)/5000rpm
■燃料タンク容量=70L(プレミアム)
■モーター型式/種類=HM34/交流同期電動機
■モーター最高出力=68ps(50kw)
■モーター最大トルク=290Nm(29.6kg-m)
■燃費=(JC08)14.4km/L
■トランスミッショッン形式=7速AT
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン/コイル、後マルチリンク/コイル
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後225/50RF18(7.5J)
■車両本体価格(税込)=6,160,000円
■問い合わせ先=日産自動車 http://www.nissan.co.jp/
商品サイト
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/skyline.html
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