ダイハツ・コペン・スパイダーVer.
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
【画像】東京オートサロン2021 ダイハツ・カスタマイズカー4台【撮れたて実車を見る】 全215枚
photo:Hiroyuki Kondo(近藤浩之)
editor:Taro Ueno(上野太朗)
残念ながら開催中止となってしまった東京オートサロン2021だが、ダイハツはそれに向けて制作してきたカスタマイズカーをバーチャルオートサロン内で公開することにした。
今回はそれに先駆けて実車をチェックする機会に恵まれたので、各車の特徴や制作の想いをチェックしてみたい。
まずご紹介するのは1950年代のイタリアン・レーシングカーに着想を得た「コペン・スパイダーVer.」だ。
レーシングカーと聞くと、専用パーツをふんだんに使用したハイカロリーなイメージがあるかもしれないが、こちらは走りに必要な装備以外を極力カットオフしたモデルとなっており、コペン最大の特徴である電動アクティブトップを潔く取り払っている。
さらに、フロントウインドウも短く切り詰められ、ウインドウ・ディフレクター代わりのアクリル製フロントスクリーンに置き換えられた。これによって車両重量は100kgほどの軽量化を実現しており、その車重は700kg台。
パワートレイン本体には手は加えられていないが(マフラーのみDスポーツ製のものを装着)、動力性能は大幅に向上しているというワケだ。
考えてみれば1950年代のレーシングカーも、実用車のエンジンを軽量なボディに搭載していたケースは少なくなく、低コストでファンな走りを実現する近道は軽量化ということを暗に物語っているといえるだろう。
散りばめられたこだわりポイント
電動アクティブトップを取り去り、切り詰められたフロントウインドウに注目が集まるコペン・スパイダーVer.ではあるが、それ以外の部分にもこだわりが満載だ。
電動アクティブトップを取り払ったトランクは、フェアリングの付いたものに置き換えられており、純正のロールバーとのマッチングも美しい。この状態ではトランクスペースが使えないようにも思えるが、コペンのトランクには電動でルーフを格納するとき用にリア側にもヒンジがついているため、それを活用すれば広いトランクスペースも有効に活用できるということだ(この車両には未実装)。
また、Aピラーもノーマルをカットしただけではなく、短くなったフロントスクリーンにあわせて新設されたもの。前後のバンパーも全体のテーマにあわせて形状まで見直されているのである。
そして不要となったワイパーを取り去り、ワイパーカウル部分もボディ同色とすることで、スポーツカーらしいロングノーズ的な視覚効果を狙っている。
赤と黒のモノトーンで徹底的にまとめられたカラーもこだわりのひとつで、エクステリアではグリル&エンブレム、ドアハンドル、ミラー、リアガーニッシュをブラックアウトし、ヘッドライトのインナーまでもブラックで塗装されている。
そしてボディカラーの赤は、純正の「マタドール・レッドパール」ではなく、ロッキーやタフトに設定されている「コンパーノ・レッド」に変更されている点も注目したいところ。
内装ではセンターコンソールやインパネ、インナードアハンドルなどのシルバー加飾もブラックアウトし、一部にはアルカンターラを貼付。ステアリングも設定のあるモモ(MOMO)製のものではなく、握りの細い純正をあえてチョイスし、こちらもアルカンターラを巻き直している。
レーシングカーとしては必要不可欠なフルバケットシートも、本来であればイエローステッチやカラーのロゴが入るDスポーツ製のものをベースにシルバーステッチに変更するなど、オーナーでなければ気づかないような小技も満載されているのである。
こだわりが詰まったダイハツのカスタマイズカー。同社のサイトでは動画も多くアップされているので、そういった点に注目しながら再チェックしてみても面白いかもしれない。
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