■ウーバー イーツ盛況! 事業基盤のライドシェアリングの状況は?
街中で「Uber Eats(ウーバー イーツ)」のロゴがついた大きな箱のようなリュックサックを背負って走る自転車の姿をよく見かけます。
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以前はデリバリーをおこなっていなかったレストランなど各種料理店にとって、新規顧客を獲得するために力強い助っ人です。
とくに、2020年4月7日、安倍総理が東京をはじめとする7都府県に対して緊急事態宣言を発出し、その後全国一斉に外出自粛が要請されてから、ウーバー イーツなどのフードデリバリーの需要がさらに高まっています。
ウーバー イーツは日本で2016年9月からサービスを開始。これまで東京、神奈川、埼玉、千葉、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡など大都市圏で展開していましたが、2020年3月以降では岡山市、福山市、松山市、高松市、仙台市、久留米市、北九州市、金沢市、富山市など中規模都市に一気に拡大しています。
例えば、金沢市ではレストランパートナーは50社以上あり、配達手数料は350円です。
需要の高まりは、ウーバー イーツの「配達パートナー」と呼とばれる、デリバリー担当者の収入も引き上げました。業務体系は、デリバリー担当者は自分で用意した自転車や原付バイクを使う、配達個数に応じた週払いの歩合制です。
一方、ウーバー イーツの本体である、アメリカのウーバー・テクノロジーズ社(以下、ウーバー)は2020年4月16日の時点で、すでに公表していた2020年業績見通しを19億ドルから22億ドル(約2014億円から2332億円)引き下げると発表しました。
日本での状況を見る限り、ウーバーの業績は好調な推移しているイメージなのですが、なぜ本国アメリカでは業績が悪化しているのでしょうか。
理由は、ウーバーの経営内容を見るとはっきり分かります。
直近での2019年10月から12月期決算では、売上高は40億6900万ドル(約4313億円)。このうち、ウーバー イーツは約18%にとどまります。額としては7億3400万ドル(約778億円)で、前年同期比68%増と世界的に需要が伸びていることが分かります。
一方、ウーバーの事業主体は、個人所有車を使った乗り合いサービスのライドシェアリングです。売上高のうち、75%を占めます。こちらも前年同月比27%増と順調でした。
事業全体としては、事業拡大における継続的な投資をおこなうため、7四半期で連続の赤字となっていましたが、2017年にウーバー創業者から経営を引き継いだ新CEOによる、一部事業を売却決定など、業務改善を進め黒字化に向けた道筋が少しずつ見えてきたところでした。
しかし、2020年に入り、中国、欧州、そしてアメリカと新型コロナウイルス感染が世界規模で広がり、各地で都市封鎖(ロックダウン)や非常事態宣言による外出自粛となり、人々の移動の機会が大幅に奪われました。
ライドシェアリング事業が一気に減少し、その反動のように、いわゆる”巣ごもり需要”の拡大でウーバー イーツの需要が大きく伸びたといえます。
ライドシェアリング需要大幅減はウーバーの経営を圧迫し、報道では5月上旬に全従業員の14%にあたる3700人の解雇が決まったといいます。
■日本にライドシェアリングはマッチするのか?
日本では、今回の緊急事態宣言によって、タイムズなどのカーシェアや、ホンダ系ディーラーによる1か月単位のサブスク、そしてトヨタ系ディーラーによる法人向け廉価リースなど、クルマの利活用に関するさまざまなサービスが生まれたり、需要が増えたりしています。
そうしたなか、日本で経済活動が再開された後、ウーバー イーツや、タクシーの支援サービスであるウーバータクシーに加えて、ライドシェアリングが使える時代が来るのでしょうか。
日本の法律では、個人や企業が所有する白いナンバープレート(軽は黄色)の乗用車を使った有料の乗車サービスは、”白タク”と呼ばれる違法行為です。
そのうえで、公共交通が少ない地域や福祉目的として、「自家用有償旅客運送」という、旅客に関する法律における特例があります。
筆者(桃田健史)は実際に、福井県永平寺町が2019年11月から試走を始めた、国と地域企業が支援する、自家用有償運送を活用したオンデマンド交通「近助タクシー」施策に関わっています。
今回の新型コロナウイルス感染拡大という有事によって、地域の交通や生活の根本的な課題が浮き彫りになったと感じています。
それぞれの町や地域の将来に向けて、本当に何が必要なのか、日本に欧米型ライドシェアリングが必要なのかも含めて、改めてゼロベースで考えるべきだと思います。
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