空力や路面に関する単位の意味を解説
スーパースポーツなどカウル付きのバイクでは、よく「Cd値」という言葉が使われます。空気抵抗を表す数値なのですが、実際これはバイクにどんな影響を与えるのでしょうか?
また空力関係ではほかに「ダウンフォース」といった言葉や、レースなどでは路面について「ミュー」という言葉も使われます。ここでは、そういったバイクにまつわる単位の意味と、市販車の場合にはどんな効果があるのかなどを紹介します。
【画像ギャラリー5点】空力パーツの効果やメーカー空洞実験のイメージを見る
燃費や加速性能の指標になる「Cd値」
Cd値は、バイクだけでなく、クルマなどでもよく使われます。特に、最近はハイブリッド車や電気自動車などのエコカー。これらのクルマのカタログには、燃費性能につながる指標の一つとして「Cd値」を表示しているものがあります。
Cd値とは空気抵抗係数のことで、空気抵抗の大きさはCd値に車体を正面から見た場合の面積(前面投影面積)をかけて求められます。さらに、走行するバイクやクルマにかかる実際の空気抵抗は、スピードの二乗に比例して大きくなっていきます。
そして、エンジン、車重などそのほかのスペックが同じならば、Cd値が小さいほど走行時の空気抵抗は少ないので、理論上は燃費や加速性能に優れていることになるのです。
特に、燃費性能を重視するエコカーでは、空気抵抗の低さが燃費の良さを示す目安となるため、最近はカタログなどで使われているのですね。
バイクメーカーでも、特にカウル付きの高性能バイクなどでは、空力性能を高めるために、走行時の空気の働きをシミュレートできる風洞施設でテストを繰り返し、Cd値が小さい新しいバイクの開発を進めています。
また、空気抵抗を少なくするためには、一般的に空気の流れがスムーズな流線型のデザインにすることが多いようです。新幹線や戦闘機など、スピードが出る乗り物の先端が丸い形状をしているのもそのためです。
バイクも同じで、メカニズムがむき出しでライダーの姿勢も起きる感じのネイキッドタイプよりは、車体がすっぽり包み込まれたフルカウルのスポーツタイプのほうがCd値は小さくなります。バイクレースのライダーたちが、直線で体を前傾させてカウルの中に入るのは、できるだけ空気抵抗を減らすためなのです。
空気抵抗は市販車ではどこまで意識されている?
レースなど特殊な環境下ではCd値の重要性は無視できませんが、わたしたちの普段のバイクライフでCd値という指標がどのぐらい影響があるのでしょうか。
例えば、バイクに風防(ウインドシールド)を装着すると、まさにライダーのための盾となって体にぶち当たってくる風をウソのように軽減してくれます。
特にスクーターなどに装着する直立した大型のものは効果絶大です。冬の冷たい風はもちろん、日中は暖かくくても、夕方に日が沈んでくると急に寒くなる春の時期にはありがたい装備ですね。
半面、走行中の風をあれほどしっかり防いでくれる風防は、かなりバイクのCd値を大きくし、空気抵抗を増やしているように思えてなりません。そうなると、燃費を悪化させたり、心地よいスピードの伸びを殺してしまったりすることにならないかと、ついつい考えてしまうところです。
しかし、個人的な体験ですが、市街地など一般道を走るスピードなら、風防の装着による変化は「ほとんどない」といえるでしょう。風防を付けたことで、満タンで走行できる距離は変わりませんでしたし、加速も普段乗りで不満が残るような物足りなさを感じさせることもありませんでした。
むしろ燃費についてはタイヤの空気圧をこまめにチェックしたり、急加速などを行わないエコ運転を心がけたりするほうが、Cd値の変化よりもはるかに実用上の効果はあると思います。
ダウンフォースは車体を路面に押しつける空気抵抗
空力性能を考える上で、Cd値と切り離せない関係にあるのが「Cl値」です。Cl値は垂直方向に働く揚力係数を表します。高速道路でスピードが出てくると、車体を上方向に浮き上げる揚力(リフト)が発生します。リフトは走行を不安定にしますし、車体がフワフワして心許ない感じがするので運転者も不安を覚えます。
そこで、Cl値を増大させ、リフトを抑えるための空気抵抗として「ダウンフォース」を得る方法があります。ただしCI値が増えるとCd値は犠牲になるため、両方のバランスを取ることが重要になります。
二輪レース最高峰のMotoGPでは、最近のマシンにダウンフォースを得るためにウイングレットと呼ばれる空力パーツが登場しています。
ダウンフォースを発生させることで空気抵抗は大きくなりますが(Cd値が大きくなる)、車体を下方向にしっかり押し付けることで、タイヤのグリップ力を高め、路面に吸い付くようなコーナーリングを可能としています。
そして、最近は市販のバイクでもレース参戦を前提にした1000ccクラスのスーパースポーツなどにこのウイングレット付きが増えてきています。
これらのマシンは、市販車でもサーキット走行も考慮して作られていますので、ストレートや高速コーナーなどでタイヤのグリップ力向上が主な目的でしょう。見た目もカッコイイですしね。
ミューは路面の滑りやすさを表す
また、タイヤのグリップ力と言えば、ダウンフォースだけでなく、路面の摩擦係数「ミュー」(ギリシャ文字で表記されることが多い)も大きく関係しています。「摩擦」ということは、つまり路面が滑りやすいか、滑りにくいかの目安になる単位なのです。
雨が降った後など、路面がぬれている時は「この道路、ツルっと転びそうで怖いなあ……」と、ヒヤヒヤしますよね。そんな時は、まさに路面のミューが小さくなっている状態といえます。
一般的に舗装道路のミューは0.8前後とされています。これが濡れていると0.6~0.4、雪道になると0.5~0.2、凍結した道路では0.2~0.1にまで小さくなってしまいます。
ちなみに、マンホールのふたなどの鋼板は乾いている状態では0.8~0.4ですが、濡れると0.5~0.2と、雪道と同じようなミューになってしまいますので、雨天時などは特に注意が必要です。
レポート●紺野陽平 編集●平塚直樹
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
ついにその瞬間がやってきた!!!!! シビックベースの70年代風GTカー[ミツオカM55]が限定100台800万円で販売!!!!! 即売必至か?
「すごい多重事故…」 関越道で「トラックなど3台が衝突」発生! 2車線が一時通行規制で「通過時間70分」の大渋滞 圏央道も混雑
“45年ぶり”マツダ「サバンナGT」復活!? まさかの「オープン仕様」&斬新“レトロ顔”がサイコー!ワイドボディも魅力の「RXカブリオレ」とは?
トヨタの「高級スポーティミニバン」がスゴい! 「走りが楽しい」反響多数!? 王道「アルファード」と異なる「個性」に注目! ヴェルは何が違う?
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
レクサス新型「小型スポーツカー」がスゴい! “テンロクターボ”×初の6速MTを搭載! 最小SUV「LBX MORIZO RR」どんなモデル?
不要or必要? やっちゃったらおじさん認定!? 「古い」「ダサい」といわれがちな [時代遅れ]な運転法
【悲報】マジかよ!? ホンダ二輪スポンサーのレプソルが2024年限りで契約解消へ
マジか…? 新制度導入で「車検」通らないかも!? 10月から始まった“新たな車検”何が変わった? 覚えておきたい「OBD検査」の正体とは
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?