LEDバルブが売られていないベンリイC92用ヘッドライト
ホンダ「ベンリイC92」の電装系を12V化するのに伴い、交換が必須となる灯火類の目玉となるヘッドライトですが、ベンリイC92のソケットに合うP15D-30のLEDバルブは市販されていません。
不動車のホンダ「ベンリイC92」をエンジンのプロがレストア!? まずはベンリイC92のエンジン特性から時代背景を徹底解説【vol.1】
その為、口金が小さめのLEDバルブにアダプタを作り、取り付ければ良いと考えていました。
しかし昨年の9月に設備保全担当として入社したS氏が、自身の愛車であるホンダ「ビート」(4輪)のヘッドライトを自作のバルブでLED化した物が、直視できないほど眩しいのを見て「これだ!」と思い、同様にベンリイC92用ヘッドライトのLED化を依頼したところ、予想外に手間のかかる作業が待っていました。
まずはベンリイC92から外したヘッドライトバルブの、フィラメント位置に近い発光面を持つLEDバルブを購入。使用するのはLED基板と駆動回路だけなので、アルミ端材から削り出した灯体に、このLED基板を取り付けます。
元々ヒートシンクは先端部分に付いていましたが、レンズとの距離がないため切り落とし、口金部内に入っている駆動回路の配線を延長して、バルブ部と分離する事で発生する熱量と取り付けスペースの削減を目指します。
そして、はずしたアルミベース部をベンリイC92の反射板開口部の内径にハマる外形で削り出したスリーブに取り付けた上で光軸確認をして、LED基板の位置を決定。
LED基板の上下位置が決まったら、所定の高さに取り付け位置をオフセットした上で、後端にM22のネジ切りした灯体と後端に取付けるM22メスネジのヒートシンク、前後に調節可能な口金アダプタの3点の部品をアルミから削り出します。
自分の腕ではM22のネジ切を旋盤で行う自信がなかったので、当社で一番若手のホープである阿部技師に、技能オリンピック2位という輝かしい旋盤の腕を振るっていただきました。
灯体のLED基板取り付け部を加工するのは、再登場のジグボーラー担当 森田技師。先端を3mm厚にして、4か所にM2のネジ穴を開け、配線を通す穴開けまでを依頼します。
ヒートシンクのフィン切削と口金アダプタは自分で
LEDヘッドライトバルブにおいて、ヒートシンクの役割は耐久性の面で重要ではありますが、フィンの加工精度的にはヨレヨレでも問題ない為、自分の出番。ボール盤で開けた穴を、リューターで繋げて完成。
口金アダプタは純正ホルダーにネジ留めする形状で、イモネジをゆるめれば前後の調整が可能です。
購入したLEDバルブは駆動部一体構造のものですが、熱対策と取り付けスペース削減の観点から、駆動回路をBOXに収めて別体にした為、全く原形をとどめていません。
正直言って自分的にはそんなに急がなくても良かったのですが、思い立ったら即実行というS氏の性格上、後回しは許されず、他の作業は先延ばしして優先的に進める事になりました。
仕上がりには大満足ですが、こんなに大変な作業が必要だと分かっていたら、依頼はしなかったなんて本人に言ったら怒られてしまいます(笑)
次回からは、外装周りのモディファイを紹介予定。こういった古いバイクに関しては、メーカー出荷時のオリジナルにこそ価値があると考える方も多いとは思いますが、自分はこのバイクに跨った時に、その腰高で中途半端なポジションに対する違和感と、その姿を傍から見た際の自身のカッコ悪さがどうにも我慢ならず、乗るならカスタム!と心は決まっております。
次回は、まずシートの変更から進めますので、どうぞご期待ください。
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みんなのコメント
6V→12Vは同じホンダのカブやモンキーでも多く行われているので、そのノウハウも参考になりそうですね。
外装はアフターパーツも多かったからデッドストックが見つかるかも。
値段は高いでしょうけど(笑)