元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは、マクラーレンのランド・ノリスがF1第9戦カナダGPで“スポーツマンシップに反する行為”を行ったとしてペナルティを科されたことを受けて、F1のルールブックは“整理と合理化”が必要だと考えている。
ノリスはマクラーレンがダブルピットストップを行えるよう、セーフティカー導入中にチームメイトのオスカー・ピアストリとの差をつけるために減速したとして、5秒のタイムペナルティを科せられた。この作戦でウイリアムズのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)の進路が妨害されたと考えたスチュワードは難色を示したのだ。この5秒ペナルティによって、ノリスは9位から13位に順位を落とし、ポイント圏外に脱落した。
ノリス、“スポーツマンシップに反する行為”によるペナルティに困惑「何も間違ったことはしていない」/F1第9戦
スチュワードらは、不必要に減速して走行した場合のルールを適用するのではなく、FIAの国際競技規則の「競技における公正の原則の侵害、スポーツマンシップに反する行動、またはスポーツ倫理に反する方法で競技結果に影響を与える試み」のセクションを引き合いに出した。
「スチュワードはルールを厳格に守っていた」とブランドルは『Sky』のレース後のコラムに書いた。
「こうしたことを理解するために私はよく彼らと話をするが、彼らは常にデータによって理論的解釈をしており、衝動的に判断が下されることはない。しかし他の審判システムと同様に、人間によって裁定が行われる」
「レース中、ランド・ノリスはダブルピットストップに備えてセーフティカー導入中に減速し、チームメイトのオスカー・ピアストリとの差を広げたために、5秒ペナルティが科された」
「ドライバーは自分のピットストップを早める際、後続のドライバー全員に不利益を与えてはならないという明確なルールがあるのは確かだ。しかしスチュワードは、彼を罰するのに“非スポーツ的行為”に関する包括的ルールを適用しなければならなかった。ここ数年はチームがダブルピットストップを行う前に、セーフティカーの後ろで少しの差を設けるのは普通であり、受け入れられている行為だと、ライバルチームのマネージャーたちでさえ語っていた。それはランドの確固たる見解でもある」
「もちろん他のスポーツと同じように、ルールと厳格な審判が必要だ。そうでなければすぐに混乱と無秩序が生まれてしまう。しかし絶え間なく進化する複雑なルールは、整理と合理化を行うところに来ていると思わずにはいられない」
マクラーレンF1のチーム代表を務めるアンドレア・ステラも、同様にスチュワードの判断に驚かされたという。特に裁定のなかに“スポーツマンシップに反する行為”という言葉が含まれていたためだ。ステラは、ノリスのケースはダブルピットストップに関して新たな前例を作ろうという試みだったとみなした。
「実際、我々はレース後すぐにスチュワードと話をした。セーフティカーやバーチャルセーフティカーの下でのこうした速度は、違反に相当するはずはないと考えたからだ」とステラは説明した。
「スチュワードが(ダブルピットストップに関しての)新たな基準の設定を望んでいる可能性がある。我々は彼らと話し合いを続けている」
「我々はスチュワードの立場を理解している。セーフティカー導入中にしなければならないドライビング方法の新たな解釈を確立するために、彼らが前例を作りたいと考えているかもしれないと理解している」
「そういうアプローチならばそれでいい。しかし新たな先例を作るのに我々が巻き込まれているのは少々残念だ」
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