この記事をまとめると
■セルフ方式のガソリンスタンドが普及して久しい
ガソリンは「つねに満タン」or「こまめに少なめ給油」クルマのコンディションや燃費にいいのはドッチ!?
■便利である反面、燃料の入れ間違いなどのトラブルが起こることも
■その際クルマに起こる症状と対処法を解説する
便利なセルフスタンドだが時に重大なトラブルも!
自動車を取り巻く環境で、ここ10年間で大きく変わったものに、スタンドの係員ではなく自分自身で給油を行うセルフ方式によるガソリンスタンドの普及が挙げられる。ヨーロッパやアメリカでは以前から普及していた方式だが、日本でもついにこの方式になるのか、と少々嬉しく思った記憶がある。有人スタンドの特徴は、給油中の時間を利用して、窓拭きサービスや灰皿の掃除、場合によってはエンジンルーム内の点検などを行ってくれる点だが、逆にこれらのサービスを煩わしく感じていた人も少なからずいたはずだ。
その点、自分自身で給油を行うセルフ方式のスタンドは、マイペースで給油行うことができ、煩わしく声をかけられることもなく、支払い作業を済ませたらさっさと立ち去れる気楽さがあって、個人的には好きである。しかし、給油作業を自分自身の判断で行うセルフ方式は、時としてとんでもないミスを誘発する場合がある。もっとも深刻なケースが、燃料の種別間違いだ。ガソリン車に軽油、ディーゼル車にガソリンを給油するケースだ。
現在のセルフスタンドは、給油開始の段階で燃料種別を選択する方式となっているため、選択画面でレギュラーガソリンを指定してから誤って軽油の給油ノズルを操作しても、燃料は出てこないシステムとなっている。問題なのは、ふだんガソリン車に乗っている人がレンタカーなどでたまたまディーゼルエンジン車を使った場合で、給油の際、無意識にガソリンを選択してしまい、ディーゼル車にガソリンを給油してしまったようなミスだ。
かつて、ヨーロッパでは、車両の給油口形状をガソリンとディーゼルで変え、また給油ノズルの形状をガソリンと軽油で変えることで、ガソリン車に軽油ノズル、ディーゼル車にガソリンノズルが入らないようにして給油ミスを防ぐ措置が講じられていた。なるほど、これなら入れ間違いを防ぐことができる、と興味を引かれた覚えがある。
ガソリン車への軽油の補給は混合比によって症状が変わる
さて、ガソリン車に軽油を補給してしまった場合、いったいどういうことになるのだろうか。調べてみたら、本来の燃料(ガソリン)と誤った燃料(軽油)の混合比で、現れる症状に違いが生じてくるようだ。ほんのわずか、10%程度の誤給油なら、機関の運転にはほとんど問題がないことが報告されている。もちろん、大きく負荷をかける運転は避けるべきだが、通常の運転なら問題なく走れ、燃料を使い切ったところで正規の燃料を補給すれば問題はないようだが、すべては自己責任。厳密な意味で言えば、整備工場で燃料の抜き取り作業を依頼し、本来の燃料に入れ直して運転するのが正解だ。
これが30%程度の混合比になると、機関のレスポンスが緩慢になったことが感じられ、明らかに正規の燃料(ガソリン)とは異なる反応になるという。ただ、この状態でも負荷の変動を大きくとらなければ、なんとか巡航走行は可能だという。タンクの残存燃料を使い切るまで慎重に走る方法もあるが、やはり整備工場に持ち込み、タンク内の燃料をすべて抜き取る作業を依頼するのが正しい対処方法だ。
これが混合比50%になると、エンジンがやっと回っている状態にまで症状は悪化し、文句なく自走をためらう状態に陥るという。文句なく、整備工場に直行、それもセフティローダーなど車載車に乗せて搬送する事態となるので要注意だ。
逆に、ディーゼル車にガソリンを給油してしまった場合はどうなるか。試験データが見当たらず、混合比の違いによってどうなるかについては断定的なことを言えないのだが、症例としては、給油後、一見正常にエンジンが始動しても、次第に不安定な回転となって出力が低下、振動も発生して排出ガスに白煙が混じり、ついには機関停止という状態に陥ってしまうという。この場合、燃料供給系、つまり噴射ポンプや噴射ノズルを傷め、修理に相当な出費を強いられることになる。
間違った種別の燃料補給に気がついたら、その段階で運転を中止。スタンドで気がついたらエンジンを始動させず、整備工場や整備資格を持つ人の手で、いったん燃料タンクを空にしてから、再度正規の燃料を補給すれば問題なく走れるようになる。セルフスタンドでの燃料補給は、習慣化して無意識のうちに作業を進めがちだが、燃料種別を選択する段階で「このクルマはガソリンが正解」あるいは「軽油が正解」といった確認作業を習慣化すれば、誤給油を避けることができるだろう。
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