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欧州大陸を駆け抜けろ 最高のピックアップトラック 9選 趣味と実用の両立

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欧州大陸を駆け抜けろ 最高のピックアップトラック 9選 趣味と実用の両立

欧州で注目のピックアップトラック

ピックアップトラックといえば、北米でよく売れているクルマというイメージがあるが、欧州でも商用車または趣味車として根強い人気を誇り、大小さまざまな車種が販売されている。

【画像】魅力いっぱいのピックアップトラック【英国で販売される最新モデルを写真で見る】 全70枚

数年前には英国で爆発的な人気を博し、SUVの代替車になるかと思われた。現代のピックアップトラックは、昔のような実務的な労働力としてではなく、快適でゴージャスな仕様を選ぶこともでき、運転体験はこれまで以上に通常のSUVに近づいている。

英国では商用車として分類されるため、支払う道路税は年間290ポンド(約4万9000円)と比較的安く、業務にのみ使用する場合は付加価値税の還付請求が可能だ。さらに、企業の社用車として登録されているものを従業員が個人的に使用する場合も、乗用車ではなくバンの現物給付(BIK)規定に該当するため、ほとんどのクルマよりも安くなる。

ところが、こうした税制優遇や車両の性能向上にもかかわらず、2020年には英国のピックアップ市場は32.7%縮小してしまった。その主な要因はロックダウンだが、小型商用車(LCV)全体の縮小は20%にとどまった。ここ数年で、メルセデス・ベンツXクラスや日産ナバラなど、数車種が販売停止となり、後継車種の目処も立っていない。2022年内にはフォード・レンジャーとフォルクスワーゲン・アマロックの新型が発売される予定だが、記事執筆時点で英国で購入できるのは4車種のみ。

選択肢は減ったが、まだまだ優れた車種が残っているし、新モデルの登場にも期待できる。ピックアップトラックは、小綺麗なSUVに載せたくない、大きくて汚い重い荷物をすべて運んでくれるし、ほとんどのバンが車輪を空転させてしまう泥だらけの建築現場で立ち往生することもないだろう。

1. トヨタ・ハイラックス

ハイラックスは、60年代後半からトヨタの商用車として世界各地で販売されており、多用途性と信頼性で高い評価を得ている。

車内は快適で、仕上げの質も高く、ライバル車よりも使い心地が良い。また、乗り心地とハンドリングも洗練されており、狭い道でも象みたく立ち往生しないサイズとなっている。

2019年のマイナーチェンジでは、バンパーデザインを変更し、装備の一部を見直したほか、アクティブセーフティシステムを強化。翌年には再びシャシー、スタイリング、インテリアを改良し、乗り心地とハンドリングをもう一段階向上させ、「無敵」を名乗る最上位モデル「インヴィンシブルX」の装備を追加した。

英国では現在、パワートレインとして最高出力150psの2.4L直4ディーゼルと最高出力204psの2.8L直4ディーゼルが用意されている。後者も現実世界で十分な性能を持っているが、ライバルの多気筒モデルと比べると面白みに欠ける。

だが、実用性に不足はない。重い荷物を運ぶ場合も、その余裕ある積載量は多くのライバルを上回っている。ダブルキャブ仕様が一般的だが、2.4Lモデルではシングルキャブ仕様とエクステンドキャブ仕様が選べる。JBLプレミアムサウンドシステムをはじめ、さまざまな装備や機能を求めるなら、ダブルキャブしかないだろう。

2. フォード・レンジャー

11月に新型が発売されるフォード・レンジャーだが、現行モデルは英国におけるベストセラー・ピックアップトラックとして名を馳せている。強力なエンジン、乗用車に近いハンドリング、そしてお手頃な価格がレンジャーの武器だ。フォードが世界的に展開する「小型」トラックである。

現行モデルは、米国に次ぐ一大ピックアップトラック市場であるオーストラリアで設計され、2010年にデビュー。世界6か所の工場で生産され、欧州市場向けの車両は南アフリカから供給されていた。

ハイラックスと同様に、レンジャーにもシングルキャブ、エクステンドキャブ、ダブルキャブの各仕様が揃い、当然ながら乗員スペースが広くなるにつれて荷台が短くなる。エンジンは、最高出力213psの2.0L直4ターボディーゼルで、MT/ATが選択できる。新型では、V6ガソリンも採用される予定だ。

インテリアは比較的質素だが、快適なドライビングポジション、洗練されたメカニカル、優れたオンロード性能、調和のとれた車重バランスとボディコントロールにより、直感的なドライバビリティを実現している。

そして、オフロード仕様のサスペンションとワイルドなボディキットを持つ、狂暴な高性能モデル「レンジャー・ラプター」がある。値段は高いし、積載量が1トンに満たないので商用車としては使えないが、個人所有の趣味車としては非常に魅力的。ダカール・ラリーのステージのような環境でドライブを楽しみたいものだ。

新型の開発において、フォードはフォルクスワーゲンと提携し、プラットフォームと技術を共有している。そのため、最近発表された新型フォルクスワーゲン・アマロックとは兄弟車になる。

3. いすゞDマックス

いすゞが英国で販売しているはDマックスだけなので、一般的なドライバーには馴染みの薄いブランドだ。しかし、Dマックスは長年ピックアップトラック市場の静かな主役であり、最近も徹底的にリフレッシュされたばかりだ。

メルセデス・ベンツXクラスなどの競合車が販売終了となる中、いすゞは市場シェアを伸ばそうとしている。現在、Dマックスには必要最低限の機能のみを与えられた仕様と、最新のインフォテインメント・システムやデジタルメーター、上質な内装を備えたライフスタイル志向の仕様がある。シングルキャブとダブルキャブが用意されているが、エクステンデッドキャブはない。

最新モデルは、ピックアップトラックでは珍しくユーロNCAPの安全評価で5つ星(最高得点)を獲得したほか、オンロードでの走行マナーも良く、強力な製品となっている。ラダーフレームを採用しているため、非常に頑丈で、オフロードでの走行性能も抜群。

ライバルに遅れをとっているのは、パワートレインだ。1.9Lディーゼルは、前より静かになったとはいえ、最高出力162psと依然として低調である。6速ATでも6速MTでも、0-100km/h加速に13秒近くかかる。ただ、ハイラックスより安い価格設定が購入を後押ししてくれるかもしれない。

4. サンヨン・ムッソ

いすゞよりもさらにリベラル的なピックアップトラックを求めるなら、韓国ブランドのサンヨン(双龍)が販売するムッソはどうだろうか。ムッソという車名は、韓国では「サイ」を意味する言葉。価値観さえ合えば、立派なパフォーマンスとハンドリング、牽引力、ユーティリティを享受できるだろう。

2.2Lディーゼルは最高出力181psを発揮し、比較的パワフルな部類に入る。最大3.5トンのトレーラーを牽引する能力は、ライバルと比べても遜色ない。標準仕様では荷台が短く、少し特殊な外観だが、大人の乗員には十分な大きさのシートを4つ備えている。また、ピックアップトラックとしては全長がかなり短く、街中でも駐車スペースに苦労することは少ない。

荷台を延長したムッソLWBライノも販売されているが、こちらはロングホイールベースではなく、リアのオーバーハングが長くなっただけだ(車名の「LWB」とは一体……?)。

コーナーリングでは優れたグリップとロール制御を見せ、軽い小径ステアリングホイールはびしっとセンターが決まっている。ロードノイズや風切り音も少ない。乗り心地は許容範囲に収まる程度だが、エンジンは低速から活気があり、巡航時はとても静かである。

イネオス・グレナディア

ここからは、近日発売予定の注目モデルを紹介する。

近年、欧州のピックアップトラック市場が縮小していることから、真新しいモデルが欲しければ我慢するか、輸入しなければならないだろう。だが、面白いことに、この市場に挑戦しようという新興メーカーも出てきている。世界屈指の化学会社であり、ロンドンに本拠を構えるイネオスは最近、自動車部門を立ち上げ、新型SUVの発売を宣言した。

グレナディアと名付けられたこのモデルは、先代のランドローバー・ディフェンダーによく似たレトロなデザインが特徴で、嬉しいことにピックアップトラック仕様も用意されている。かつてのディフェンダー・ピックアップを彷彿とさせる、古風なモデルだ。ラダーフレーム、ライブアクスル、防水インテリアを備えたタフなオフロード車となる見込み。最大積載量1000kg、牽引能力3500kg、ルーフ積載量150kgを実現するという。

フォルクスワーゲン・アマロック

先述のように、新型フォルクスワーゲン・アマロックはフォード・レンジャーと多くの部品を共有する。欧州では2022年末に発売される予定。角張ったデザインを採用しており、乗用車的だった先代よりもタフな印象を受ける。ラダーフレームは商用バンのT6由来のものを使用しているが、フォルクスワーゲンによるとオンロードでの快適性を高めているという。インテリアはレンジャーと共通だが、独自の素材とステアリングホイール、シートデザイン、スイッチ類を追加している。

フォード・レンジャー

2022年11月に発売予定の新型フォード・レンジャー。フォルクスワーゲンの開発協力も得て、先代よりシャープで大人っぽい走りができるようになったはずだ。また、今回初めてプラグインハイブリッド車が導入され、高性能のラプターモデルも最高出力288psのツインターボV6ガソリンを搭載して再登場。

これまで同様、シングルキャブとダブルキャブが選択可能で、インテリアはフォードの最新世代インフォテインメント・システム「SYNC4」が採用されたこともあり、高級感が増している。

ジープ・グラディエーター

英国で購入できるどのピックアップトラックも気に入らない場合は、輸入に頼らざるを得ない。おそらく最も入手しやすいのは、ジープ・グラディエーターだろう。ベースなるラングラーは、英国でも販売されている。

グラディエーターはフォード・レンジャーとほぼ同じサイズだが、商用車というより趣味車と見るべきだろう。つまり、ライバルは標準仕様のレンジャーやトヨタ・ハイラックスではなく、レンジャー・ラプターだ。ジェットスキーで山頂を目指したり、四輪バイクでビーチを走ったり、そんな楽しいアドベンチャーが主な用途である。ダッジ・ラムのリアアクスルを搭載しているが、積載量は620kgにとどまり、牽引力も2721kgと控えめだ。

フレームはなんとラングラーから780mmも延長され、そのうち490mmはホイールベース、残りはリアのオーバーハングに使われている。このサイズゆえ、ラングラーほどオフロードを走れるわけではないが、18.4度のブレークオーバーアングルと25度のデパーチャーアングル、そしてオプションで用意された本格オフロードタイヤのおかげで、必要以上に遠くまで行けるクルマであることには変わりはない。

英国のある輸入業者は、グラディエーターを6万2000ポンド(約1060万円)で販売すると言っているが、在庫があるのは7万1000ポンド(約1200万円)から。この金額では、よほど欲しくないと買えないだろう。

フォードF150ライトニングおよびF150ラプター

北米のベストセラー車、フォードF150の新たなEV仕様は海外でも注目されている。F150は、米国生まれ米国育ちのピックアップトラックだが、一回の充電で最大480km走行可能な「F150ライトニング」は、アメ車の新時代到来を告げるモデルと言える。

F150ライトニングは全幅2430mm(ミラーを含む)とワイドなので、英国にはまだうまくフィットしないが、かつてのV8エンジンを搭載したモデルよりは、社会的に受け入れられやすいかもしれない。

米国での販売価格は3万9974ドル(約580万円)からで、ポンド換算ではフィアット500eと同等になる。しかし、EVであるがゆえに、いくつか妥協しなければならない点がある。例えば、航続距離を稼ぐために必要なバッテリーの重量が大きいため、最大積載量は900kg程度にとどまる。一方、牽引力は最大4500kgと折り紙付きだ。

積載量はやや物足りないが、双方向充電など、便利な機能を数多く備えている。最大9.6kWのポータブル発電機として使うことができるのだ。建設現場でもキャンプでも役立つだろう。

もちろん、高性能モデルのラプターもある。欧州ではレンジャー・ラプターが存在するが、F150の前では「簡易版ラプター」と言わざるをえない。現代のF150ラプターには、騒々しいV8エンジンはもう搭載されていないが、最高出力450psを発揮するツインターボV6エコブーストは、ラリーレイドに十分だろう。ぶっ飛んだパフォーマンスだが、見事である。

リビアンR1T

才能あるエンジニアとジープ出身のデザイナーによる少数精鋭のグループが立ち上げた自動車ビジネスは、「第2のテスラ」とも呼ばれるほど注目を集めている。リビアンは、世界初の「アドベンチャーEV」を作るために、ゼロから独自のEV用プラットフォームを設計した。同社CEOのRJ・スカリンジによれば、新型R1Tはランドローバーとテスラを足して2で割ったようなものになりそうだ。

納車開始時期はこれまで何度も延期されてきたが、米国ではすでに生産が始まっている(リコールも経験済み)。欧州に生産拠点を構える計画もあるが、それは主にバンの生産に使われるだろう。

R1Tは、米国基準ではコンパクトな部類に入るダブルキャブのピックアップトラックなので、欧州でも十分に通用するはずだ。航続距離は135kWhのバッテリーで480km、180kWhで640kmとされる。

リビアンによると、最大5トン(レンジローバー約2台分)の牽引が可能だという。しかし、作業用トラックというよりもアドベンチャービークルとして位置づけられており、最大積載量は800kg程度と控えめ。

価格は6万7500ドル(約990万円)から。フォードF150ライトニングと比較すると高く感じるかもしれないが、4基のモーターを搭載して最高出力710ps、最大トルク110kg-m超、0-97km/h加速3秒という圧倒的な性能を考えると、十分お得な価格といえるだろう。モーターが4つあるということは、四輪トルクベクタリングが可能ということであり、その結果、戦車のように超信地旋回(その場で向きを変えること)ができる。宴会の隠し芸にぴったりだ。

テスラ・サイバートラック

リビアンR1Tの登場から遅れること2年。EVのパイオニアであるテスラは、2023年から(やっと)サイバートラックの生産を開始するようだ。コンセプトカーのようなデザインに「防弾性能」を謳うサイバートラックは、最上級モデルで最大3基の電気モーターを搭載し、800km以上の航続距離を実現。6トン以上の牽引力と、フォードF150と同サイズの荷台を備えているという。

テスラのイーロン・マスクCEOは、サイバートラックの発表から1週間以内に約20万人から予約を受けたと主張している。最上位モデルの価格は5万ポンド(約850万円)から6万ポンド(約1000万円)と予想されるが、後輪駆動のエントリーモデルも用意されている。いずれにせよ、これ以上「延期」という言葉は聞きたくないが。

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みんなのコメント

2件
  • トヨタ・タンドラは国内で正式に販売されてないが逆輸入されて走っている。やっぱり日本ではちょっと大きすぎると思う。正式な国内仕様があって販売されているハイラックスはタンドラよりは小さいがかなり大きい。
  • ピックアップトラックって日本じゃファッションで乗る以外使い道ないんだけど、海外じゃどう使ってるんだ?

    トヨタのハイラックスなんて宅急便のトラックよりデカいのに、車中泊にすら使えないからね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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