はじめに
欧州製コンパクトカーで買うべきは何か。英国市場でいえば、円熟したパッケージを求めるならフォルクスワーゲン・ポロ、とにかく走り重視ならフォード・フィエスタだろう。
しかし、必ずしもそれが絶対ではない。非力ながらも楽しく個性溢れるハッチバックを送り出して来たルノーが、それらのベンチマークを脅かす存在となったことも少なくはない。
それは販売面でも言えることだ。まもなく新型が登場すると知られていたにもかかわらず、昨年の英国でのセールスで、クリオは先に名を挙げたライバルたちを凌いだのだ。
肥満気味ながらも愛すべき初代クリオは、1990年にパリ・モーターショーで登場。そこから数えて、今回の新型は5代目に当たる。新型プラットフォームを得て、ツインモーターのEV仕様や、このセグメントでは類のないハンズフリー走行を可能にするレベル2自動運転への対応も行う予定だ。
今や、欧州における販売台数の半数近くはクロスオーバー車が占めている。背の低いスタンダードなハッチバックは劣勢だ。そんな中、ルノーはなじみあるデザインを踏襲しながらも、このクリオを全面的に刷新したのである。
結果、新型クリオは実に魅力的なクルマに生まれ変わった。インテリアの質感も大きく引き上げられている。マルチメディア方面のテクノロジーもまた充実し、それでいて価格はポロよりずっと安く、フィエスタさえも下回る。もちろん、クロスオーバー系モデルより低価格だ。
しかし、オートカー的に注目したい要素はほかにある。新型は、先代モデルより軽量化されながら、剛性は高まっているのだ。ここまで挙げてきた利点に加え、賞賛すべき走りも身につけているのだとすれば、このクラスの王座奪取は確実。はたして、新チャンピオンは誕生するのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
2009年、ローレンス・ヴァン・デン・アッカーがマツダからルノーへ移籍し、デザインディレクターに就任。彼はミドシップのコンセプトカーであるデジールで、その名を世界中のクルマ好きに印象付けた。
このオランダ人デザイナーのドラマティックな作品は、デザイン的に大成功だったといえる。なにしろ、そのパワフルなルックスのファクターが、10年後にデビューしたクリオにさえ盛り込まれているのだから。
その顔は、メガーヌにも見られるモチーフを持つLEDヘッドライトと、よりアグレッシブなエアインテークを組み合わせるが、基本的にはデジールにインスパイアされた4代目のコンセプトを踏襲。そうなった理由は、説明するまでもないだろう。
とはいえ、ディテールに目を向けると新しさに満ちている。ルノー/日産/三菱アライアンスが共同開発した新規プラットフォームのCMF-Bを採用したのに合わせ、もちろんボディパネルは全面刷新。そのCMF-B、実用化されるのはこのクリオが最初となる。先述したように、電動化や自動運転への対応が想定されたコンポーネンツだ。2020年にはハイブリッド仕様のEテック・クリオが投入される予定で、さらにPHVの導入も検討されている。
ホワイトボディは先代より22kg軽量化され、それは完成車の重量にも反映されている。寸法では、全長が14mm、ホイールベースが6mm、それぞれ先代より短い。全高も6mm低くなったが、肥大化が進んでいる昨今では、それくらいの縮小に問題はない。むしろ、あるべきサイズに戻ろうとする動きだといえる。
ちなみに、次期RSバージョンはピュアEVになるとも、メガーヌRS用1.8Lターボのデチューン版を積むともいわれている。いずれにせよ、きわめて魅力的なホットハッチになることは期待していいはずだ。
現状でラインナップされているエンジンは、そのボディと同じくダウンサイジングされたもの。初心者ドライバーなどをターゲットにしたエントリーモデル向けに用意したのは、72psの1.0L自然吸気。そのターボ版となるのが、今回テストする100psの1.0TCe。最上位機種は、131psの1.3TCeだ。
このTCeと銘打たれたガソリンターボユニットは、提携先のダイムラーと共同開発したもの。ダイムラーではメルセデス・ベンツAクラス、ルノーではダチア・ダスターにも搭載している。
トランスミッションは、1.3TCeにのみゲトラグ製のDCTを組み合わせる。1.0Lガソリンは5速、85psのディーゼルは6速のMTが標準装備で、1.0TCeにはCVTがオプション設定される。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。コスト面の制約が大きいこのクラスでは、常識的なセットアップといえる。とはいえ、ベーシックなハッチバックで乗り心地とハンドリングのみごとなコンビネーションを実現するのは、伝統的にフランス車メーカーの十八番だ。
内装 ★★★★★★★★☆☆
新型クリオのエクステリアにおける、ルノーのアプローチを定義づけるのは保守主義だ。しかしそれが、スタイリッシュに生まれ変わったインテリアにはみられない。全面改修としても、かなり広範囲な変更がなされたといえる。そして、その結果は実に前向きだ。
純粋に見た目のレベルでいえば、新型クリオのインテリアは、このクラスにおいてモダンで見栄えがいいほうの部類だ。その成功の中核をなすのは、デザインの絶対的にミニマルなアプローチだ。とくに、ダッシュボード上部を横切る送風口のクリーンな水平基調のラインと、タブレット風のディスプレイとわずかなスイッチ類を配するまったく新しいセンタークラスターには、先代では望み得なかった熟成と洗練が感じられる。
上位機種では、その新たなデザイン言語がさらに引き立つ。それは自由度の増した色使いや、ドアやダッシュボード上面をはじめとして多用されるソフトなプラスティック素材によるものだ。
逆に、テスト車のアイコニック仕様は生真面目な雰囲気が漂うモノクロームな環境だが、フランス車の定石どおり、それでもフィエスタやヴォグゾール・コルサなどよりはスタイリッシュだ。
とはいえ、実用面では物足りなさもある。通常時391Lという荷室容量はクラス最大級だが、その分、後席スペースに妥協のあとが見られるのだ。レッグルーム620mm、ヘッドルーム910mmは、ポロの690mm/950mmに見劣りする。なお、そちらの荷室は351Lのキャパシティを持つ。どちらが快適に過ごせるかは明らかだ。平均的な体格であっても、大人ならクリオの後席のほうが窮屈に感じるだろう。
とはいえ、このルノーの決断は、ユーザー層を考えると正解なのかもしれない。ヤングファミリーには、フル4シーターより、子どもが乗るのに十分なリアシートと、乳母車や多くの荷物を詰めるラゲッジルームを備えるクルマのほうが歓迎されがちだ。まさに、そうしたひとびとが、コンパクトカー購買層の多数を占めているではないか。
走り ★★★★★★★★☆☆
機能面に見られるこれまでにない洗練性は、乗ってみても感じ取れる。3気筒ターボが旧式の898ccユニットではなく新型の999ccユニットとなったのは、ドライな技術的変化と思える。しかし、それによって、洗練性やドライバビリティ、経済性に関しても新たな高みに達することを可能にしたのも事実だ。
パフォーマンスそのものは、傑出したものではない。新型エンジンを積んでさえ、ガソリンモデルの中間機種は、昨年テストした95psの1.0L版ポロより0-97km/h加速で1秒ほど遅れる。それでも、11.6秒というタイムは立派。2017年の日産マイクラIG-Tよりは0.5秒ほど速く、30-70km/hの追い越し加速ではほぼ1秒の差をつけている。
主観的に見れば、褒めるべき点はたくさんある。このエンジン、始動時もアイドリングでも静かで、3気筒としてはマナーがいい。スロットルペダルは調整具合がよく、フィーリングは直感的で、スムースな走りに貢献する。
走り出しても、うれしくなるくらい落ち着きを失わないこの1.0Lターボは、旧式の0.9Lユニットよりスロットルレスポンスに優れる。2000~3500rpmで高まるトルクは極めて有効で、高速道路の速度域で高いギアを用いたときの走りも実に堂々たるもの。25年前のBセグメントでは考えられなかった話だ。
しかし、これが最新の小排気量ターボの実力だ。驚くには値しないかもしれない。いっぽうでエンジン回転が上がると、活発さや回りたがる感じでフォードのエコブーストの最小版となる3気筒には一歩譲る。とはいえクリオも、5000rpmを超えるようなときに元気な走りを嫌うわけではない。
このエンジンの寛容なドライバビリティは、MTが5速しかないことのデメリットをまず感じさせない。シフトのクオリティという点でも、手応えが適度にあり、変速操作のタッチは明確。クラッチペダルも同じく扱いやすく、すぐに馴染める。
使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆
インフォテインメント
トップグレードには9.3インチの縦型タッチ式ディスプレイをインフォテインメントシステムに用いるが、今回テストした中間グレードのアイコニックには7.0インチ画面のイージーリンクを採用する。
先代からソフトウェアは更新されたが、グラフィック的には平凡な部類。そうはいっても、地図は自分の現在位置を容易に認識できる詳細さがある。ディスプレイそのものは、おおむね読みやすい。
カスタマイズ性も有効なもので、ホーム画面に好みのショートカットボタンを選んで表示できる。ナビとしてはシンプルだが、レスポンスのよさは言い添えておくべきレベルだ。
標準装備の内容はまずまず。ナビゲーションとデジタルラジオ、Bluetooth接続機能、リアの駐車センサーが込みで、Android AutoとApple CarPlayにも対応する。
20Wの4スピーカーオーディオは、秀逸とまではいかないが、満足できる音質。ロードノイズや風切り音を打ち消す程度のボリュームでも、音に歪みはなかった。
燈火類
アイコニック仕様には、オートLEDヘッドライトが標準装備。ロービームでは、ビームの広がりは良好。ハイビームは必要十分。
ステアリングとペダル
ペダルの間隔は、おおむね良好といったところ。ただし、ブレーキとスロットルのペダル面にやや高低差があるので、ヒールアンドトウが少しやりづらい。ただし、決定的な問題というほどではなかった。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
新型クリオは、クラシックなフランスの小型車で定評ある運動性とはやや異なるキャラクターの持ち主だ。もちろん、現代のコンパクトカーにおいて、細いタイヤのシトロエン2CVどころか、プジョー205のようなクルマさえ見つけることができないのは、初めに断っておかなければならないだろう。
それでも、先代クリオは、ステアリングの軽さやハンドリングの名状しがたい繊細さ、乗り心地のしなやかさを兼ね備え、えもいわれぬフランス車らしい走りのフィーリングを醸し出していた。それも、スプリングが硬く、骨太な感じのクルマが多いなかにあっては、という条件付きだが。
新型は、明らかに方向性が異なる。先代より広く見え、敏捷性も上だと思えるが、サスペンションのトラベルは短くなり、路面変化への対応が能率的になった。フラットさとレスポンスのよさはみごとなもので、連続するコーナーを活発に駆け抜けてみると、正確さと安定性を感じられる。ドライバーへの訴求度は、いまなお抜きん出ているフィエスタにこそ敵わないが、それを除けばこのクラスにほぼ敵はない。
ルノーの電動パワーステアリングは、先代より重く、切りはじめの効きがクイックに調整された。低速域ではオーバーアシスト気味だが、速度が上がるとフィールと安心感が増し、高速コーナーでの位置決めにも自信が持てるようになる。そして、外輪に激しく負荷をかけている時にもグリップレベルの残り具合を試すこともできる。
サスペンションはロールだけでなく、ピッチやダイブも抑えており、過激な加速やブレーキングの際にもスタビリティは高い。追い越し車線を走るペースでも、ハンドリングの安定感は安楽な領域にある。
多くの点で、このクリオは大きなクルマ並みの走りの質を備えたスモールカーとなった。古き佳きフランス車のデリカシーや楽しみの要素は幾分失ったものの、日頃乗っていてよりわかりやすい利点を多く手に入れた。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
先代である4代目クリオの独特な、角の丸められた滑らかな乗り心地と楽しいハンドリングのブレンドは、2013年のテストで我々を魅了した。しかし、今回の5代目では、より熟成味のある走りを目指した結果、かつての緩やかな乗り味がやや損なわれた印象だ。
硬くなったスプリングとダンパー、そして強化されたスタビライザーは、より張り詰めた縦方向のボディコントロールを狙ったものだ。ところが、アンジュレーションのある道で、プライマリーライドがやや威勢のいいものとなり、速度を上げると、破綻しやすいとさえ感じるところまで近づく。しかも、低速でもぎこちないところを感じさせる。
きつめの轍や突起では、必要以上にそれを感じさせる傾向がある。それでも、そうでないときにはセカンダリーライドを快適な範囲に収めてくれる、ダンパーチューンの洗練度を持ち合わせてはいる。
ドイツ勢などとの差別化ポイントでもある、特有のソフトな「フランス車らしさ」が目減りしたことを残念に思うという声もあるだろう。たしかにこのクリオは、自信を持って走らせるという点でポロあたりの水準には及ばない。しかし、もっともきつい突き上げにに対しては、いまなおほとんどのライバルより快適さを保てる。
静粛性は、完全無欠とはいかないがすばらしい。5速しかないにもかかわらず、1.0Lエンジンは高速道路の速度域でも静かで疲れ知らず。風切り音もよく抑えられているが、ロードノイズのみはときとして平穏を乱すことがある。
113km/hクルーズでは、67dBを計測した。これは昨年テストしたポロの1.0Lより1dB高いが、2017年のフィエスタ1.0Lよりは3dB低い数値だ。
購入と維持 ★★★★★★★★★☆
1.0TCeを積むアイコニック仕様の装備レベルは人気グレードになると予想されるが、それには十分な根拠がある。まず、CO2排出量は99g/kmで、これはディーゼルモデルにきわめて近い数値だ。燃費も、19.2km/Lという公称値にこそ届かないものの、テスト時の平均は16.3km/Lと悪くない。ツーリング燃費にいたっては20.1km/Lをマークしている。
アイコニック仕様は7.0インチのタッチ式ディスプレイを用いた、ルノーの最新世代であるイージーリンク・インフォテインメントシステムを装備。ただし、9.3インチモデルや、7.0インチTFT画面のメーターパネルは設定されない。
また、駐車センサーや、各部にレザーを用いたトリムも備える。フォルクスワーゲン・ゴルフをはじめとする1クラス上のハッチバックから乗り換えても、淋しさを覚えることはなさそうだ。
これが130RSラインへランクアップすると、驚異的な走りのフィエスタSTよりは高いが、フォルクスワーゲンやプジョー、フォードの直接的な競合モデルよりはやや低い価格で手に入れられる。
スペック
レイアウト
第5世代のクリオは、ルノーの新しいCMF-Bプラットフォームがベース。これを用いた最初のモデルだ。
1.0L直3ガソリンターボはフロントに横置きされ、5速MTを介して前輪を駆動する。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。車両重量の実測値は1138kgで、前後重量配分は61:39だ。
エンジン
駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列3気筒999cc、ガソリンターボ
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ72.7×81.3mm
圧縮比:9.8:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:100ps/5000-5500rpm
最大トルク:16.3kg-m/2750-3500rpm
許容回転数:6200rpm
馬力荷重比:85ps/t
トルク荷重比:13.8kg-m/t
エンジン比出力:100ps/L
ボディ/シャシー
全長:4050mm
ホイールベース:2583mm
オーバーハング(前):830mm
オーバーハング(後):637mm
全幅(ミラー含む):2000mm
全幅(両ドア開き):3580mm
全高:1440mm
全高:(リアゲート開き):1980mm
足元長さ(前):最大1080mm
足元長さ(後):最大620mm
座面~天井(前):最大1000mm
座面~天井(後):最大910mm
積載容量:391-1069L
構造:スティールモノコック
車両重量:1178kg(公称値)/1138kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前/後:7.0Jx16
タイヤ前/後:195/55R16 87H
ブリヂストン・トランザT005
スペアタイヤ:フルサイズ(200ポンド[約2.7万円])
変速機
形式:5速MT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:-/7.9
2速:-/14.3
3速:-/22.2
4速:-/31.4
5速:-/42.6
最終減速比:-
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:16.3km/L
ツーリング:20.4km/L
動力性能計測時:9.9km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):14.7km/L
中速(郊外):20.4km/L
高速(高速道路):22.2km/L
超高速:18.5km/L
混合:19.2km/L
燃料タンク容量:42L
現実的な航続距離:684km
CO2排出量:99g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング
後:トーションビーム/コイルスプリング
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:10.4m
ブレーキ
前:280mm通気冷却式ディスク
後:260mmドラム
静粛性
アイドリング:41dB
全開時:73dB(3速)
48km/h走行時:60dB
80km/h走行時:65dB
113km/h走行時:67dB
安全装備
AEBS/LKA/LDW/ESC
Euro N CAP:5つ星
乗員保護性能:成人98%/子供87%
歩行者保護性能:81%
安全補助装置性能:73%
発進加速
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h):4.1秒
0-40(64):6.2秒
0-50(80):8.3秒
0-60(97):11.6秒
0-70(113):15.0秒
0-80(129):19.5秒
0-90(145):26.9秒
0-100(161):36.0秒
0-402m発進加速:18.8秒(到達速度:125.7km/h)
0-1000m発進加速:33.8秒(到達速度:157.4km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・ポロ1.0 TSI 95
テスト条件:湿潤路面/気温4℃
0-30マイル/時(48km/h):3.5秒
0-40(64):5.5秒
0-50(80):7.8秒
0-60(97):10.7秒
0-70(113):14.6秒
0-80(129):19.4秒
0-90(145):25.7秒
0-100(161):34.4秒
0-402m発進加速:18.0秒(到達速度:124.7km/h)
0-1000m発進加速:32.9秒(到達速度:159.6km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):3.7秒(2速)/6.0秒(3速)/11.1秒(4速)
30-50(48-80):3.9秒(2速)/5.9秒(3速)/9.6秒(4速)/18.3秒(5速)
40-60(64-97):6.1秒(3速)/9.4秒(4速)/16.9秒(5速)
50-70(80-113):6.5秒(3速)/9.5秒(4速)/16.9秒(5速)
60-80(97-129):8.0秒(3速)/10.5秒(4速)/18.3秒(5速)
70-90(113-145):12.2秒(4速)
80-100(129-161):15.7秒(4速)
各ギアの最高速
1速:48.3km/h(6200rpm)
2速:88.5km/h(6200rpm)
3速:138.4km/h(6200rpm)
4速(公称値):186.7km/h(5949rpm)
5速(公称値):186.7km/h(4377rpm)
5速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2642rpm/3019rpm
制動距離
テスト条件:湿潤路面/気温8℃
30-0マイル/時(48km/h):10.9m
50-0マイル/時(64km/h):30.5m
70-0マイル/時(80km/h):60.4m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.36秒
ライバルの制動距離フォルクスワーゲン・ポロ1.0 TSI 95
テスト条件:湿潤路面/気温4℃
30-0マイル/時(48km/h):8.2m
50-0マイル/時(64km/h):23.8m
70-0マイル/時(80km/h):47.8m
結論 ★★★★★★★★★☆
第5世代のクリオが、シックなルックスと、乗り心地とハンドリングの巧みなブレンドだけを誇るなら、クリオの、そしてフランス製コンパクトカーのファンが期待するようなクルマにすぎないものとなっただろう。ところが、商業的に成功するための装備の充実ぶりは、これまでのルノーとは比較にならないほどだ。
他ブランドが見て見ぬふりをしている中で、ルノーはこのクラスの新たなトレンドをしっかりと見据えてきた。質感や洗練性、ドライバビリティやハンドリングのバランスを、より大きなクルマのレベルまで引き上げようと努めてきたのだ。その成果は、後発のより洗練され物欲をそそるライバル車に対する高い競争力として表れた。
残念だったのは、その過程で、フランス車らしいしなやかな乗り心地が損なわれたこと。そして、キャビンの広さでクラスベストに肩を並べられなかったことだ。それでもクリオは、これまで加わることさえできなかったこともあるクラスの上位争いに名を連ねることとなった。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース5代目クリオは、基本的エルゴノミクスがフランス車らしからぬものだ。低いシート、テレスコピック調整幅の大きいアップライトなステアリングホイール、適切な配置のペダルとシフトレバー。これは新型プラットフォームの恩恵か、大幅なデザイン見直しの成果か。いずれにせよ、心から歓迎すべき進展だ。
サイモン・デイヴィスルノーに乗りなれていると、奇妙な場所に設置されたクルーズコントロールのスイッチを探すのに慣れてしまう。ところがこのクリオは、それがあるべき場所、ステアリングホイール上に配置されている。
オプション追加のアドバイス
中間グレードのアイコニックは、現実的にコンパクトカーに求められるものをすべて備える。ただし、150ポンド(約2万円)のインテリアカラーパックは追加したい。各300ポンド(約4万円)のコンビニエンスパックとパーキングパックもほしいところだ。
改善してほしいポイント
・前席シートには、エントリーモデルでも高さ調整を標準装備してほしい。
・乗り心地をさらにチューニングして、しなやかさを高めてほしい。
・内装のパッケージングをさらに詰めてほしい。ライバルの多くは、もっと広いキャビンスペースを備えている。
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