電動バイクによって争われる世界選手権『FIM Enel MotoE World Cup』(以下、MotoE)の2022年シーズンは、前戦オーストリア大会での結果により、タイトル争いはドミニケ・エガーター選手とエリック・グラナド選手の2人にしぼられ、シーズン最終戦となるサンマリノ大会を迎えました。ランキングトップのエガーター選手とグラナド選手との差は17.5ポイント。エガーター選手有利の状況です。
金曜日に行なわれた予選では、エガーター選手がポールポジションを獲得。グラナド選手は2列目4番グリッドからのスタートとなりました。
【電動バイクレースMotoE第6戦サンマリノ大会】大久保光選手、最終戦を終え目標のランキング6位を獲得
翌土曜日の夕方、8周で争われるレース1がスタート。グラナド選手は3周目にトップに立つも次の周にはエガーター選手にかわされ2番手に後退。エガーター選手を追っていたグラナド選手でしたが、14コーナーでまさかの転倒を喫しました。
エガーター選手はその後、マッティア・カサデイ選手に優勝を譲ったものの、2位でフィニッシュ。3位はマッテオ・フェラーリ選手が獲得しています。大久保光選手は11番手からスタートし、7位でゴールしました。転倒したグラナド選手はマシンを起こしてレースに復帰したものの、17位でフィニッシュ。
この結果、エガーター選手がMotoE参戦3年目にして、2022年シーズンのMotoEチャンピオンに輝きました。
エガーター選手は今季の全6戦12レース、表彰台を逃したのは2回(タイトル獲得後のサンマリノ大会レース2含む)のみ。つまり10度の表彰台を獲得しており、圧倒的な安定感を武器にチャンピオンシップをリードしてきました。
チャンピオン会見の中でエガーター選手は「表彰台に上がったのもナイスだったけど、とくに、やっとタイトルを獲得できたことが良かったね」と喜びを語っています。
「(MotoE参戦)1年目はまあ、ちょっと不運だった。2年目は最終レースまでタイトルを争った。2020年はランキング3位で、2年目はランキング2位。そして、今年はチャンピオンだ。大きなプレッシャーから解放されて、明日(のレース2)はスペシャルなレースになるだろう。フィニッシュラインを通過したとき、すごいプレッシャーから解放された。MotoEは最後まで何が起こるかわからないから。チャンピオン争いで勝つには表彰台に上がらないといけなかったんだ」
一方、転倒により最後のレース2までタイトル争いを持ち込むことができなかったグラナド選手。対面での取材はできなかったものの、メールでの質問に回答してくれました。
レース前、グリッドで見たグラナド選手は、どこかナーバスになっているようでした。そこで「グリッドではいつもと違う心境だったのか?」と質問したところ、答えは「グリッドではいつもと同じ気持ちだったよ」というものでした。
「僕にとっては、プッシュして全力を尽くす、いつものレースだった。すごく良いスタートを切って、2周目にトップに立った。それから集団を大きくしようとしたんだ。僕としては、多くのライダーが僕とドミ(ドミニケ・エガーター選手)の間にいた方が都合がよかったからね。でもそのあとドミが僕をオーバーテイクして、僕は転倒した。残念ながらタイトルを失うことになってしまった。どうして転倒したのかわからないんだ。でもこれがレースだ。受け入れて前に進まなきゃいけない」
日曜日のレース2では、序盤にカサデイ選手、エガーター選手、グラナド選手がトップ集団を形成していましたが、終盤に追い付いたフェラーリ選手が最終ラップでトップに立ち、そのまま優勝を飾りました。2位はカサデイ選手、3位はグラナド選手でした。大久保選手は9位でレースを終えています。
■FIMエネルMotoEワールドカップとは……
2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップ。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催され、2022年シーズンは各2レースで、フィンランド大会が中止となったために全6戦12レースが行なわれた。
バイクはイタリアの電動バイクメーカー『Energica Motor Company(エネルジカ・モーター・カンパニー)』の電動レーサー『Ego Corsa(エゴ・コルサ)』のワンメイク、タイヤはミシュラン。2022年シーズンのMotoEには11チーム18名のライダーが参戦し、唯一の日本人ライダー、大久保光選手は2年目のシーズンを迎えている。
2022年はサンマリノ&リビエラ・ディ・リミニ大会をもってシーズンを終え、2023年からはドゥカティがMotoEにマシン供給を開始する。
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みんなのコメント
今季で撤退するスズキが何故テストに?そして何故エガーターに?と言う疑問が浮かんだ人も多かったと思います。
つまりはスズキはmotoGPから撤退し、数年後、motoEにてグランプリの舞台に舞い戻る可能性が高いのだと思います。
市販車の電動化が急がれていますから、ジャパンメーカーのどこよりも先に電動マシンで実戦に参加するためだと感じます。
ラストシーズンのGSX-RRは、エンジンの評価ぎ高いですけど、ハンドリングやトラクション性能でタイヤに優しいシャーシを武器にしてきましたから、電動化されて重量増となっても充分に応用が効くと思います。