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著者 :高岡 ケン
憧れのマシンに黒山の人だかり!DTM第2戦ラウジッツリンク観戦記
去る2022年5月5日、ドイツのシュツットガルトにあるメルセデス・ベンツ博物館にて、とあるオークションが開催され、歴史を塗り替える事件が起きた。
この日、一台のクルマがオークション史上最高額で落札された。
以前、オークション史上最高額で取引されていたフェラーリ 250GTOの76億円を100億円以上も上回る「184億円」という記録を叩き出した。
世界中の自動車ファンを震撼させたクルマの名は「メルセデス・ベンツ 300SLRウーレンハウトクーペ」だ。
今日はこの伝説の名車について解説していく。
■1.300SLRウーレンハウトクーペとは?
1955年にオープンタイプ7台、クーペタイプ2台、計9台しか生産されなかったモデルだ。元々、希少価値がとても高く幻のクルマといっていいだろう。
300SLRとは、3.0リッターエンジンのSport, Leicht, Rennwagen (スポーツ、軽量、レーシングカー)の頭文字を取り、ダイムラーベンツ社によって開発されたレーシング用のスーパーカーである。
さらに、当時の開発責任者であるドイツ人のルドルフ・ウーレンハウトの名を冠して誕生したのがこのクルマだ。
■2.1950年代の自動車業界では何が起きていたのか?
1945年に第二次世界大戦が終わりを迎え、ヨーロッパの経済成長に合わせ、ダイムラーベンツ社では富裕層向けのクルマを次々と発表していく。
カモメを彷彿させる跳ね上げ式のドアで有名な300SLガルウィングや、ル・マン24時間レースで優勝を果たした300SLRなど、現代でも絶大な人気を誇る名車が誕生した。
時を同じくして、世界の名だたる自動車メーカーも数々の名車を世に送り出していた。
フォルクスワーゲンが開発した世界初のミニバン「ワーゲンバス」、イギリスの軍用車として開発された「ランドローバー ディフェンダー」、長年根強いファンを囲い続ける「シボレー コルベット」、フィアットといえば間違いなくこのクルマ「フィアット 500」、さらに前述でも述べた過去オークション史上最高額を叩き出した「フェラーリ 250GTO」など。
まさに自動車戦国時代である。
■3.過去のオークションで最高額を叩き出したクルマ5選
第5位. フェラーリ 275 GTB【約29億円】
イタリアの自動車メーカーが手掛けたスポーツカー。
1967年式、総生産台数は約950台。
ル・マン24時間レースではGTクラスで優勝している。
第4位. フェラーリ 290 MM【約30億円】
同じくフェラーリが手掛けたスポーツカー。
1956年式、総生産台数は4台。
ミッレ・ミリアで優勝を果たした。
第3位. メルセデス・ベンツ W196【約32億円】
ダイムラーベンツ社が手掛けたレーシング用に開発された1台。
1954年式、開発責任者はあのルドルフ・ウーレンハウト。
レースで活躍していた2年間の間に14戦中11勝を果たし、2年連続ドライバーズチャンピオンを獲得した伝説のフォーミュラF1カー。
第2位. フェラーリ 335 S【約37億円】
同じくフェラーリが手掛けたスポーツカー。
1957年式、いずれも数々の世界選手権で活躍した伝説の名車。
噂によるとサッカー界の神様、メッシが落札したとか。
第1位. フェラーリ 250 GTO【約76億円】
いうまでもなく伝説の名車。
1962年式、世界選手権に参加するために開発されたグランドツーリングカー。
数々の世界大会で何度も優勝を果たし、55年間無事故という記録も持っている点から、オークション最高額での取引となった。
■4.メルセデス・ベンツが希少なクルマを出品した理由とは?
メルセデス・ベンツによると、博物館で展示しているクルマは定期的にオークション出品されているという。
その取引で得られた資金は、環境や化学などの分野で研究を行う学生たちの奨学金を提供する団体、メルセデス・ベンツ基金に寄付するそうだ。
■5.メルセデス・ベンツ博物館で300SLRが見られる?
実際に現地のメルセデス・ベンツ博物館に足を運んでみた。
メルセデス・ベンツ博物館は全部で7階建てとなっており、最上階から順番に観て回ると、一際大きな輝きを放つクルマを見つけた。
そう!それは世界に2台しか存在しないうちの1台。
メルセデス・ベンツ 300SLRウーレンハウトクーペだ。
今まで数々の名車を実際にこの目で見てきたが、こんなにも美しいフォルムで凄まじいオーラを放つクルマは初めてだった。
さすが世界一高価なクルマといったところだ。
現代のメルセデス・ベンツといえば、ヘッドライトは横長でショートノーズのフロントに平らなボンネットというフォルムをまとったモデルが多い。
しかし、このメルセデス・ベンツ 300SLRウーレンハウトクーペは、丸目のヘッドライトに超ロングノーズのフロント、加えてサイドからの2本出しマフラーがさらに迫力を感じさせる。まさに「The スーパーカー」の所以である。
百聞は一見にしかず。
このクルマの現存数は世界に2台、さらに実際にお目にかかれるのは博物館に展示してあるこの1台のみ。
あなたが実車を間近で観る機会に恵まれたなら、きっと感動を与えてくれるに違いない。
[ライター・撮影/高岡ケン]
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