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DS9 詳細データテスト じつにリラックスした乗り味 優れた質感 パフォーマンスと驚きは足りない

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DS9 詳細データテスト じつにリラックスした乗り味 優れた質感 パフォーマンスと驚きは足りない

はじめに

DSオートモビルが独立ブランドとなって、7年ほどの月日が流れた。まだ歴史は短いが、ハイエンドのコンパクトカーやファッション性の高いクロスオーバーハッチバック、車高を上げたデザイン重視のシューティングブレイク、高級SUVなどさまざまなジャンルに参入してきた。しかし、ひとびとが復興を期待するようなジャンルのモデルを投入することはなかった。そう、今までは。

【画像】写真で見るDS 9とライバル 全17枚

それは1955年に誕生したシトロエンの象徴的な一台、DS19へのリスペクトゆえだろう。フランスのプレミアムブランドたるDSの存在は、このクルマなしには考えられない。そんな彼らがついに、思い切って大型サルーンを発表した。それがDS 9だ。

長らく待たされたクルマではあるが、DSのモデル戦略的には2015年時点ですでに予定されていた。もちろん、ひとつにはフラッグシップとしての意味合いが大きい。DSが持ちうる先進技術と、到達しうる最高の魅力のシンボルとしての役目を担うものだ。

さらに重要性を高めているのが、これが中国で生産されてグローバルに販売される最初のDS車だという事実である。フランスの高級車ブランドの最上位モデルが中国の工場から世界へ送り出されるという事実に、フランスの保護貿易論者たちは驚くことだろう。憤慨さえするかもしれない。

当初、2019年4月に計画されていたモーターショーでの公開が、PSAとFCAの合併交渉の余波で延期されるも、その予定もまた世界的なパンデミックの影響で変更され、その後は昨年の半導体不足によりデリバリーが遅れている。

とはいえ、2021年4月に英国で発売された、この謎めいた個性的な高級セダンをついにテストする機会がやってきた。そのルックスと並んで興味深いいくつかのテクノロジーも、実際に試すことができる。その実力は、果たしていかなるものだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

DSのバッジを与えられたビッグサルーンとなれば、大きな期待をかけられるのはデザイン面だ。1955年から続くDSの歴史を受け継ぐに値する存在となるには、100年に一台の大胆さと、世界をリードするエレガンスや細部にまで至る洗練性だ。

たしかに、初代DSを生み出した自由な気風漂う戦後のほかに、そこまでオリジナリティのあるクルマが誕生する時代があるのかどうか、そこは議論の余地がある。では、この9は初代DSの後継者たりえるのか。非常に高い基準に照らすならば、そうとはいえないだろう。しかしわれわれとしては、その点はある程度大目に見たいところだ。

きわめて一般的なセダンのシルエットに、すでにステランティスのさまざまなモデルに採用されているパワートレインやテクノロジーを組み合わせているのだ。高名な始祖に比べれば、水準が下がるのはやむを得ない。その反面、中国市場が好む欧風高級サルーンを造ろうとしたという前提に立てば、9が目指すものも、そのルックスも、かなり普通になってしまったのがなぜか、理解できるはずだ。

それを踏まえれば、これが単にクロームを満載して着飾ったプジョー508ではないといえる。DSはステランティスのEMP2プラットフォームを延長し、ホイールベースは508よりほぼ80mm長くなった。全長は、BMW5シリーズにあと50mmといったところに達している。

後席スペースは、ラウンジのようだと宣伝されている。遮音性の高いラミネートガラスが用いられるだけでなく、DSがハードボンデッドと呼ぶシャシーで室内騒音を最小限に抑えるために必要な剛性アップを果たしている。

パワートレインは3種類用意される。エントリーモデルは224psの1.6Lガソリンターボで、このほかにCO2排出量が50g/kmを切るガソリンPHEVが2機種設定されている。電動化モデルのE-テンスは、いずれもICE単体モデルと同じ1.6Lピュアテックがベースで、後席下に配置される11.9kWhの駆動用バッテリーも共通だ。

今回テストしたE-テンス225は価格が低いほうのバリエーションで、駆動方式はFF。システム出力は227psで、エンジンと8速ATとの間に108psの永久磁石同期モーターをサンドイッチしている。よりパワフルなE-テンス4×4 360は、リアに115psのモーターを追加した4WDで、システム全体では364ps/53.1kg−mを発生する。

サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがマルチリンクで、コイルスプリングと一般的なスタビライザーでウェイトを支える。

また上位グレードには、アクティブスキャンサスペンションが装着される。通常のアダプティブダンピング技術に、前面カメラとパワフルな画像解析装置を組み合わせたこのシステムは、予想される入力に合わせてストラットをアジャストできるアクティブサスペンションとなっている。

テスト車は下位寄りのグレードだったが、このアクティブスキャンサスペンションが装着されていた。オプション価格は1000ポンド(約15.5万円)だ。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

伸びやかなエクステリアは、広々としたキャビンを予感させる。ところが、高級車レベルの広さを見出せる部分があるいっぽうで、それに満たない部分があるのもまた事実だ。

このクルマに乗り込んで、もっとも印象的な要素は広さではない。それより感心するのは、マテリアルのリッチさだ。その目的が、豪華な運転環境を生み出すことにあるのは明らかで、しかもそれは成果を上げている。

テスト車のパフォーマンスライン・プラスは、ドアトリムやダッシュボード、トランスミッショントンネルやシートにグレーのアルカンターラが張られ、たしかにトップレベルの高級感があると納得できる。ただし、耐候性や防汚性に疑問を呈するテスターもいたのだが。

さらなるスペシャル感がほしければ、オプションでそれを追加することもできる。インテリアにはデザインテーマを設けたオプションパッケージが用意され、いずれもアルカンターラのヘッドライニングやフルグレインのナッパレザーインテリア、後席のシートヒーターとマッサージ機能が含まれている。

標準仕様のままでも、際限なくオプションを追加しても、車格に見合った高品質感が見出せるだろう。ドアポケットは厚い内張りが施され、キーを入れておいても当たる音がうるさくないし、目を引くスイッチ類は感触もいい。

ところが、その質感がやや見劣りする部分もある。デザイン重視の送風口は薄っぺらい感触だし、BRMの時計は小学生の工作みたいだと言ったテスターもいたようなヴィジュアルだ。ただし、全体的に見れば素晴らしく魅力的で高価な感じがあり、多少のおかしなディテールくらいなら目をつぶれるはずだ。

ドライビングポジションはストレートで、比較的低い。目の前に広がるのは、フルデジタルの計器盤とインフォテインメントシステムだ。レッグルームは前後とも広いが、ヘッドルームは大人がゆったり過ごすにはタイト気味で、エルボー/ショルダールームはやや狭い。

前席では、ドライバーと同乗者のひじがちょくちょくぶつかってしまうだろう。アウディA6やBMW5シリーズでは、こういうことはないのだが。また後席は、3人が快適に過ごせる空間ではない。

積載スペースは、じつにワイドで奥行きもある。後席を倒せば容量はさらに拡大でき、小さな買い物袋を引っ掛けておける折り畳み式フックも備わる。ただし、リアパーセルシェルフの下に設置されたオーディオシステムのアンプによって、高さ方向の空間が占められているので、あまり大きなスーツケースやストレージボックスを積むのはためらわれる。

走り ★★★★★★★★☆☆

急速に発展しているPHEVセダンのカテゴリーには、出力やEV航続距離、公称燃費に大きな開きのあるさまざまなモデルが存在する。その中で今回の9は、突出したスペックを誇るものではない。

われわれが選んだこのカテゴリーのトップ5を見比べると、今回の9とそれほど変わらない金額で、2倍近いパワーと50%以上長いEV航続距離を持つ4WD車が手に入ることがわかる。しかしながら、このクルマのエンジンは、ラグジュアリーさに見合っている。ゆったり走りたいと思っているうちは、とくに心地いい。

現実的な場面で見せるパフォーマンスそのものは、主なデータが示すとおり普通だ。でも、はっきりいってそれはたいしたことではない。これは、ラグジュアリーさ優先のクルマだからだ。1月の雨が降る中でのテストでは、発進加速で電子制御トラクションコントロールになんら問題は起きなかった。

0−97km/h加速タイムは8.6秒で、ここ10年間ほどの売れ筋だった4気筒ディーゼルを積む上級セダンとたいして変わらない。

DSは明らかに、ドライブラインの静粛性や、エンジンのスタート&ストップ、変速や全体的な作動のスムースさを重視している。そしてその点では、ほとんどのケースでかなり洗練されている。

4気筒エンジンは常に静かに回るが、高回転も苦にしない。また発進は、電動モードであろうとなかろうと、洗練された雰囲気のクルマだと思わせてくれるくらいスムースだ。風雨激しい中で計測した65dBAという室内騒音は、もっと好条件下での同じ速度でフォルクスワーゲン・アルテオンeハイブリッドが64dBAだったことを考えると、上々の結果だと言える。

ハイブリッドパワートレインに多くを要求するほど、走りのなめらかさは目減りする。スロットル負荷が高まると、8速ATの変速にはわずかな遅れが出て、少々ガタつき、パワーデリバリーの中断が感じられるようになるのだ。

このトランスミッションのマニュアルモードはギアを固定できないので、パドルシフトで高いギアを選んでいても、スロットル開度が70%ほどを超えると、しばしば自動的にシフトダウンしてしまう。最大限まで自分でコントロールしたいと思っているなら、フラストレーションが溜まるところだ。

とはいえ、逆にこのギアボックスは、器用にシフトし、電動モードでもうまいあしらいをみせる。動力面はたいていの場合リニアで、ギアチェンジが感じられることはなく、80km/h程度までの交通の流れに乗るのには十分以上のパワーがいつでも引き出せる。

使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆

インフォテインメント

インフォテインメントシステムは、12.0インチのディスプレイと、トムトム製の3D ネットワークナビゲーションを標準装備。横長の大画面の下にはメニューのショートカットキーが使いやすく並び、タッチ操作時に指を安定させるために手を置ける小ぶりな棚が張り出している。

AppleとAndroidのスマートフォンミラーリング機能は標準装備で、いずれも有線接続式だ。

純正ナビは、入力も案内を追うのも十分に容易で、マップ表示は鮮明。しかし、エアコン関連の情報もここに表示されるので、地図表示は明らかに小さくなっている。

全体的な反応の遅れも感じられる。画面下の静電容量式ショートカットキーは、慎重な操作が必要になる。しかもレスポンスが遅いので、何度も押したりスワイプしたりしないと目的を遂げられないところがあり、必要以上に運転への集中力が削がれそうだ。

燈火類

アクティブLEDヘッドライトは標準装備で、どうやら市街地と郊外、高速道路で異なるモードが設定されているようだ。ロービームの光量はいい。対向車の防眩もうまくいっているようだ。

ステアリングとペダル

プレミアムセダンの中には右寄りのオフセットがきついものも多いが、このクルマはそれほどでもなく、脚が長くなくても運転しやすい。スロットルとブレーキのペダルの間隔もいい感じだ。

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

このクルマに特有のキャラクターを、見誤ることはむしろ難しい。中型セダンとしては、快適なクルージングを最優先し、スポーティさを二の次にするのは、いまどき珍しい。

かつて、フランスのクラシックな大型サルーンは、押し並べてそういう特性を備えていた。精神的なルーツに当たるクルマたちの中でも最高の部類は、少なくとも多少は華のあるハンドリングとドライバーを楽しませる走りに、なめらかな足取りを生むしなやかさをあわせ持ち、そのバランスに優れていた。

この新顔もまた、その流儀に沿った運動性をみせる。しかし今回のDSは、かなりのグリップレベルと、このクルマに期待されるよりもバラつきのないボディコントロールをこそ賞賛されるべきだ。

兄弟分といえるプジョー508と比べて、9はそのサイズを感じる。ステアリングホイールは大きく、ロックトウロックは3回転。ホイールベースが長いので、舵を切った際のシャシーのレスポンスもゆるい。

しかし同時に、シトロエンらしくスプリングの動き出しに自由な部分があり、路面のバンプやキャンバー、盛り上がりなどを自分の強みに変えてしまうような対応ぶりをみせる。コーナーや、ダンパーに負荷がかかっているような状況でも流れるように駆け抜けるのだ。それこそじつに巧みに、そして心動かされるように。

しかもそれは、高速スタビリティや垂直方向のボディコントロールを犠牲にすることがない。モダナイズされ、プレミアムブランド化したシトロエンC6のように、やわらかすぎてふわふわ動くものではないのだ。

コーナリング時のロールや上下動はよく抑えられている。良好な静粛性と、控えめながら確かな沈着ぶりをあわせ持つが、速度上昇や路面悪化に伴って先に低下するのは前者のほうだ。軽く無感覚なステアリングや、アンダーステア寄りで安定志向の限界ハンドリングゆえに、あまり飛ばす気にはならないが、速度を上げてもそこそこの走りをみせてくれる。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

機械面の洗練性と走行中の音や振動を遮断した静粛性は、どちらもこのクルマの明らかなセールスポイントだ。ほぼどんな路面でも心地よい穏やかさが保たれ、きつい突き上げも19インチホイールを履いているとは思えないほど和らげる。高速道路の速度域では、室内へと入り込む共振を減衰してくれる。

ただし、DSアクティブスキャンサスペンションの有効性には、それを発揮できる速度に上限があるように感じた。ゆったりしたペースを保っていれば、市街地でもカントリーロードでも、路面の凹凸を大小問わず穏やかに吸収し、快適性をほとんど損なわない。

魔法のじゅうたんとはいかないが、おそらくほとんどのオーナーは常に四輪がアクティブ制御されていることに気づかないだろう。しかし、その性能が最大限発揮されれば、素直で、乱されることなく、車高を一定に保つことができる。

ところが、走りがハードになってくると、もしくは走行モードをスポーツに切り替えると、ダンパーのソフトウェアのプライオリティが変わったかのように、突如としてドタバタと路面からの打撃音がしきりに入ってくるようになる。

しかもタイヤのコントロールはルーズになり、ボディコントロールやハンドリングの正確さ、操縦系へのフィードバックがいいほうに高まることはこれっぽっちもない。ここまで対照的だと、これはもう穏やかに走るためだけのクルマだと断言したくなる。

運転席は十分なサイズで快適だが、調整範囲はもっとほしかった。電動アジャストのランバーサポートは備わるが、座面の長さ調整はできない。

購入と維持 ★★★★★☆☆☆☆☆

CO2排出量が50g/kmを切るPHEVである9 E−テンス225は、税制面で優遇を受けられるものの、この手のクルマとしても安価なほうではなく、EV航続距離はライバルに肩を並べるほどではないのが難点だ。しかも、残価予想も芳しくないので、コストパフォーマンスがいいとは言いがたい。もちろん、このクルマを選ぶユーザーは、それ以外の価値を見出しているのだろうが。

現実的な燃費は、充電の頻度などに左右されるが、EV航続距離は長くないので、電動化による改善幅は限定的だ。テスト時は0~10℃くらいのさまざまな気温の中で走らせたが、フルチャージでもゼロエミッション走行が30kmを超えることはなかった。

じつをいうと、市街地と高速巡航にコースを限定して2度ほど試してみた際には、平均走行距離が32kmに達した。それでも、50km以上という公称値には遠く及ばないし、多くのライバルたちにも水を開けられている。ハイブリッド走行でのツーリング燃費は16km/Lに届かなかったが、4気筒PHEVセダンとしては平均的なスコアだ。

DC急速充電には対応していないが、今のところそれを使えるPHEVのほうが少数派だ。AC普通充電は7kWチャージャーを用いて、フルチャージまでおよそ90分かかる。

スペック

レイアウト

4気筒ガソリンターボはフロント横置きで、8速ATギアボックスとの間に108psの電気モーターを設置。駆動輪は前輪のみだ。

モーターを駆動する電力は、左リアフェンダーの重点ポートから補充し、11.9kWhのリチウムイオンバッテリーへ蓄えられる。前後重量配分の実測値は56:44だった。

エンジン

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列4気筒1598ccターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ-×-mm
圧縮比:10.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:180ps/-rpm
最大トルク:30.6kg-m/-rpm
エンジン許容回転数:6000rpm
ハイブリッドアシスト:ギアボックス内蔵・永久磁石同期モーター
モーター最高出力:108ps
モーター最大トルク:32.6kg-m
システム総合出力:227ps/6000rpm
システム総合トルク:36.8kg-m/3000rpm
馬力荷重比:124ps/t
トルク荷重比:20.0kg-m/t
エンジン比出力:113ps/L

ボディ/シャシー

全長:4934mm
ホイールベース:2895mm
オーバーハング(前):973mm
オーバーハング(後):1066mm

全幅(ミラー含む):2095mm
全幅(両ドア開き):3660mm

全高:1460mm
全高:(トランクリッド開き):1800mm

足元長さ(前席):最大1110mm
足元長さ(後席):840mm
座面~天井(前席):最大1010mm
座面~天井(後席):900mm

積載容量:510L

構造:スティールモノコック
車両重量:1839kg(公称値)/1886kg(実測値)
抗力係数:0.30
ホイール前・後:8.0Jx19
タイヤ前・後:235/45 ZR19 99Y
ミシュラン・パイロットスポーツ4
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:-/-
2速:-/-
3速:-/-
4速:-/-
5速:-/-
6速:-/- 
7速:-/-   
8速:-/-
最終減速比:-

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:14.0km/L
ツーリング:15.8km/L
動力性能計測時:5.0km/L
EV航続距離:32.2km

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:62.5~90.9km/L
EV航続距離:54.7km

燃料タンク容量:42L
駆動用バッテリー:11.9/9.6kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離:約621km
CO2排出量:33~35g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:3.0回転
最小回転直径:11.0m

ブレーキ

前:330mm通気冷却式ディスク
後:290mmディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト、EBD
ハンドブレーキ:電動、センターコンソール右側にスイッチ配置

静粛性

アイドリング:40dBA
全開時(4速):76dBA
48km/h走行時:61dBA
80km/h走行時:65dBA
113km/h走行時:68dBA

安全装備

ABS/ESC/EBD/HBA/LKA/HSA
Euro N CAP:テスト未実施
乗員保護性能:成人-%/子供-%
交通弱者保護性能:-%
安全補助装置性能:-%

発進加速

テスト条件:降雨/気温10℃
0-30マイル/時(48km/h):3.5秒
0-40(64):5.0秒
0-50(80):6.6秒
0-60(97):8.6秒
0-70(113):10.6秒
0-80(129):13.1秒
0-90(145):15.8秒
0-100(161):19.0秒
0-110(177):23.0秒
0-120(193):28.1秒
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:148.7km/h)
0-1000m発進加速:28.8秒(到達速度:195.2km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
フォルクスワーゲン・アルテオン 1.4 TSI eハイブリッド(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h):3.0秒
0-40(64):4.1秒
0-50(80):5.4秒
0-60(97):7.1秒
0-70(113):9.0秒
0-80(129):11.4秒
0-90(145):14.3秒
0-100(161):18.2秒
0-110(177):23.3秒
0-120(193):31.1秒
0-402m発進加速:15.5秒(到達速度:151.1km/h)
0-1000m発進加速:28.1秒(到達速度:183.5km/h)

キックダウン加速

20-40mph(32-64km/h):2.7秒

30-50(48-80):3.2秒

40-60(64-97):3.6秒

50-70(80-113):4.0秒

60-80(97-129):4.5秒

70-90(113-145):5.2秒

80-100(129-161):5.9秒

90-110(145-177):7.1秒

100-120(145-177):9.1秒

制動距離

テスト条件:降雨/気温10℃
30-0マイル/時(48km/h):9.8m
50-0マイル/時(64km/h):26.9m
70-0マイル/時(80km/h):53.2m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:3.36秒

ライバルの制動距離フォルクスワーゲン・アルテオン 1.4 TSI eハイブリッド(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):8.6m
50-0マイル/時(64km/h):23.2m
70-0マイル/時(80km/h):46.2m

結論 ★★★★★★★☆☆☆

DS 9の登場で、プレミアムセダン市場は、歓迎すべき多様性を取り戻した。最大の問題は、あまりにも念入りにクラシックなフランス車の典型をなぞったこと、そして、初代DSの後継を名乗るには、デザインにも技術面にも斬新さが足りなかったことだろう。

とはいえ、そうした点も、これがいかに洗練され、狙い通りに仕上がったクルマであるかを実感する上で妨げになることはない。リッチで、心からリラックスできる上級セダンを求めているなら、このクルマがいかにもな演出にあふれてはいても、きっとすぐに気にいるはずだ。

プラグイン式のパワートレインは、ぬるめのパフォーマンスと物足りないEV航続距離をもたらすのみ。静粛性はともかく、期待したほどのセールスポイントにはなっていない。

いっぽう、インテリアは、本当に広々としたリムジンのような感覚があからさまに足りないところがある。また、やや不自然さがあり、喜ばしいのと同じくらいフラストレーションを覚えるところもある。

成功している反面、小さなミスも多い。その最たるものはおそらく、このDS 9が端的に言って、街で見かけて驚きの声が上がるようなものになっていないことだ。ブランドを確立し、その象徴となるべきクルマには、それが必要だったと思うのだが。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダースこのクルマの面のデジタルメーターは、やはり昔ながらのアナログメーターのほうがいいと思わせるような類のものだ。回転計は、いくら設定をいじっても出てこない。しかも、情報の階層が十分に明確とはいえない。

リチャード・レーンヴィジュアル的なアピールを、ためらいなくエルゴノミクスに優先させたところが、このクルマには見受けられる。走行モードのセレクターはセンターコンソールの助手席側にあり、エンジンスタートボタンはダッシュボードのおかしなくらい高い位置に埋め込まれている。どこかのデザイナーが、そのほうが見栄えがいいと考えただけだとしか思えないレイアウトで、じつに腹立たしい。

オプション追加のアドバイス

グレードはリヴォリ・プラスE-テンス225を選びたい。これに3000ポンド(約46.5万円)のオペラ・レザーインテリアと、後席のヒーターとマッサージ機能などがつく2000ポンド(約31万円)のリヴォリ・ラウンジパック、リヴォリ・プラスに1100ポンド(約17.1万円)で追加できるDSナイトビジョンなどを装備すると、価格はかなり高くなるが、とてもスペシャルな高級モデルになる。

改善してほしいポイント

・外観はもっと洗練させてほしい。多すぎるクロームやこれ見よがしな高級感、仰々しさは抑えて、もう少しモダンでアヴァンギャルドな感じにしたほうがいい。
・PHEVはバッテリー容量を増して、EV走行の航続距離を伸ばしてもらいたい。
・標準装備のレベルを上げてほしい。

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みんなのコメント

4件
  • 中国製であることはさておき、良いところ皆無しか伝わってこないレビュー結果。

    が、これもベタ褒めなんだろうね、日本のマスゴミにかかれば、、、、 「フランスのエスプリだー!」ってww
  • 帰ってきたクライスラー180であり、タルボ(ット)・タゴーラ。その凡庸にして穏健な性格は揺るぎない。

    変えるべきなのは、このDSという無用な誤解を生むブランド名だ。それじゃまるでシトロエンみたいじゃないか!Darracq-Simcaの連名にするか、そのどっちかにした方がいい。実業家アレクサンドル・ダラックに始まるこの名前はルノー、プジョー、シトロエンに並ぶフランス車第4の系譜であり、ヨーロッパの自動車史の数分の1をも呑み込む、ステランティスの本質と言うべきものなのだ……。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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