現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「一流のレーシングドライバーは何にのっても速い」説は本当か? 元トップレーシングドライバーが解説する!

ここから本文です

「一流のレーシングドライバーは何にのっても速い」説は本当か? 元トップレーシングドライバーが解説する!

掲載 11
「一流のレーシングドライバーは何にのっても速い」説は本当か? 元トップレーシングドライバーが解説する!

 この記事をまとめると

■優秀なドライバーでも乗っているマシンやチーム力によって速さが左右される場合がある

トップレーシングドライバーが語るジムカーナの魅力! レース派も腕を磨くのにもってこいの競技だった

■環境次第で速さが変わることがありながらも、ドライバーは結果だけで成績を判断される

■一流のレーサーであれば、何に乗っても速いことのほうが多く、数多く実証されてきた

 一流は何に乗っても速いのか経験をもとに考えてみた

 レーシングドライバーがレースで活躍するにはいくつかの条件が必要だ。まず自身のドライビングセンスと知識、能力を安定して発揮できる精神力と体力など。そして、参戦カテゴリーにおいて速いマシンと優れたサポート態勢などだ。

 あるカテゴリーで大活躍したレーサーが、ほかのチームに移籍した途端に活躍できなくなったり、ほかのカテゴリーでは成績が悪かったりというのは条件のいくつかが欠落してしまった場合が多い。速いレーサーの能力がいきなり低下、あるいは消失してしまうことは、怪我や病、精神的プレッシャーの変化などを除けばほとんどあり得ないといっていい。

 僕自身の経験で例えると、1989年の国内トップフォーミュラであった全日本F3000選手権(現スーパーフォーミュラの前身)において、デビュー3戦目となる西日本サーキット戦でポールポジションを獲得。5戦目には2位の表彰台に立った。

 しかし、翌1990年の同選手権戦においては、デビューイヤーでポールポジションを獲得した西日本戦の予選でほぼ最下位。前年のタイムに1秒も遅れた。そして翌1991年にはチームを移籍。初開催となったオートポリス戦でポールポジションを獲得してレースも優勝。続く西日本の新サーキットでもポールポジションを獲得した。

 わずか3シーズンでありながらアップダウンが激しく、そのたびにドライバーとしての評価も変化する。だが最終的には「速いマシンに乗れば速い」ということが実証されたのだ。

 スランプに陥る時期というのは才能、能力が落ち込むわけではない。それよりマシンの性能、競争力が低下してドライバーが速く走れないことのほうが現実的なのだ。

 F1においても同様な例は多くある。2005年、2006年にルノーのマシンでF1の世界チャンピオンとなったフェルナンンド・アロンソ選手。マクラーレンやルノーへのチーム移籍を繰り返したが、タイトル獲得にはほど遠く、才能は潰えたかのように評されたが、2010年にフェラーリへ移籍すると大活躍を見せる。ただ、ライバルのマシンとの競争力差に破れタイトル獲得には届かなかった。

 そして2015年にホンダエンジン復活となったマクラーレンチームに移籍。そこではマシンのパフォーマンスが圧倒的に低く、最下位近辺での走行を強いられ、ドライバーとしての評価も厳しいものとなってしまう。

 これで終わらず、近年はアストンマーチンに移籍して再び大活躍を見せ、次期ホンダエンジン搭載車の有力ドライバー候補となっているのである。

 F1ドライバーがスーパーGTで大活躍した例も

 F1というカテゴリーのなかだけでもドライバーの評価は激しく上下する。7度の世界チャンピオンとなったルイス・ハミルトンでさえ予選Q1を突破できない時期が長くあったし、現在の最強ドライバーであるマックス・フェルスタッペンにおいてもしかり。良いチーム、速いマシンに乗れてこそ初めてドライバーの能力が活かされることが常に証明されてきている。

 一方で、F1からほかのカテゴリーに移っても活躍できるドライバーもいる。2009年のF1世界チャンピオンであるジェンソン・バトンは第2期ホンダF1活動を支えた中心的なレーシングドライバーだが、ホンダチームでは活躍できなかった。当然レーシングドライバーとしての実力を疑問視される次期もあっただろう。しかし、ホンダが撤退した翌年、圧倒的強さで世界チャンピオンに輝いたのは彼の能力が優れていたことを見事に証明していて、撤退を決断したホンダにとっては皮肉な出来事になってしまった。

 その後のバトンはF1で活躍できず、レーシングドライバーとしてのキャリアを終えるのではと囁かれたが、2017年から日本のスーパーGT選手権に招聘され参戦。「フォーミュラカーのキャリアしかないバトンにとって、GTマシンは難しいのでは?」と思われたが、翌2018年にはシリーズタイトルを獲得してしまう。不慣れなマシンに不慣れな日本のサーキットといった難しい状況を見事に克服し、ドライバーとしての能力の高さを見事に見せてくれたのである。

 ストフェル・バンドーンやピエール・ガスリー、直近ではリーアム・ローソンといった若手ドライバーは、F1への登竜門として日本のスーパーフォーミュラを選択し、参戦初年度にいきなり優勝し、シリーズタイトルを僅差で争う実力を見せつけた。日本人ドライバーには勝つのが難しいスーパーフォーミュラでいきなり速さを見せつけ、世界のレベルが高いことを知らしめてくれたといえるだろう。

 このように、速いレーシングドライバーは何に乗っても速い。フォーミュラだろうがGTだろうが、ツーリングカーでもFFもFRもRRも乗りこなす。常にそのカテゴリーで速いマシン、速いチームに加われるかどうかが重要であり、ドライバーの能力が激しく上下することはない。

 なんらかのチームからオファーがあったときに、勝てるチーム、勝てるマシンであるかどうかを見極める千里眼がレーシングドライバーのマネージャーに求められ、時にドライバーはレーサー生命を終わらせられてしまうのである。

こんな記事も読まれています

660ccの「小さな高級車」って最高! めちゃ上品な「オトナの軽自動車」に称賛の声! ダイハツ本気の「ラグジュアリー仕様」が凄かった!
660ccの「小さな高級車」って最高! めちゃ上品な「オトナの軽自動車」に称賛の声! ダイハツ本気の「ラグジュアリー仕様」が凄かった!
くるまのニュース
松山北斗が『GRカローラ』D1GP初投入で単走優勝!第3-4戦筑波のトーヨータイヤ勢の活躍に期待
松山北斗が『GRカローラ』D1GP初投入で単走優勝!第3-4戦筑波のトーヨータイヤ勢の活躍に期待
レスポンス
説明が異なるメルセデスのタイヤ戦略「計画どおり」とラッセル、エンジニアは「やむを得ず」分けたと主張
説明が異なるメルセデスのタイヤ戦略「計画どおり」とラッセル、エンジニアは「やむを得ず」分けたと主張
AUTOSPORT web
ド派手なデコトラ乗りはなんと串焼きのキッチンカー経営者! バスに1BOXカーにトラックと飾りまくったデコ人生
ド派手なデコトラ乗りはなんと串焼きのキッチンカー経営者! バスに1BOXカーにトラックと飾りまくったデコ人生
WEB CARTOP
グーマガ 今週のダイジェスト【6/22~6/28】出たよ!新型フリード!
グーマガ 今週のダイジェスト【6/22~6/28】出たよ!新型フリード!
グーネット
ロータス「エミーラV6ファーストエディション」が魅せる〝エンジンの世紀〟のノスタルジー
ロータス「エミーラV6ファーストエディション」が魅せる〝エンジンの世紀〟のノスタルジー
@DIME
Moto3オランダ予選|古里太陽、2番手でフロントロウを獲得! 山中も5番手で日本勢が上位に
Moto3オランダ予選|古里太陽、2番手でフロントロウを獲得! 山中も5番手で日本勢が上位に
motorsport.com 日本版
フェルスタッペン、弱気レッドブルF1に“喝”。ライバルの接近を「当たり前と受け止めてはいけない。そうなればみんなに負ける」
フェルスタッペン、弱気レッドブルF1に“喝”。ライバルの接近を「当たり前と受け止めてはいけない。そうなればみんなに負ける」
motorsport.com 日本版
日本の自動車市場からフラッグシップセダンが減っている理由
日本の自動車市場からフラッグシップセダンが減っている理由
@DIME
トヨタ「プリウスα」なぜ消滅? 「復活」の可能性はある? “ちょうどイイサイズ”に3列シート装備で「画期的」だったのに… 1世代限りで生産終了した理由は
トヨタ「プリウスα」なぜ消滅? 「復活」の可能性はある? “ちょうどイイサイズ”に3列シート装備で「画期的」だったのに… 1世代限りで生産終了した理由は
くるまのニュース
FUGU INNOVATIONS、新色電動キックボード発売
FUGU INNOVATIONS、新色電動キックボード発売
レスポンス
F1オーストリアGPスプリント速報|フェルスタッペンがポール・トゥ・ウィン! マクラーレンは力及ばず2-3。角田裕毅13位
F1オーストリアGPスプリント速報|フェルスタッペンがポール・トゥ・ウィン! マクラーレンは力及ばず2-3。角田裕毅13位
motorsport.com 日本版
リカルド、ローソンとの交代の噂は「ここに来て言われるまで知らなかった」と無関心。他チームとの交渉も否定
リカルド、ローソンとの交代の噂は「ここに来て言われるまで知らなかった」と無関心。他チームとの交渉も否定
AUTOSPORT web
フェルスタッペンまさに完勝。マクラーレン勢のプレッシャーも交わして最後は独走優勝。角田裕毅は13位|F1オーストリアGPスプリント
フェルスタッペンまさに完勝。マクラーレン勢のプレッシャーも交わして最後は独走優勝。角田裕毅は13位|F1オーストリアGPスプリント
motorsport.com 日本版
【2024年版】スズキ スペーシアVSホンダ N-BOXを徹底比較
【2024年版】スズキ スペーシアVSホンダ N-BOXを徹底比較
グーネット
V8を選んだベントレー コンチネンタルGT【九島辰也】
V8を選んだベントレー コンチネンタルGT【九島辰也】
グーネット
スーパーフォーミュラ富士公式テストが7月7~8日に開催。スケジュールとイベント情報が公開
スーパーフォーミュラ富士公式テストが7月7~8日に開催。スケジュールとイベント情報が公開
AUTOSPORT web
MINI カントリーマン 新型、最強「JCW」は300馬力ターボ搭載…新写真を公開
MINI カントリーマン 新型、最強「JCW」は300馬力ターボ搭載…新写真を公開
レスポンス

みんなのコメント

11件
  • furima-jirosan
    そんな中谷さんも還暦過ぎて御年65歳
    片山右京さんも今年還暦ですか
    月日が過ぎるのは速い…いや早いものですね
    25・26日楽しみです。
  • res********
    バイクと四輪でも両方速い人はいますね
    古くは高橋国光さんとかサーティースとかがいて
    シューマッハは何度かバイクレースに出走したし
    最近ではロッシが四輪でも結果を出しはじめたり
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村