■勢力分布が大きく変わったシートアレンジ
皆さんはクルマを購入する際、シートアレンジをどのくらい重視するでしょうか。
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実は、21世紀に入ってシートアレンジの勢力分布は大きく変わりました。大きく普及したシートアレンジがある一方で、消えていったシートアレンジも存在するのです。
爆発的に広まったのが、セダンの可倒式リアシートです。背もたれがバタンと前に倒れ、室内と荷室が貫通。セダンでも長尺物が積めるのが実用上のメリットです。
20年以上前は、このアレンジを備えたセダンは少数派でした。しかし今では、多くのセダンにこの機構が組み込まれて定番化しています。
もうひとつ、これは日本限定ですが採用車種が大きく増えたシートアレンジがあります。ミニバンの2列目の超ロングスライド機能です。「リムジン状態」とも呼ばれるこのアレンジの特徴は、ミニバンながら3列目を畳んだ2列車として使うことを前提としていること。2列目を思い切り後方へスライドすることで、その足元を広くし、空間を贅沢に使ってゆったりと座れるのがメリットです。
このアレンジが最初に用意されたのは、2006年にデビューしたトヨタの3代目「エスティマ」でした。その後マツダの「ビアンテ」、トヨタ「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」、ホンダ「オデッセイ」などが採用。ミニバンの特徴である3列目に人が座らない前提のアレンジで、逆転の発想といえるでしょう。
実際に2列までの使用が多いユーザーにとっては使用頻度が高く、メリットを実感できるアレンジといえます。
一方、減ったものの代表といえば、3列シート車の回転シートでしょう。かつてミニバンやワンボックスなど3列シート車の2列目は、新幹線のように回転して前後の向きが変わるシートを組み込むことが半ば常識化していました。しかし現在、その機能を搭載している新車はほぼ見かけません(メルセデス・ベンツ「Vクラス」などシートをいったん取り外して逆向きに装着できる車両は存在)。
採用されなくなった背景には安全基準の強化などの影響もありますが、「実際にはほぼ使わない」といったニーズや「回転させるためにはシートのサイズが小さくなってしまう」といった負の事情が反映されたといわれています。
■新たに提案されたものの普及しなかったシートアレンジは
また、ここ10年ほどで新たに提案されつつ、普及が進まなかったものも存在。それは助手席のロングスライドです。
2015年にデビューしたトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の一部仕様に組み込まれ、2017年にはホンダの軽自動車「N-BOX」にも採用されたこの機能は、それぞれ最大1160mm、570mmもスライドしてシートアレンジの幅を広げるのが自慢です。
しかし、どちらも人気アイテムとはなりませんでした。「使うシーンをイメージしにくい」「使う頻度が少ないうえに、なくても不自由するようなものではない」「車両価格がアップする」などが理由と考えられます。実際に、メリットを実感できる頻度は多くないでしょう。
こうして普及したシートアレンジと、消えたシートアレンジや提案されながらも普及しなかったシートアレンジを比べてみて、明暗が分かれるポイントはどこでしょう。
それは「使うシーンがピンとくるか否か」「あると便利かどうか」そして「価格がアップするか」ではないでしょうか。
消えていった回転シートは、カタログを賑やかせるには最適ですが、実際に使う人は少なかったようです。また助手席ロングスライドは、実際に使うシーンやメリットをイメージしにくいところ。
一方セダンの可倒式リアシートやミニバンのリムジンアレンジなど定番化したものは、「日常的に使うもの」もしくは「“あれば大いに役立ちそう”というイメージが抱ける」と判断できそうです。さらにオプション装備ではないので価格アップなども感じません。
この記事のタイトルにある「背もたれ可倒式だけでは物足りない?」との質問には、迷うことなく「はい」と答えることになるでしょう。
市場は(定番化するかどうかは別として)新しいものを求めています。また、自動車メーカーはライバルとの差別化を図る手段として新しいシートアレンジを提案してくるでしょう。
しかし、新たに生まれたシートアレンジがしっかり市場に残るかといえば、必ずしもそうとは限りません。
残るには「使う状況をイメージできる」「価格アップがない(感じないほど僅か)」「買ったら実際に使う」などの条件を満たす必要があるといえそうです。
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みんなのコメント
普段リアシート使わないなら、そのぶん荷室を広く使いたい。
最初の頃はよく廻してたが最近はシートをフラットにするぐらいで回してないな。