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ボルボが作るEV「ボルボらしい」? ボルボC40リチャージに試乗 そもそもボルボらしさとは

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ボルボが作るEV「ボルボらしい」? ボルボC40リチャージに試乗 そもそもボルボらしさとは

「走りはボルボっぽくないなあ」

クルマ自体はボルボっぽい。でも走りはボルボっぽくないなあ。

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それはボルボの最新モデル「C40リチャージ(Recharge)」に触れた印象だ。

どこがどうボルボっぽくて、どこがボルボっぽくないのか?……そのまえに、まずはC40リチャージについておさらいしておこう。

C40リチャージは、今のボルボではもっともコンパクトなクラス(Cセグメント)に属するクロスオーバーSUVだ。

「CMA」と呼ぶプラットフォームをはじめとする内外装の基本設計は2018年から展開している「XC40」との共通部分も多いが、スタイルはリアゲートを大きく傾斜させたクーペ風へ。

SUVながら車名が同社でSUVを表す「XC」ではなく、クーペに使われる「C」で始まるのはそのためである。

最大の特徴はパワートレイン。同車はボルボとしては初めてのピュアEV(電気自動車)であると同時に、EV専用モデルとして開発されたのだ。

同社は2030年に販売する車両の100%をEVとする目標を掲げ、全力でそこへ向かっている。

すでに生産する車両はすべてモーターが組み込まれた「電動車」としており、販売におけるプラグインハイブリッドモデルの比率も2021年の日本で12%に達しているというブランドだ。

すでに新規エンジンの開発を停止し、エンジン開発部門すら会社内には存在しないのだから驚くばかりである。

初のピュアEVであるC40リチャージは、ボルボの新時代の幕開けを伝える最初の1台というわけである。

そもそもボルボらしさとは何か?

クルマとしてのボルボC40リチャージは、いかにもボルボらしいものだ。

パワートレインは「全車を電動化した初のプレミアムブランド」を象徴するかのごとくエンジンを排したピュアモーターだし、デザインも洗練されている。

クルマの内装に使われる高級素材の代表格といえばレザーだが、ボルボはサステナビリティを踏まえて将来的なレザーフリー化(本革の不使用)を宣言。

C40リチャージはそれも実現するボルボの最初のモデルであり、シートはもちろん、ステアリングホイールやシフトセレクターなども本革ではなく合成素材を組み合わせている。

レザーフリーは世の中のまだ一部の動きだが、かつて世界に先駆けで「安全性」を盛り込んだように、将来を見据えてベストと思える選択をいち早く導入するのがボルボらしい。

本革に代わって合成レザーが使われたステアリングの肌触りは気になるところだが、高品質の本革と変わらない滑らかさで言われなければそれに気づかないほど。

参考までに、コスト面において現時点では本革に対するメリットはなく、本革の不使用は決してコストダウンではない。

また、世界のトップ水準を走る先進安全装備に加え、市販車として初めてクルマにグーグルを組み込んでいるのもボルボらしい先進性と思える。

グーグルアシスタントの音声認識やグーグルマップによるカーナビなど、まるでスマホを扱うようにクルマのインフォテインメントシステムを利用できるのは新鮮だ。

試乗 ボルボっぽくない乗り味

コンセプトやハードウェアはボルボらしさに満ち溢れたC40リチャージだが、実際に運転すると頭の中に「?」がぐるぐると回って情報処理が追い付かなくなった。

言葉を選ばずに言うと「乗り味がボルボっぽくない」のである。

ボルボといえば伝統的におっとりした同乗者にやさしい乗り味が特徴だ。現行「XC90」からはじまった新世代ではその感覚が薄まったとはいえ、ロングドライブの供にするとゆったりした乗り味やシャープ過ぎない操縦性などによる疲労の少なさに驚く。

ドライビングプレジャーを追求するというよりは、ドライバーに寄り添う新鮮な空気のような存在といっていいだろう。

それがボルボらしい動的性能である。

しかしながら、C40リチャージはちょっと……いや、かなり違う。たとえば走り出して1つ目の交差点を曲がるとき、同じプラットフォームを使うXC40のステアフィールは軽快で澄んだ水のようにスッキリとしたものだ。60系や90系も今ではそうなっている。

しかしC40リチャージはやや重めであると同時に、操舵感を主張する(ハンドルを切った量に応じて微妙な変化がある)など、どこか人工的なフレーバーのような感触。

車両設定でハンドル操舵力を重めにすると人工的な感覚は消えるが、XC40のような軽快でスッキリとした感じではない。

それは上下動の多い乗り心地や、機敏さを重視したパワートレインにも言えるのだ。

らしくない味付け 明確な理由が

試乗車のパワートレインは「ツインモーター」と呼ぶ前後にモーターを搭載したAWDで、合計出力はなんと408ps。

停止状態から100km/hまでの加速に要する時間はわずか4.7秒という驚くほどの俊足で、それはこのクラスのEVでは最速を誇る。

アクセルを踏み込むと間髪入れず加速が始まる応答性も、加速力も、そして加速の伸び感もとんでもないレベル。

不用意にアクセルを踏み込むと、まるで「逆急ブレーキ」のように同乗者を急激な加速Gが襲って首を持っていかれるほどである。もしも手に飲み物を持っていたら、間違いなくこぼすだろう。

加速力と刺激は素晴らしいが、ボルボらしくはないのだ。どうしてこんな味付けが施されているのだろうか?

実は、明確な答えがある。

ボルボは最初のEVを送り出すにあたり、ボルボであることよりもEVであることを主張したのだ。

つまり、ドライバーと同乗者に寄り添うようなボルボらしい感覚よりも、瞬発力を兼ね備えた力強い加速というモーターならではの特徴を重視したのである。

EVとしてエンジン車にはない強みを明確にし、それをEVならではの魅力として消費者にアピールしようというのである。

何を隠そう、そういった戦略はボルボだけがとっているわけではない。

たとえばメルセデス・ベンツは最初の量産EVである「EQC」で過激な加速をアピールしつつ、次に登場した「EQA」では加速をマイルドにしつつ小さなバッテリーで航続距離を延ばす実用方向に振ってきた。

EQCはEVとしてのインパクトに焦点をあてたクルマつくりだったのだ。

おそらくボルボも、今後登場するEVは過激さを潜め、マイルドでボルボ車らしい味付けとしてくることだろう。

C40リチャージはボルボのEVの方向性というよりは、最初のEVとしてのアドバルーン的な存在と考えるとしっくりくる。

筆者はC40リチャージの過激な味付けのパワートレインは「ボルボというよりも『ポールスター』っぽい」と感じた。

そして、そんなパワートレイン自体が「細かい制御を除き『ポールスター2』と同じもの」と聞けば、妙に納得である。

ボルボC40リチャージのスペック

価格:719万円(ピクセルLEDヘッドライト非搭載車は699万円)
全長:4440mm
全幅:1875mm
全高:1595mm
最高速度:-
0-100km/h加速:4.7秒
航続距離:485km
電費:187Wh/km
CO2排出量:−
車両重量:2160kg
パワートレイン:AC同期モーター
バッテリー:160kWhリチウムイオン
最高出力:408ps/4350-1万3900rpm
最大トルク:67.3kg-m/0-4350rpm
ギアボックス:−

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みんなのコメント

2件
  • 試乗車がないんだよねー
    乗らずにオンライン購入は怖いよ
  • 車重が2トンを越えてるからハンドリングに少なからず影響あるだろうね。
    発進加速の爆発的鋭さもEVらしさ。
    シングルモーター版は少し穏やかになるのかな?
    ボルボは安全性をかなり重視するから、今後どんな味付けのEVを産み出してくるか、とても興味あります。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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