ここ数年で進んだ車種の整理によって消滅してしまった車名は多い。その一方海外では、日本で消滅した車名を現在も使い続けているモデルがある。ここではそんな、「昔の名前で出ているクルマたち」をピックアップしてみた。
文/永田恵一、写真/トヨタ、日産、ホンダ
■スターレットはスズキ バレーノのOEMとしてアフリカで販売中(トヨタ編)
●トヨタ/スターレット(アフリカ)
スターレットはヤリス、ヴィッツの前身となるトヨタにおいてはエントリーモデルとなるコンパクトカーで、1.3Lのターボエンジンを搭載したスポーツモデルもあり、日本では1999年に絶版となった。
現在、アフリカで販売されるスターレットはトヨタとスズキの協業により、日本では絶版となったものの、インドで今も生産が続くスズキの大きめのコンパクトカーとなるバレーノのOEMだ。
なお、トヨタがインドで販売するバレーノのOEMの車名はスターレットとしては最後となった5代目モデルのスポーツモデルに使われたグランツァと、こちらもスターレット絡みとなっている。
トヨタ スターレット。日本では1999年に絶版に。現在はスズキ バレーノのOEMとしてアフリカで生き残っている
●トヨタ/アリオン(中国)
アリオンはカリーナから続く5ナンバーサイズのミドルセダンで、日本では今年絶版となった。
現在、中国で販売されるアリオンは、日本で兄弟車だったコロナ→コロナプレミオ→プレミオ同様のリンシャン(中国に進出するには関税のかからない現地生産が基本で、そのためには中国国営のメーカーとの合弁会社の設立が必要となり、トヨタは中国に第一汽車、広州汽車との合弁となる一汽トヨタと広州トヨタがある)の兄弟車となる一汽トヨタ仕様だ。
現在のアリオンも日本時代と同じカローラの一車格上となるミドルセダンで、TNGA-Cプラットホームを使い、2LNAエンジンの搭載やボディサイズは全長が日本の5ナンバー枠一杯となる点なども、日本時代のアリオンとよく似ている。
●トヨタ/レビン(中国)
レビンはスポーツモデルを中心としたFR時代は2ドアと3ドアのクーペ、FFになってからは2ドアクーペのみとなり、日本では2000年にセリカに統合される形で絶版となった。
現在、中国で販売されるレビンは一汽トヨタで販売されるカローラの広州トヨタ仕様で、日本専用ボディとなる日本仕様のカローラセダンより大きなボディサイズを持ち、先代モデルが継続販売されるプラグインハイブリッド車も設定される。
■ハリアーの元ライバル ムラーノは中国&北米でいまも販売中!!!(日産編)
●日産/ティアナ(中国)
ティアナはセフィーロとローレルを統合したFFのラージセダンとして登場し、日本では三世代に渡って販売され、昨年絶版となった。
現在、中国で販売されるティアナもFFとなることも含め日本時代と同じ車格、ポジションで、可変圧縮エンジンとなる2LVCターボも搭載する。
●日産/ティーダ(中国)
ティーダは5ドアハッチバックとセダンのラティオを設定した5ナンバーサイズのサニー後継車として日本では2004年に登場。その後、ノートにバトンタッチする形で2012年に絶版になった。
現在、中国で販売されるティーダはカローラやシビック同様に車格はそのままながら、日本でいう3ナンバー幅にボディサイズが拡大されたオーソドックスな5ドアハッチバックだ。
●日産/ムラーノ(中国、北米)
ムラーノは当時のハリアーをターゲットしたプレミアムラージSUVとして2004年に初代モデルが登場し、2008年には2代目モデルにフルモデルチェンジされたが、日本では2015年に絶版となった。
ムラーノは中国、北米ではコンセプト、車格をそのままにフルモデルチェンジされた上で販売が続いており、中国では2.5Lスーパーチャージャー+1モーターとなるハイブリッドも設定される。
日産 ムラーノはハリアーをライバルとして2004年に日本に登場したプレミアムラージSUV。日本では2015年に絶版となったが、現在中国で2.5Lスーパーチャージャー+1モーターを搭載して販売されている
●日産/マキシマ(北米)
日本ではブルーバードにV6エンジンを搭載したブルーバードマキシマとしてスタートしたマキシマ。1988年に前述のティアナのようなV6エンジンを搭載したFFセダンとして独立したが、初代モデルかぎりで絶版となった。
マキシマは日本で絶版となった後もアメリカでは継続され、現在はアルティマ(ティアナの北米仕様)に3.5LV6エンジンを搭載した、上級スポーツセダン的な存在となっている。
●日産/テラノ(ロシア)
テラノはハイラックスサーフと同様の、ダットサントラックの乗用SUVとなる存在で、日本では二世代で絶版となった。
現在、ロシアで販売されるテラノはルノー傘下となるダチア(ルーマニア)のダスターというコンパクトSUVの兄弟車で、質実剛健なキャラクターを持つ。
■日本では初代で終わったものの 中国で販売中のエリシオン(ホンダ編)
●ホンダ/アヴァンシア(中国)
日本で1999年に登場したアヴァンシアは「ステーションワゴンとミニバン」の融合というコンセプトを持つ2列シート車で、乗れば快適ないいクルマだったが、コンセプトがわかりにくいなどの理由で、一代かぎりで絶版となった。
現在、中国で販売されるアヴァンシアは、クーペルックのラージSUVとして東風ホンダで販売されるUR-Vの兄弟車となる広州ホンダ仕様で(ホンダも中国にはトヨタと同様に東風ホンダと広州ホンダがある)、インテリアは高級サルーンのような雰囲気を持つ。
●ホンダ/エリシオン(中国)
エリシオンは2004年に初代アルファードと2代目エルグランドがライバルとなるラージミニバンとして登場。エリシオンも乗ればいいクルマだったが、初期モデルのフロントマスクがラージミニバンに求められる押し出しに欠けることなどが原因で、現行オデッセイを後継車に一代かぎりで絶版となった。
現在、中国で販売されるエリシオンは広州ホンダから販売される現行オデッセイの東風ホンダ仕様で、フロントマスクなどは日本時代のエリシオンプレステージに似た雰囲気を持つ。
ホンダ エリシオン。2004年にトヨタ 初代アルファード・日産 2代目エルグランドをライバルとして登場したラージミニバンだ。日本では人気がなく、初代限りとなってしまったが、その名前は中国へ受け継がれ、現行オデッセイの東風ホンダ仕様として販売されている
●ホンダ/HR-V(北米、欧州)
1998年登場のHR-Vは現在のコンパクトSUVに相当するモデルで、HR-Vもアヴァンシア、エリシオン同様に一代かぎりで絶版となっている。
現在、北米や欧州で販売されるHR-Vは日本のヴェゼルの現地仕様で、HR-Vは欧州では人気車だったため、ヴェゼルにHR-Vの車名が付く地域もあるという。
●ホンダ/シティ(東南アジア)
1981年に初代モデルが登場したシティは、全高の高い初代モデルから2代目モデルは打って変わって全高の低いコンパクトカーとなり、2代目モデルで絶版となった。
現在、東南アジアで販売されるシティはコンパクトセダンで、日本でもフィットアリアとグレイスの車名で販売された。
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みんなのコメント
実物の写真を見てみろよ、超カッコ悪いから。
ああいうのは質実剛健とは言わない、
日産名物の思い出補正にしてもこれはヒドい。
ハッキリ言ってユーザーをナメてる