■日本でのボルボ人気が、ディーゼル仕様追加を後押しか?
国産車だけでなく、輸入車でもSUVが人気となっています。ボルボ「XC40」はいまだに1年待ちで、「XC60」だって半年待ち。BMW「X3」やメルセデス・ベンツ「GLC」、アウディ「Q3」や「Q5」、ポルシェ「マカン」など、全般的に売れ行きは好調です。
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そんななか、ボルボが「XC90」のディーゼル搭載モデルを追加しました。いったい、どんなクルマに仕上がっているのでしょうか。
大きなボディのSUVは、車重もあるためガソリン車だと燃費では厳しいです。お金持ちであればガソリン代は気にならないでしょうが、二酸化炭素の排出量が大きく、社会的なイメージは良くありません。しかし、ディーゼルならトルクフルな走りを楽しめる上、二酸化炭素の排出量だって抑えられます。
ところが、今までXC90にはディーゼルエンジン車が存在しませんでした。日本の排気ガス規制をクリアした190馬力の「D4」エンジンでは、車格に対してパワー不足だったためだと考えられます。
欧州向けには235馬力/480N・mという、ガソリン車なら5リッターに相当するトルクを出す「D5」エンジンがすでに存在していました。
しかし、日本の排気ガス規制をクリアさせようとすると、日本と欧州の基準はクリーン度では同等ながら細かい部分が違うため、相応のコストがかかってしまいます。
そのため、これまではガソリン車しか導入されていませんでした。XC90が予想以上に売れたので、ボルボはD5エンジンを搭載したディーゼルエンジン車を追加したのでしょうか。
参考までに記載すると、XC60の車重が1880kgであるのに対し、XC90は200kg以上重い2090kg。やはり190馬力のD4エンジンだとパワー不足感が出ると思われます。それでは、前置きはこのあたりにして実際に試乗してみましょう。
■パワーと「最良かつダントツの乗り心地」が特長
運転席に座りエンジンを始動させると、ガソリンエンジンよりアイドリングの振動がやや大きく感じられます。しかし、信号待ちではエンジンが止まるため気になりません。
走り出してしまえば、振動や騒音を含めたディーゼルエンジンのネガティブな雰囲気は“ほぼ”ありません。むしろ低い回転域から太いトルクを出すため、254馬力のガソリンエンジン「T5」よりパワフルに感じるほど。
今回は街中から流れの良い一般道など様々な道路状況を走ってみましたが、終始快適でした。燃費も1リッターあたり12キロから14キロと不満無しです。
また、驚かされたのは乗り心地です。XC90から始まった新世代プラットフォームは、デビュー当初はハンドリングこそ良かったものの、乗り心地の質感で物足りない傾向。全般的に硬く、路面からのツキ上げ感も厳しい状態でした。
しかし改良が重ねられ、2年後に登場したXC60のハンドルを握った時には、乗り心地の良さにビックリしたほど。その後XC90にも改良を加えてきたのでしょう。
今回試乗したXC90 D5は、ボルボのSUV史上、最良かつダントツの乗り心地となっていました。筆者(国沢光宏)は「XC60 D4」に乗っているのですが、XC90の方が明確に良いです。
ベントレーのSUVである「ベンテイガ」と比べたって負けていません。20インチタイヤを履いているにも関わらず、です。これには少しばかり衝撃を受けました。
もうひとつ意外だったのは、ボディサイズの割りに取り回しやすかったことです。絶対的なサイズからすれば、BMW「X5」やアウディ「Q7」、ポルシェ「カイエン」と同等ですが、おそらく見切りが良いのだと思います。
今回の試乗コースのなかに入っていた山形県酒田市内(おしんの舞台になったことでも有名です)でも、あまり苦になりませんでした。
このクラスのSUVで迷った場合、D5を搭載したXC90は「燃費が良くパワフルなディーゼルエンジンを搭載し」、「万全の安全デバイスを備え」、かつ「3列目シートを装備」といった美点を持ちます。
「ど~ん」という押し出し感のあるクルマを考えているなら、相当魅力的なモデルとなりました。試乗すれば、きっと乗り心地の上質感に唸ると思います。
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