2015年1月4日、アウディ本社は「A7自動運転コンセプトカー」にジャーナリストを乗せ、走行距離550マイル以上の高速道路を自動走行したと発表した。このコンセプトカーによる長距離走行テストは量産モデルの技術を活用し、カリフォルニアのシリコンバレーからネバダ州ラスベガスで開催される世界で最も重要なエレクトロニクスショーであるCES 2015の会場に向かった。
アウディの技術開発担当取締役のウルリッヒ・ハッケンベルク博士は、「カリフォルニア西海岸からラスベガスに向かうこの走行テストは、アウディの自動運転におけるリーダーシップを証明するものです」と語っている。実際の交通や様々な路面状況の中でのテストドライブは、フォルクスワーゲン・エレクトロニクスリサーチ ラボラトリー(ERL)とフォルクスワーゲン・グループ技術開発部門の協力により、カリフォルニア州のスタンフォードをスタートし550マイル(約900km)を走った。
A7自動運転コンセプトカーは、ドライバーは0~70mph(約110km/h)付近までの運転操作を不要としている。開発チームによって親しみを込めて“ジャック”と名付けられたこのコンセプトカーは、自動的に車線変更や追い越しを行なうことができる。さらに加速、減速も自在に行なうことができる。車線変更の際は、周囲の車両に合わせて車速を調節し、距離と速度の計算により安全だと判断されれば、車両は正確かつタイムリーに車線を変更することができるのだ。
このコンセプトカーはセンサーを複合的に活用しており、その多くは量産間近のものだという。アダプティブクルーズコントロール(ACC)やアウディ・サイドアシスト(ASA)に使用される長距離レーダーセンサーは車両の前後を監視する。フロント、リヤにそれぞれ2個装備されている中距離レーダーセンサーは360度ビューを可能にしている。
シングルフレームグリルとリヤバンパースカートにはレーザースキャナーがマウントされている。このスキャナーは自動運転中に多くの障害物を認識する。これらのテクノロジーは実車への搭載、また生産に必要なコストも含めて、近い将来に実現する予定だという。
すでに新型Q7の新世代システムに搭載されている新しい高解像度の3Dビデオカメラは、車両前方をワイドアングルビューとして映し出すことができる。4つの小さなカメラがフロントとリヤにマウントされており、車両周囲の近接ビューが映し出される。もちろんナビゲーションデータは車両の基本的な操作に活用される。
そして例えば都市部でのドライビングで自動運転システムの限界に達した場合は、安全確保のためにドライバーが運転を行なうように警告される。そのために複合的な警告、シグナルが発せられるようになっている。それはフロントウインドーの発光LED、ドライバーインフォメーション・ディスプレイのシグナル、セントラル・ステータスインジケーター(CSI)、そして音声による警告音などがドライバーに運転を行なうよう警告するのだ。ドライバーがそれでもこれらの警告を無視した場合、システムは自動的にハザードランプを点滅させ、車両を完全停止させリスクを軽減させる。ほとんどの場合、車両は路肩の緊急車線に停止するという。
この550マイルの走行テストに先駆けて、数週間前にアリゾナのプルービンググラウンドで参加ジャーナリスト向けトレーニングが行なわれ、この自動運転システムを使用して100マイル程走行した。この時は不測の事態にも安全を確保するために、システムを知り尽くしたアウディのテストドライバーが、助手席に同乗した。
アウディは、2015年1月6日~9日まで開催されるラスベガスインターナショナルCESで、そのNext Chapter(次章)を披露した。それは車両のコネクティビティだ。自動運転、新しいユーザーディスプレイ・インターフェース、最新のインフォテイメント、新しいアウディコネクト、そしてLEDとレーザーマトリックス・ライト技術が発表された。さらに新型Q7のショーカー/インテリアモデルもワールドプレミアされている。
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